1959 FIAT ABARTH 750GT ZAGATO【動画】|アバルトの歴史を刻んだモデル No.078

1959 FIAT ABARTH 750GT ZAGATO
フィアット・アバルト 750GT ザガート

ミッレミリアを席巻したピッコロモンスター

大衆車をベースにチューニングを施し、性能をアップ。デザインにもこだわり、眺めているだけでも気持ちが動かされるアートのようなクルマ。それがアバルトに共通する特徴だと思う。現代のアバルトはもちろん、そうしたクルマづくりは昔から貫かれていた。小さなボディにもかかわらず、細部まで趣向を凝らし、スタイリッシュで、どこかホッコリするような愛嬌が感じられるデザイン。

そんな“アバルト・イズム”を色濃く感じさせる代表作のひとつが、ここで紹介する「フィアット・アバルト 750GT ザガート」。創始者カルロ・アバルトが指揮をとり、1956年に発表した、今から70年近く前の作品である。

フィアット・アバルト 750GT ザガートは、当時のイタリアの自動車づくりの特徴であるカロッツェリア(自動車工房)との協業により誕生した、いまでいうコラボモデルで、当時の大衆車「フィアット 600(セイチェント)」をベースに、アバルトがエンジン排気量をベース車より約100ccアップし、カロッツェリア・ザガートの手になるボディを身にまとって誕生した。


「ダブル・バブルルーフ」と呼ばれるザガート特有のデザインを初めて採用したのが、このフィアット・アバルト 750GT ザガートだった。

1950年代にすでにボディパネルにアルミニウムを採用することで軽量化が図られ、車重はわずか530kgと、現代の「595」シリーズの半分にも満たなかった。いかに車体がコンパクトで、レースで勝つことを狙ったクルマであるかがわかる。実際、フィアット・アバルト 750GT ザガートは1957年にイタリアの有名な公道レース、ミッレミリアのGT750ccクラスで、クラス優勝を含む、上位をほぼ独占する大活躍を見せたのである。そのほかヒルクライムや数々のモータースポーツで優れた戦績を残している。

なお、「フィアット・アバルト 750GT ザガート」は、アバルト・クラシケのNo.1でも取り上げているが、今回はオーナーの松村 啓(あきら)さんのご協力により、動画で紹介する機会を得ることができた。70年近くを経た2座GTの、走る姿や音を感じていただきたい。また次ページ以降では松村さんのインタビューを紹介している。

【1959 FIAT ABARTH 750GT ZAGATO|ABARTH CLASSICHE the Movie】


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