1959 FIAT ABARTH 750GT ZAGATO【動画】|アバルトの歴史を刻んだモデル No.078

頭の中に残り続けたアバルトへの想い

このフィアット・アバルト 750GT ザガートを約20年所有されている松村さんに、アバルトとの出会いや、クラシックモデルを手にするに至った経緯をうかがった。

「もともと小さくて、すばしっこいクルマが好きだったんです。最初に手に入れたアバルトは、『フィアット・リトモ・アバルト 130TC』というモデルでした。当時僕は大学生で、中古で購入したそのクルマが最初のマイカーだったんです」

フィアット・リトモ・アバルト 130TCは、アバルトが1971年にフィアットグループ傘下に入った後、フィアット・リトモの高性能版として、1981年に送り出されたホットハッチ。アバルトの血が流れたこのモデルを松村さんは大変気に入って乗っていた。アバルトがメーカーとして姿を消していた時期である。

しかし松村さんのアバルト愛は冷めることはなかった。その後、「クーペ・フィアット」を新車で購入すると、それまでのアバルト流のチューニングを参照し、「アバルトならこうするだろう」という自らの想像と解釈でクーペ・フィアットにカスタマイズを施すなど、愛車とのカーライフを楽しんだ。と同時に、古いアバルトへの想いを深めていったのである。

「クラシックモデルを欲しいという漠然とした想いは以前からあったのですが、所有した経験があったわけではなく、そもそも古いアバルトは探してもそう簡単に見つかるものではなかったので、最初は入門用にもう少し年代の新しいアルファ ロメオあたりを購入しようと思っていたんです。ところがカーショップに相談したところ、『アバルトが欲しいなら遠回りすることはないですよ』と背中を押されたことと、そのお店にたまたまフィアット・アバルト 750GT ザガートが置いてあり、その個体を気に入ったことから購入を決めたという流れだったんです」


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