日本代表GK、権田修一選手が話すカタールW杯の感想と、アバルトの愛嬌

ゴールキーパーの難しさと醍醐味

「試合前に関していえば、W杯だからといって特別な準備はしていません。普段は所属クラブがあって、そこでしっかりプレーすることが大事ですから。練習ではポジションの取り方とか移動の仕方とかステップの組み方とかっていうのを反復して、普段から試合で無意識に動けるようにしておくのが重要だと思っています。皆さんはスーパーセーブって褒めてくださるんですが、突然あんな動きができるわけではなく、日々の練習の積み重ねの成果なんです。今回のW杯での自身のベストプレーは、クロアチア代表のモドリッチ選手のミドルシュートをセーブしたシーンですが、あのプレーもそもそもいいポジションが取れていないと不可能でしたから」

サッカーでは、唯一手を使うことができるゴールキーパー。もちろんゴールを守ることが最大の役目であるが、そのポジションにはキーパー特有の難しさがあると権田選手はいう。

「ゴールキーパーは他のフィールドプレーヤーと違って、そもそも運動量が少ないポジションなんです。今回のW杯でいえば、グループリーグのコスタリカ戦は一番難しかったですね。相手が引いていて日本が攻めている状況が長く続いたんですが、これだと自分のところにボールがほとんど来ない。運動量が減っているところから急に相手のカウンターが来たりすると、対応がすごく難しいんです。こうした試合では、『たまに来たボールくらいちゃんと止められるだろ』と皆さん思うかもしれませんが、こっちとしてはいきなりフルアクセルで動かなければならないので辛い。逆にドイツ戦やスペイン戦のように、ある程度の間隔でボールが飛んでくるほうが、手の感触とか体を動かすフィーリングが馴染むからいいんです。ゴールキーパーにとっては、シュートをたくさん打たれる試合よりも、1本しか打たれない試合の方が実は大変なんですよ。皆さんは意外に思うかもしれませんが」

カタールW杯の活躍により、一躍脚光を浴びた権田選手だが、国内でのゴールキーパーを取り巻く環境と育成についての課題にも取り組んでいる。

「サッカーってゴールが一番の醍醐味じゃないですか。だから自ずとフィールドプレーヤーがもてはやされがちですが、海外ではゴールキーパーの人気も高いんです。今回僕のプレーが注目されたことで、ゴールキーパーを目指す子どもたちが増えてくれることは嬉しいのですが、例えば少年サッカーとかですと、指導者が不足しているし、キーパーというポジションに対してきちんと理解できている人も少ない。そんな状況を鑑みて、僕も“ONE1-GK(ワンゴールキーパー)”というプロジェクトを立ち上げて、普及に取り組んでいます。小学校の高学年から中学生までを指導しているのですが、自分自身も改めて気づくこともありますし、ゴールキーパーをやっていて本当に良かったと思うことも多いです。そういう意味では日々成長させてもらっていますし。もちろん指導するのは経験者がいいですから、今後の育成のためには重要なプロジェクトだと思いますね」

権田選手は現在、アバルトが展開しているブランドアクティビティ The SCORPION SPIRIT「#My Goal」に出演。自身もアバルト595C Turismoを日常の移動手段としている。ドライブが趣味という権田選手に、アバルトに乗っていて感じる印象を聞いてみた。


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