アバルトの“いま”へと繋がるヒストリックモデルが大集結。「グランプレミオ スコルピオニッシマ」

 

生産台数7台のうち、わずか2台のアルミボディ製ロングノーズ

「フィアット・アバルト1000ビアルベーロ」で参加されていた福田能文(よしふみ)さん。福田さんの1000ビアルベーロは、いわゆるロングノーズと呼ばれるタイプ。生産台数は7台ほどと言われ、しかもそのうち2台ほどとされるアルミ製ボディをまとう、とても貴重な1台だ。サーキットを走るために生まれたモデルとあって、その乗り味はかなり刺激的なよう。


フィアット・アバルト1000ビアルベーロオーナーの福田能文さん。

「エンジンのレスポンスやボディの軽さを感じますね。何よりいいのは“音”。あまりスピードが出ていなくても、体感的に速く感じるんです。この音を聞いていると、速く走っている気がしてきて脳が麻痺してしまいそうです(笑)。シャシーは操作に対する反応がクイックですね。路面が濡れていたりすると、お尻を振るような挙動を示すので怖いですよ」と話してくれた。やはり純然たるサーキットスペシャルの走りはかなり刺激的なようだ。

親子でサーキット走行を満喫

現代の595 Competizioneに乗り、親子で参加されていた阿部克也さんとご子息の雄貴さん。聞けば雄貴さんは海外でのワーキングホリデーから前日に一時帰国されたばかり。「時差ボケも残っているんですけど、せっかく誘ってもらえたので参加しました」と意気込みを話してくれた。なお普段はお父さんがこの595 Competizioneを仕事にも使っていらしゃるとのこと。「都内の移動が多いので小さくてパワーもあるので便利なんですよ。音もいいし、このクルマだと移動が苦にならないですね。これまでに色々なクルマに乗りましたけど、やっぱりアバルトは楽しいです」と話してくれた。


595 Competizioneで参加されていた阿部克也さん(右)と雄貴さん(左)。

「サーキット走行の感想ですか? 楽しかったですよ。でもこんなに疲れるんだというぐらい、もうクタクタです。たくさん走って今日はもうお腹いっぱいですが、明日の朝になるとまた走りたくなっているかもしれません(笑)」と克也さん。一方、今回サーキット走行が初めてだった雄貴さんは「難しかったです。どのように走ればいいかまったくわからず、どんどん追い越されてしまい、悔しさもありました(笑)。でも、こういうクルマのイベントに参加したこと自体初めてだったので、こんな世界があるんだということを知ることができていい経験になりました」と実りの多い1日のなった模様。

人生において掛け替えのない存在

アバルト500で参加されていた藤井由紀さんは、免許を取ってから長年、ペーパードライバーだったという。あるとき仕事が大変で疲れてしまったときに、クルマにでも乗ったら変わるかも、と考えたところに、近所のショールームでアバルトを見て、直感的に「これだ!」と悟ったのだとか。エンブレムがサソリだったことも、さそり座の藤井さんを直撃した。


アバルト500で参加されていた藤井由紀さん。

「初めてのクルマだったのでとにかく練習しないといけない。乗るたびに命がけでした(笑)。でもそのおかげでクルマに乗ると普段の色々なことを全部忘れられてリフレッシュできましたし、生活に張りが出ました。クラブに入れていただいてから、箱根のツーリングなどにも誘っていただいて運転する楽しさがだいぶ分かってきました。私にとってアバルトは、クルマを楽しむという以上に、人生においてなくてはならない存在、掛け替えのない存在なんです」と藤井さん。いいクルマとすばらしい仲間たちに出会えたようですね!

参加されたモデルは、1950年代のモデルから2020年代のモデルまで、約70年もの時を隔たるモデルが揃ったが、刺激的な走りでドライバーを魅了するスピリットは不変であることを改めて知ることができた。また、ヒストリックモデルに深い愛情を注ぐ素晴らしいオーナーさんに恵まれているからこそ、こうして貴重なビンテージモデルが程度の良い状態で保たれているだろう。アバルトオーナーさんの素敵なカーライフを沢山見させてもらえたイベントだった。

文 曽宮岳大

取材協力:CLUB ABARTH GIAPPONE

アバルトオフィシャルWEBサイト https://www.abarth.jp/