Abarth 595 conversion kit|アバルトの歴史を刻んだモデル No.076
体感で2〜3割増速くなった
はたして、アバルト 595クラシケ・キットを組み込んだ後、クルマはどのように変化したのだろうか? 大倉さんご自身の言葉で語っていただこう。
「ずいぶん変わりましたね。まず低回転域から高回転域まで、全域に渡って力強くなり、パワーバンドも広がりました。自然吸気エンジンをチューンアップすると高回転域はパワーが出るけど低回転域がスカスカになるなんていわれることもありますけど、このキットを組んでからは、逆に運転がしやすくなりましたね。ノーマルだと登り坂で次第にスピードが落ちていましたが、それも解消されました。加速も巡航も、速さは2割から3割ぐらい増した印象です。坂道も高速道路も、まったく怖くなくなったんですよ(笑)」。
「エンジンのレスポンスもよくなったし、サウンドも激変して迫力たっぷりで、走る楽しさも増しましたね。現代のクルマでいえば、500 TwinAirがアバルト 595のベースモデルになったみたいな、それぐらいの違いですね。デメリットが見当たらないんですよ。当時の595のパフォーマンスやフィーリングはこんな感じだったのかというのを想像できて、組み込んでよかったと思います」
調べてみると、8月末時点でアバルト・クラシケにはまだ3つほどキットが残っているようだ。クラシック・アバルトには真贋(しんがん)論争がつきまといがちだが、そういうことは置いておいて、大倉さんはコンバージョンキットに純粋に満足している様子。かつてと同じようにクルマ好きの夢を再現してくれるアバルト・クラシケには、リスペクトの気持ちが自然と湧いてくる。
撮影協力=ホテルインディゴ犬山有楽苑
取材協力=桜香珈琲店