アバルトの“いま”へと繋がるヒストリックモデルが大集結。「グランプレミオ スコルピオニッシマ」
黄金期を彩ったモデルが富士で再会
小さいのに、いい音を響かせる小粒で小粋なスポーツカー。真っ赤なレーシングアバルトに囲まれ、かわいらしいNUOVA 500ベースのフィアット・アバルト595もその姿を見せた。パドックではあちらこちらで威勢のいいアイドリング音や、直線を立ち上がっていく轟音が鳴り響く。これだけのビンテージアバルトが揃うと、ピットにカルロ・アバルトが居そうな気さえしてくる。3月20日(木祭)に富士スピードウェイのショートコースを舞台に開催された「グランプレミオ スコルピオニッシマ」の一幕である。
グランプレミオ スコルピオニッシマは、新旧アバルトで構成される有志の会CLUB ABARTH GIAPPONE(クラブ アバルト ジャッポーネ)が主催するイベント。とりわけクラシックアバルトに精通することから、同クラブはABARTH DAYSなどのアバルト公式イベントでもクラシックモデルの展示やデモンストレーション走行を通じて、貴重なビンテージアバルトを披露してくれている。同クラブでは、クラシックモデルの動態保存をモットーとしており、今回のイベントもクラブミーティングの場であると同時に、会員の方々が愛車のエンジンに火を灯す場でもあるのだ。
NUOVA 500ベースのフィアット・アバルト595。写真のモデルは後ヒンジ式ドアを持つDタイプ。
集まったクルマたちはそれにしてもスゴい顔ぶれだ。1955年に登場したフィアット 600をベースにアバルトが生み出した「フィアット・アバルト 750 デリヴァチオーネ」、その進化版の「フィアット・アバルト 850TC」、さらに大排気量区分のレースで活躍した「フィアット・アバルト 1000 ベルリーナコルサ」など、600ベースの変遷をそのまま再現しているかのよう。


フィアット600をベースとするフィアット・アバルト 750 デリヴァツィオーネ(左)と、その高性能版のフィアット アバルト 850TC(右)。
750 デリヴァツィオーネ由来のエンジンをザガート製ボディに搭載した「フィアット・アバルト 750GTザガート」や、高性能化したエンジンを搭載したGTカーの「フィアット・アバルト1000ビアルベーロ」など、モータースポーツで活躍したモデルたちがサーキットを疾走した。
ダブルバブルルーフを特徴とするフィアット・アバルト 750GTザガート(左)と、1000ccに排気量アップしたDOHCビアルベーロユニットを積むフィアット・アバルト1000ビアルベーロ ロングノーズ(右)。
さらに、「フィアット131アバルトラリー」や、「ランチア デルタHFインテグラーレ」。「アバルト グランデプント」、「500/595/695」系など新旧モデルが勢揃いし、年代や速度を加味して分けられた各クラスで走行を楽しんだ。
アバルトが手掛けたランチア デルタ インテグラーレ(前)。その後ろに695トルブート・フェラーリ、124 spiderが続く。