日本代表GK、権田修一選手が話すカタールW杯の感想と、アバルトの愛嬌

いかにもではない、そのギャップがたまらない

「僕は2010年にイタリアに遠征やプライベートで行く機会があったんですが、街中がフィアット 500だらけで、いろんなボディカラーがあってオシャレだな、と思っていたんです。その中でやたら迫力あるエンジン音をしてるクルマがあって、よく見たらエンブレムが違っていて、それがアバルトということを知り、すごくカッコよくていつか乗りたいと思っていました。それから10年以上が経って、いまありがたいことに乗る機会をいただいていますが、とても気に入ってます。僕は身長も高いので、最初はアバルトみたいな小さいクルマだとちょっと窮屈かなと心配しましたが、実際使ってみると狭さを感じることはないですし、荷物も問題なく積むことができました。キャンバストップなので荷室のスペースは大きくないですが、リアシートにスーツケースなどの荷物も置けますから、それほど不自由は感じないですね。運転中はサッカーのことを考えていることが多いですが、ひとりの空間ということもあって静岡の海を眺めながらリラックスしてドライブしていますよ」

清水エスパルスの本拠地である静岡県は、美しい海はもちろん気持ちいい山道や風光明媚なスポットも多く、絶好のドライビングスポットでもある。そこをアバルトでドライブして気に入っているのは、その意外性だという。

「だってこんなにコンパクトで可愛らしいルックスのクルマが、大迫力のエンジンサウンドで走ってくるのって驚きですよね。そんなギャップがたまらないです。いかにもスーパーカー的なクルマがすごい音を響かせながら走っていても誰も驚かないと思いますけど、それがアバルトだと皆さんビックリするでしょ。そこが最高に魅力的だと思います。でも日本だとその性能を最大限発揮できないのにフラストレーションが溜まることはありますね。僕も攻めて走りたい気分の時はありますが、そこを敢えて抑えざるを得ないところにもどかしさを感じています(笑)」

幼少のころから、さまざまな喜怒哀楽を感じながら日々の練習や試合でも常に大好きなサッカーに対してチャレンジを続けてきた権田選手。最後に今後の目標について尋ねてみた。

「今回のW杯は本当に悔しい結果でした。それは目標をベスト8にしていた日本代表と、その上を目指していた他国チームとの違いの差が大きかったと思います。ですから次回のW杯では、ベスト8を通過点にして、決勝戦でも十分戦えるくらいの“余力”を持って臨むことが必要です。そこで初めて、“新しい景色”が現実味を帯びてくるんだと強く思います。

常に新たな挑戦をし、向上し続けている権田選手。その眼差しの先に、4年後のW杯で日本代表のゴールマウスを守っている姿が見えた。

文 相澤隆之

※本記事の内容は2023年1月時点のものです。