SPECIAL INTERVIEWS: 石川紗織選手
<ABARTH DRIVING ACADEMY>のインストラクターでもある石川紗織選手は、ドリフトのレディス・クラスのシリーズ・チャンピオン経験もある日本屈指のプロフェッショナル・ドライバー。“りんごちゃん”の愛称で親しまれ、競技に出場する傍ら、<ほっこりんご練習会>というドリフト練習会を運営されている。今でこそドリフト・ドライバーとして著名なプロフェッショナルとなった石川選手だが、実はクルマが本当に好きになったのはそれほど昔のことではなかったのだそうな。御自身の愛車であるドリフト・マシンと並んでABARTHにぞっこんな石川選手に、ABARTHを語っていただいた。
−−男性には子供の頃からずっとクルマ好きという人が多いですけど、石川選手はいかがでしたか?
「それが・・・(笑)。私がクルマに興味を持ったのは、実は10年ぐらい前のことなんです。街中でとあるスポーツカーを見て“カッコイイ!”と思って。その頃にはサーキットを走るとか、ましてやドリフトの競技に出るなんて、考えたこともありませんでした。そもそもドリフト、知らなかったですもん。単純にそのスポーツカーに憧れたのがキッカケなんです。」
−−女性の間ではスポーツカーは不人気といわれることもあるのに、意外ですね。
「女性の中にだってスポーツカーが好きな人、結構いますよ。ただ、これ見よがしだったり乗り心地が悪かったりするのを好まない人が多いだけです。今の時代だとコテコテのスポーツカーっていうよりは、お洒落でスポーティなクルマの方が女性は喜ぶかも知れませんね。狙い澄ましたわけじゃないですけど(笑)、まさにABARTH!お洒落でスポーティでコンパクト。ABARTHには全て揃ってますよね。」
−−最初にABARTHを意識したのは、どんなときでしたか?
「数年前にクルマのイベントで見掛けたときかな?ドライバーとして活動をはじめた後だったんですけど、最初はスタイルがかわいいな、と思っただけだったんですけどね。それが今では<ABARTH DRIVING ACADEMY>のインストラクターをさせていただけるようになりました(笑)。実はご縁があって初めてステアリングを握らせていただいたときに“蠍”の部分を見てしまって、一気に好きになっちゃったんです。ツルシの状態でサーキットを走らせてもこんなに楽しいんだ!って。街中でも軽快に走ってくれるし、小さくて扱いやすいし、何より見た目がかわいいから、乗っていて自然にテンションが上がりますよね。」
−−フツーの500(チンクエチェント)じゃなくてABARTHなのは、なぜ・・・?
「街中でも何不自由なく乗れちゃうのに、サーキットに持ってきてそのまま走らせても何ひとつ物足りなさがないこと。1台のクルマでそれを無理なく両立できているクルマって、なかなかないじゃないですか。といって有り余るほどパワーがあるわけじゃないから、気軽にどこにでも乗って出られますしね。それに、何より運転する楽しさ。それに、遊び心、ですね。そのフォルムも、乗ったときのフィーリングも、街中での存在感も。そこは他のクルマと圧倒的に違う部分だと思います。というより、これは唯一無二、といっていいと思います」
−−石川選手のようなプロはともかくとして、普通の女性とABARTHとのマッチングっていかがですか?
「すごくいいと思います。むしろ女性にこそ乗って欲しい。ABARTHは確かに速いクルマですけど、速さよりも楽しさ、ワクワク感。ステアリングを握るときの気持ちいいドキドキ感。それがめっちゃ濃いんですよ。走らせてると絶対に元気になれますから。それでいてスタイリングはかわいいし、フツーにお買い物にもデートにも使える。そういうときに男性を隣に乗せて女性が走らせてたら、めちゃめちゃカッコイイと思います」
−−扱いに困るようなことはないですか?
「ないですね。マニュアル・トランスミッションを運転できない人は、パドル・シフトのモデルを選べばいいんです。パドル・シフトも反応はいいし、それはそれで気持ちいいですから、充分に楽しめますよ。パドル操作に慣れてないうちは、ステアリングとアクセルとブレーキに集中できるATモードでもいいので、まずは走る楽しさを知ってもらいたいです。それから徐々にパドルを使って積極的にシフトチェンジして走るようにステップアップしていけばいいと思います。ABARTHって高性能車だから扱いにくいと思われがち。でも、むしろ逆で、とても乗りやすいんです。それに私は小柄な方だけど、ポジション的にもちっとも不自由はないですよ」
−−どんなシチュエーションで走らせるのが似合うでしょうか?
「ルックスがルックスなので、似合わないところを探す方が難しいかも知れませんね。でも私としては、ABARTHの楽しさをさらに広げてもらいたいから、女性にもぜひサーキットを走ってみて欲しいです。多くの女性はサーキットだとかスポーツ走行に対して、ちょっと敷居が高いイメージをお持ちだと思うんです。だけど実際には全然そんなことなくて、お買い物でしかクルマに乗ったことのない人でも、実は簡単に踏み込めるもの。男性も女性も最初は同じで、凄いペースで走っている人も少しずつ慣れて少しずつ上手になって、今があるんです。要は心の垣根をひとつ跳び越えちゃえばいいだけで、その垣根だって本当はそんなに高くもないんですよ。これは私の実体験でもありますね。」
−−<ABARTH DRIVING ACADEMY>もありますしね。
「はい。BASEクラス(初心者クラス)は、そういう人のためのものでもあるんです。最近、女性の参加者も少しずつ増えてきてるんですよ。奥さんと旦那さんのふたりでABARTHに乗っていらして、今日は奥さんが参加する日、次は旦那さんが参加する日、っていう御夫婦もいらっしゃいます。サーキットを走って得られることって、街中の運転にも役立つんですよね。例えばフルブレーキングなんて普通なら余程のことでもないと体験しないものだけど、サーキットでは安全に試せます。それがどれだけ危険回避に役立つことか。気持ちにも走り方にも余裕が生まれます。でも、何よりサーキットならABARTHの楽しさをもっともっと深く知ることができるし、新しい貌を見ることもできます。ABARTHのような素晴らしく楽しいクルマを所有するのなら、絶対に体験しないと損です(笑) スポーティな走らせ方をサラリとこなせる女性が、もっともっと増えたらいいのになって思いますね。」
Text:嶋田智之
Photos:YosukeKAMIYAMA