1959 FIAT ABARTH 750GT ZAGATO【動画】|アバルトの歴史を刻んだモデル No.078

憧れの新旧2台所有が実現

実際にフィアット・アバルト 750GT ザガートを所有してみてどうでしたか?

「やはりとても楽しいです。エンジンパワーは40psそこそこで数値上はパワフルではありませんけど、高回転まできっちり回りますし、車重が軽いこともあって十分に速く走れます。デザインについては50年代らしくクラシカルで、小さいクルマをとても魅力的に見せているなと感心します。このクルマが僕のところに来て20年ぐらい経ちますけど、途中6年半ぐらいかけてレストアを行ったんです。その時に、これまでの修復やボディ剛性を高めるために使われたパテや、FRPの補強材などを全部取り払って、本来の姿に作り直してもらいました。その結果、重量は大幅に軽くなりましたし、塗装も何度も見本を作ってもらい、納得のいく色を追求した結果、光の反射や輝きが以前より増して、とても満足できる状態に仕上がったと思います」

ガレージにはもう一台、695C Rivale(リヴァーレ)も停まっていますね。アバルトへの愛情の深さを感じますが、松村さんにとってアバルトとはどういう存在ですか?

「なんというか、自分にとって運命のようなものを感じているんです。ブランドが姿を消してしまう前から好きでしたが、復活したおかげで500Cとエッセエッセキットを購入し、その後、695C Rivaleに乗り換え現在に至りますが、僕がずっと夢見ていた新旧2台持ちが実現しました。クルマ好きの人なら同じブランドの現行車と古いモデルをペアで所有したいという気持ちを理解してもらえると思いますが、2台を所有することで、デザインだったり、カラーリングだったり、アバルトの美学が受け継がれていることを実感することができました。これからもどちらのクルマも大切にして、後世に伝えていけたらいいなと思いますね」

最初はブランドへの憧れからアバルトを所有し、新旧2モデルをガレージに収めるという、憧れのカーライフを実現した松村さん。70年近く前のクルマの維持には困難も伴うことが想像できるが、自身の納得のいくレストアを施し、より良い状態に作り上げて、それを後世に残そうとするそのスピリットは、アバルトの伝道師というにふさわしいもの。松村さんのフィアット・アバルト 750GT ザガートは、その誕生から100年を経ても、輝きを保ち続けていそうな予感がした。

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