「アバルト好きって波長が合うのかな?」アバルトライフFile.28 松井さんと595 Competizione
以前の愛車は黄色いフィアット
待ち合わせ場所に、黄色い595 Competizioneでお越しくださった松井理恵さん。お会いして最初に感じたのは、そのギャップ。ふわっと柔らかな雰囲気と、595シリーズの中で最もハードコアなモデルである595 Competizione、それも鮮やかなイエローのボディカラーのオーナーとしての顔。そのふたつが初めのうちはスッと結びつかず、軽い驚きを覚えたのです。
「本当ですか? 友達が聞いたら、きっとビックリしちゃう。私、けっこう毒を吐きますから(笑)」
それこそ“本当ですか?”と問いただしたくなるくらい物静かにおっとりと、しかもニコニコと微笑みながら言葉を返してくださる松井さん。この女性が595 Competizioneのどんなところに惹かれているのか、関心が湧いたのでした。
「このクルマの前はフィアット 500に乗ってたんです。でも実は500じゃなくてPandaを見に行ったんですけど、そこに500の1.4スポーツがあって、即決で買っちゃったんですよ。私、本当は角張ったクルマが好きで、初めて乗ったクルマもその次のクルマも四角いスタイルだったんです。でもいざショールームを見に行ったら、500ってこんなにかわいいんだ、って(笑)。値段を聞いたらお手頃だったし、試乗させてもらったら“運転してる”感が強くて楽しいし、こっちにしちゃおって(笑)。それが10年ぐらい前のことでした」
それまでは2年サイクルでクルマを乗り換えていたそうですが、四角いクルマが好きだった松井さんは、その対極にあるような500に約7年、走行距離は7万km刻むほど気に入っていたそうです。
「アバルトの存在は、500に乗りはじめてわりとすぐに知ったんです。詳しいことまでは知らなかったけど、そのうちにアバルトのホイールセンターキャップやアクセサリーが気になりはじめて。だって、サソリのマークがかわいかったから(笑)」
走りの強烈さに惹かれたのではなく、サソリのマークからアバルトの世界に入ったという松井さん。アバルトは昔からデザインや色使いのセンスが心憎いぐらい洒落ていますが、まんまとそこに魅了されてしまったようです。
「もちろん走って楽しいことも、だんだんわかるようにはなりました。試乗にも行きましたし、代車で貸していただいたりもしましたし、何度か乗らせてもらって、アバルトもいいな、って思うようになったんです。でも500も好きで、なかなか他のクルマに乗り換える気持ちになれなかったんですよね……」
「体にGがかかる感覚が楽しい」
ところが、2017年に転機が訪れます。
「何の用事だったかは覚えていないんですけど、ショールームに行ったときに、再び595 Competizioneに試乗させてもらうことになったんです。アクセルを踏み込むと加速は凄いし、音もすごいし、これは楽しいぞ、ってあらためて感じました。そのときの試乗車だったクルマが、私の500と同じ黄色。それで突然、“このクルマを買おう”って……。500を買ったときと同じで、直感でした。あえていうなら、500が走行距離も伸びちゃって乗り換えるタイミングが来てたかも、ということはあったかもしれませんけど」
ご自身の500をかわいいと思う気持ちを、その日、ついに595 Competizioneの走りの魅力が上回った、ということもあるのでしょう。でも、他に595のベースグレードやTurismoという選択肢もあるのに、なぜ595 Competizioneに?
「黄色だったから(笑)。黄色は595 Competizioneにしかなかったので。それとレコードモンツァが標準でついていたから。あの音には、やっぱり痺れますよね。その前にもレコードモンツァの音を聞いたことがあって、アバルトに乗るならこの音がいいと思ってたから、もし標準装備じゃなければつけかえるつもりでした。だからモデルとかそういうことはまったく意識してなくて、レコードモンツァがついた黄色いアバルトを買った、っていう感じだったんです」
595 Competizioneは、スポーティな595の中でも最もスポーティで最も速いモデルですけど、その分やっぱり乗り味もちょっとばかりハードです。そういうところは気にかけなかったのでしょうか?
「私、595はこれしか知らないからわからない(笑)。買おうと閃いたときに試乗していたのも595 Competizioneだったし、他に選択肢がなかったから(笑)。だから他の595と乗ってみてどう違うのか、今もよく知らないんです。でも、ぜんぜん普通に乗れますよ。乗りづらいとも思わないし、乗り心地が硬いとも思わない。何でもこれ1台で楽にこなせるし、毎日の通勤にもあたり前に使ってます。私は朝が弱い(笑)のにエンジンをかけて音を聞くと目がさめて気持ちよく仕事に向かえるし、帰りも楽しく帰って来られる。わざとトンネルのある道を選んで少し窓を開けて走って、やっぱりこの音はいいな、って思いながら帰ったり。アバルトは気分をグンと上げてくれますよね」
500に乗っていた頃よりも、どうやら松井さんは走りの楽しさに気持ちが向くようになったご様子。もしや、ふわっとした雰囲気と違って、実は結構アクセルを踏み込んでいくタイプ……?
「世の中に速度の制限はあるけど、加速制限はないって教えてくれた人がいました(笑)。でも私は制限速度の範囲で楽しんでいます。それでも、この加速は本当に気持ちいいですよね。コーナーがいったいいくつ続くんだろう? みたいな道を走るのも好き。身体にGがかかるのが楽しくて。でも助手席でそういうところを走ると酔っちゃいますけど(笑)」
アバルトを通じて得た「変化」
松井さん、走りの魅力もさることながら、アバルトがもたらしてくれた最大の喜びは他にある、とおっしゃいます。
「このクルマに乗るようになってから、同じアバルトに乗る女性の友達がたくさんできたんです。SNSでつながって集まったのじゃなくて、実際に会って親しくなったアバルト女子の友達。職業もまったく違うし世代もバラバラで、普通に生活していたら会わないような人達と親しく慣れて。いつの間にか自然とアバルト女子だけのチームみたいな感じになって、そういう友達とクルマで集まってゴハンを食べたりお茶をしたり、一緒にちょっと遠出をしてカルガモみたいに連なって走ったり、並べて写真を撮ったり、イベントに参加したり、買い物に行ったり。日々くだらないことでLINEしたり。クルマ繋がりだけど一緒にいて話していることはクルマばっかりじゃないし、話してると気がついたらものすごく時間が経っちゃっているとか。自然とまた集まりたくなったり、集まるために努力して時間を作ったりとか(笑)。そんなの初めてなんです。それが今、何より楽しいんです。500のときも知らない人に話しかけられたりはしたけど、ここまでじゃなかったです。皆も、まさかこんなふうになるとは思ってなかったみたい。不思議なんですけど、アバルト好きって波長が合うんですかね……? アバルトに乗ってなかったらこんなふうにはなってなかったんでしょうね、きっと」
アバルトがもたらしてくれた世界を“ものすごく大切”とおっしゃる松井さん。しばらくはアバルトに乗り続けるのでしょうね。
「興味はあるから最近になってもいろいろ試乗したりはしてるんですけど、やっぱりどれも物足りなくて。このクルマ以外、他に乗りたいクルマが見つからないんです。これから1回目の車検に入れるんですけど、もっともっと楽しさを広げてくれるような気もしてます。手放す気にはなれないですね」
確かにふわっとした雰囲気だし、クルマの買い換え時に独特の選び方をされたようですが、松井さんの気持ちは本物、楽しみ方も正統派。松井さんと黄色い595 Competizioneの蜜月が、いつまでも続きますように……。続くと思いますけど。
文 嶋田智之
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