アバルト乗り6人で行く、女子会ツーリングに密着

アバルトを接点に繋がった仲間たち

さまざまなアバルトオーナーさんとお話をさせて頂いているなかで、日々不思議に思っていたことがある。それは、アバルトを軸にできたコミュニティは、とてもフレンドリーで雰囲気がいいということ。オーナーの方々の穏やかなマインドに日々感銘を受ける一方、“なぜクルマによってコミュニティの質に違いが生まれるのだろう?”と不思議に感じていた。そんな折、アバルト乗りの知人から、女性6人でツーリングへ出掛けるとの話を聞いた。女子会ツーリングではどのようなプランが組まれ、どんな楽しみ方をしているのか。とても興味を感じ、ツーリングに密着させてもらうことにした。

今回同行させてもらったのは、愛知県界隈にお住まいのアバルトオーナーさんのツーリング。これまでオーナーインタビューにご登場頂いた西山智子さん松井理恵さん大倉由美さんをはじめ、小泉暁美さん、中村香穂梨さん、そして以前に124 spiderに乗られていて、現在はアバルトの親戚分にあたるアルファ ロメオを所有しつつ、595に心惹かれているという菅沼ゆみかさんを含めた、6名のスコーピオンナによるワンデーツーリングだ。


ツーリングに参加された6名のスコーピオンナ。グループLINEで繋がり、普段から色々な会話を楽しんでいる。

彼女たちは中部界隈を拠点としているものの、住んでいる街はバラバラで、アバルトを通じて知り合ったという間柄。年齢や職業、バックグラウンドもそれぞれ異なるなか、共通するのは、「アバルト乗り」という点のみ。それなのに皆さんとっても仲良しなのだ。一体何がそうさせているのだろうか?

「不思議ですよね。みんな性格は違うと思うのに、自然と話が合う。何ですかね? 同じクルマを選ぶという、共通した価値観はあるのかもしれません。暮らし方もそれぞれ違うと思うんですけど、同じものを選ぶセンスやパッションなど、何か通じるところがあるのだと思います」と西山さん。お互い共通する部分にシンパシーを感じ、無意識に心地よさを感じている様子だ。


「それぞれに笑ってしまうような個性がありつつ、お互いで補い合い、結果的になぜかうまくいく。そんなところが楽しい」とコミュニティについて話してくれた西山さん。

みんなでカルガモ走行

7月上旬、週末の朝10:00。集合場所となった高速道路の某サービスエリアで合流させてもらうことに。向かう先は、浜松の「浜北スイーツ・コミュニティnicoe(ニコエ)」。うなぎパイで全国的に有名な春華堂がお菓子の新しい文化とスタイルを発信しているスポットで、気鋭のクリエイターたちが、五感で楽しめる空間を目指して創り上げた施設だ。今回は、そのnicoe内の「THE COURTYARD KITCHEN(ザ コートヤードキッチン)」でランチの予定。個性的で美味しいフードを堪能できると話題の場所だ。

SAに一足先に到着すると、アバルトのハンドルを握る女性たちが次々と集まってきた。先に来ていた友達は、後から来た友達に手を振って招き入れる。取材したのは7月上旬で第7波が訪れる前だった。感染者が多い時期は会うのを避けていたため、みんな揃って直接会うのは約1年ぶりという。普段から仲良しの皆さんだけに、久々の再会に気分が上がり、会った瞬間から笑顔が溢れ出ていた。


集合場所のSAにて。集合したところからテンションは高め。ここで5台が集まり、1台は現地集合した。

「コロナ禍でツーリングの仲間たちと会えない時期が1年ぐらい続いていたので、今日はこうして久々にみんなと会えて、元気な姿が見られてよかったです。やっぱり直接会えるのはいいですね」と菅沼さん。


2019年10月に開催されたScorpionnna Drive for Womanに124 spiderで参加され、その頃からアバルト仲間との交流が深まっていったという菅沼さん。

30分ほど仲間内で再会の喜びを分かち合ったのち、nicoeへと出発。目的地までの移動距離は80km弱。その1時間半ほどの距離を色とりどりのアバルトが連なって走っていった。

ツーリングというと、1日中走り回るようなハードなドライブを思い浮かべがちだが、今回の彼女たちのツーリングはそうではなかった。
「 “これいいな”と思ったら、グループLINEにまず書き込むんです。すると、誰かから“おいしそう!”“行ってみたい”と返答が来て、“そこに行くのなら、ついでにここにも行かない?”と話がいつのまにか進んで、ドライブの計画が固まっていくパターンが多いですね。自分だけだと知り得なかったお店や、普段食べないものを、友達と一緒に楽しんでみんなでハッピーになる。そんな感じです」と大倉さん。今回nicoeを提案した彼女は、みんなとの久しぶりの再会に、前日からワクワク気分だったという。


常に笑顔が絶えないムードメーカーの大倉さん。

5台は浜松西ICで降り、一般道を30分ほど走って行く。これだけの台数が揃うと、一般道では信号で隊列が途切れてしまうこともある。すると先導するクルマが安全な場所で後続の仲間を待ったり、目的地が近ければ先に行って現地で待ったりする。運転経験やスキルもそれぞれなので、あくまでマイペースで目的地に向かって行く。

「みんなでこうしてカルガモ走行をするのが楽しいんです。前列を走るときは、バックミラー越しに連なるアバルトの姿を見るとほっこりしますし、後ろから見ても追い越しをする際に、順番に追越し車線に飛び出るアバルトの姿がかわいくて、いつもニマニマしています」と松井さん。


「目的地でのおしゃべりも、同じクルマで走る道中のドライブもすべてが楽しい」と話してくれた松井さん。

参加者のひとり、中村さんはnicoeで現地集合という手段を選んでいた。中村さんはフラメンコを趣味としていて、1ヶ月後に発表会を控えているとのこと。練習で忙しい時期だったけど、みんなに会いたくてランチに駆けつけた。
「少しでもみんなとの時間を楽しみたいなと思い、今日は現地集合にして、ランチ後も一足先に失礼して、発表会の練習に参加するんです。クルマとフラメンコは私にとって両輪ですね。体を動かしていたいのでフラメンコはとても楽しいし、そちらにも大事な友達がいます。一方、このアバルトの集まりの中にいると、発表会のプレッシャーから気分転換できますし、両方ともなくてはならない大切な存在ですね」と中村さん。


真剣に取り組んでいるフラメンコと、ゆるやかな時間を過ごせるアバルト仲間のコミュニティ。そのふたつを両輪に生活を楽しまれているという中村さん。

一人では見られない世界をみんなと楽しむ

目的地に選ばれたnicoeには、レストランのほか、お菓子の店舗やプレイグラウンド、ガーデンなどが併設されている。駐車場も広く、仲間とのツーリングにぴったり。建物もお洒落で特別なところに来た気分になれる。6台すべてが揃ったところでみんなのクルマを並べ、まずは記念撮影。天気もよく、頭上には青い空が広がっていた。


nicoeに到着したところで記念撮影。

ランチを予約した「ザ コートヤードキッチン」は、広々とした空間で窓の外にガーデンが広がり、開放感が心地いい。アペタイザーとメイン料理、デザート、ドリンクからなるランチコース料理を頼み、お料理が運ばれてくるまでの時間はおしゃべりに花が咲いた。

近況報告や以前にみんなで行った場所を振り返る思い出話など、話題には事欠かない。他愛のない話でも、直接会って話せる時間は貴重なもの。気を遣うことなく、なんでも言い合っている様子は、まるで幼馴染みのよう。無理して合わせるでもなく、自然でいられる関係ができあがっているようだ。


nicoeの施設内の様子。採光を考えて作られたお洒落な空間が心地よく、女子会にもぴったりの雰囲気。

「みんなとのおしゃべりが楽しいんです。何か言ったことに対して否定する人もいないし、誰かがやってみたいこととか、食べたいものを提案すると、“じゃあやろう、行こう”となって。みんなすごくノリがいいというか、前向きなんです」と小泉さん。

聞けば小泉さんにとって、今回のツーリングは、今までで最も長く走ったドライブかもしれないとのこと。アバルト購入時、長距離の移動を楽しむことは想像していなかったそう。「遠出するようになったのもこのグループのおかげです。ひとりでは買い物とか近距離ぐらいしか行かなかったんですけど、みんなのおかげで遠出するようになりましたし、ひとりだったら見られなかった景色が見られるようになりました」


友達とのツーリングに参加するようになり、行動範囲が広がったと話してくれた小泉さん。

お料理が運ばれてくると、会話がさらに盛り上がる。地元の新鮮な食材を使ったメニューは、見た目からして美味しそう。食べる前に写真を撮ったり、違うものを頼んだ友達とお料理を見せ合ったり、ハッピーな時間が流れていった。


ザ コートヤードキッチンのランチメニュー。写真左は、前菜の遠州とうもろこしのエローテ。写真右はメインで、左側が世界一のナポリピッツァ職人秘伝のピッツァマルゲリータ、右側は釜揚げシラスと生海苔のアーリオオーリオスパゲッティ。

nicoeで楽しいランチのひと時を過ごしたあとは、クルマで25分移動して、「ヤタロー アウトレットストア工場直売店」へ。作りたてのパンやお菓子、農家直送の新鮮な野菜や果物を直売ならではのリーズナブルな価格で購入できると評判のお店だ。直販品のほか、製造工程上できる不揃いだけれども味は通常商品と同じものなどをお得な価格で販売している。


美味しいものがリーズナブルに購入できると評判のヤタローアウトレット(静岡県浜松市東区丸塚町169)。

ここで皆それぞれ好きなものを購入。彼女たちに聞いたところ、ここのバウムクーヘンは絶品とのこと。こうした情報収集力の高さや、おいしいもの、お得なものを見つけ、みんなで楽しむセンスはさすが女子会。各自自分へのお土産を購入し、楽しい一日を締めくくっていた。

ツーリングに参加した皆さんの声

最後に彼女たちに1日の感想を聞いてみた。

まずは愛車の黄色い595 Competizioneがメンテナンスと重なってしまい、代車で参加されていた松井さんから。
「愛車のメンテナンスで参加できなくなりそうだったんですけど、それをLINEに書き込んだら、仲間たちが“じゃあ私のクルマに乗って行きなよー”って言ってくれて。幸い、よくしてくれているショールームに代車を借りられることになり単独で来られたのですが、何か困ったことを書き込むと、みんな助けてくれようとするんです。猛暑のなか西山さんのお家のクーラーが壊れてしまった時も、“こうしたら涼しいじゃない?”という提案が飛び交ったり(笑)。本当にいい友達だと思います。このコミュニティは私にとって、人生に彩りをくれるもの、楽しみを広げてくれる人たちって感じですかね。本当にありがたい存在です」


松井さん(写真中央)。

続いては、待ち合わせ場所のSAに誰よりも早く来られていた大倉さん。
「アバルトは1台で走るのも楽しいですけど、今日みたいに女性同士で息を合わせながら、目的地に向かって走って行くのはとても楽しいです。おいしいものを食べながら、次に行きたいお店やファッションのこと、クルマについてなど、みんなで話をしている中で、次にやりたいことが自然と浮かび上がってきて、また新たな楽しみが生まれたりもしています。ドライブの道中から目的地で過ごす時間まで、まるまる楽しめてしまうのはこのアバルトのコミュニティならではだと思います」


大倉さん(写真左)。

お次は、アバルトから一時的に離れていながらも595に恋焦がれている菅沼さん。
「このアバルト女子会は、精神的にも経済的にも自立したメンバーの集まりなので、大人の女性オーナーという雰囲気があって、過ごしやすいなぁと感じています。透明な上下関係があるでもなく、自分のことを自由に話せるし、話題もポンポン変わる。以前に参加したSCORPIONNA DRIVE for WOMAN in 名阪スポーツランドに参加した時に印象的だったティツィアナさん(アバルトアンバサダー)の台詞を借りると、“女性のパワー”を感じます。芯がしっかりしている女性たちの集まりなのかもしれませんね(笑)」


菅沼さん。

フラメンコの発表会を前に、多忙な時間を前向きに楽しみつつ、この女子会ツーリングに駆けつけた中村さんは
「アバルトに乗るようになって、仲間というか世界が広がりました。楽しいだけでなく、本当に心から心配してくれる仲間たち。大人になって、そんな友だちができるとは思っていなかったし、本当になくてはならない存在です。そうそう。8月に行われる私のフラメンコの発表会にも、みんな来てくれるんです! いいところ見せないといけないので、練習もがんばります!!」


中村さん。

今回のツーリングでこれまでで最長の距離を走行された小泉さんは
「このメンバーと一緒だと、思いがけないハプニングさえも笑いになってしまうし、知らなかった世界を共有しあえるところもすごくいいです。サークルみたいな感じでしょうか。とても大事なコミュニティなので、できるだけ長く続いたらいいなと思います」


小泉さん(写真中央)。

グループ活動の段取りをテキパキ進め、仲間から頼られている西山さんは
「このコミュニティは、仲間から何か提案があった時に、“おもしろそうだからやってみよう!” “行ってみよう!”というように、新しいことに前向きな姿勢や、行くとなったら実現に向けてパパパっと決まっていくスピード感がおもしろいですね。同時に私にとっては、自分が素でいられながら楽しめる場という感じ。日常には、社会人として体裁を取らなくてはならない場面も多々ありますが、そこから離れられて、素に戻れるところというか。運転する以上、安全運転など守らないといけないことはありますが、その上で、殻を破れる感じ。楽にさせてくれる感じが心地よく、おもしろくもありますね」


西山さん。

参加された皆さんにとって、このアバルトを軸としたコミュニティがいかに大切かということが伝わってきた。彼女たちにとってアバルトは、それ自体が与えてくれる喜びを飛び越えて、まるで故郷のような、安心して居られる場所を形成している模様。小さくパワフルなだけでなく、マジカルなパワーを持ったアバルトが、今後も彼女たちに喜びを与え続けるのは間違いなさそう。

撮影協力=浜北スイーツ・コミュニティnicoe
ヤタローアウトレットストア

写真 荒川正幸

アバルト公式WEBサイト