電動化してもアバルトらしさは健在。“サウンドジェネレーターの実力”を試す。
電動化時代に現れた“ピッコロモンスター”
いまや自動車メーカーにとって「電動化」は避けて通れない道。そのなかでアバルトが挑んだのは、フィアット500eをベースに、ガソリンモデル「695 Competizione」と肩を並べる走りを実現することだった。そして生み出されたのが、新世代のホットハッチ「アバルト 500e」である。
0-100km/hをわずか7秒で駆け抜ける俊足ぶりに加え、キビキビとしたコーナリング性能を誇るアバルト500e。その走りは間違いなく「アバルトらしさ」を感じさせるものだ。しかし、開発陣がこだわりを注いだのはパフォーマンスだけではなかった。ガソリン車にはあってEVには存在しないもの。それが“エンジン排気音“である。「音こそがアバルトの魂」。そう考えたエンジニアたちは、アバルトファンが愛してやまないエンジンサウンドをEVにも宿らせようと、前例のない挑戦に乗り出した。そうして6000時間以上におよぶ開発の末、スポーツエキゾースト「レコードモンツァ」の響きを再現するサウンドジェネレーターが誕生したのである。
この装備は、アクセルを踏み込んだ瞬間から豪快な高揚感を演出する。さらに500eでは、アクセルペダルひとつで加速から減速まで行える、いわゆるワンペダル操作が可能だが、この機能とサウンドジェネレーターが連動することで、運転の楽しさがより一層引き立つのだ。
サウンドジェネレーターは、「設定」から「電気機能」内の「外部音」を選択し、チェックマークをクリックするとON/OFFを切り変えることができる。
ガソリン車では「排気音を楽しみたくて、必要以上にアクセルを踏み込んだり、シフト操作をしてしまう」という話をよく耳にするが、500eのドライビング感覚もそれに近い。サウンドジェネレーターはアクセルオンで快音を奏でるだけでなく、オフでは減速感を音で表現するため、ついアクセルのオン/オフを楽しみたくなる。感情にまで踏み込んでくるところも「695 Competizione」譲りである。
今回はそのサウンドジェネレーターが奏でる音を、高速道路、ワインディング、そしてトンネルで試してみた。その模様は動画でご覧いただきたい。
【500eサウンドジェネレーターを高速/ワインディング/トンネルで試す】
なお、サウンドジェネレーターはOFFにすることも可能だ。ONでは運転を音楽のように彩り、気持ちを高ぶらせてくれる一方、OFFにすれば静かな走行が可能となり、夜間の帰宅や早朝の出発時には周囲への配慮ができる。こうした使い分けが可能な点も500eならではの魅力である。まさに“令和のピッコロモンスター”と呼ぶにふさわしい仕上がりだ。
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