「ABARTH 124 spider」のディテールをチェック!
8月5日に待望のジャパンプレミアを飾ったオープンスポーツカー「ABARTH 124 spider(アバルト 124 スパイダー)」。今回は、注目のニューモデルが70年代の『アバルト 124 スパイダー ラリー』から受け継いだものや、仕様によるデザインの違いに注目しながら、新型のディテールをチェックしていこう。
いよいよ日本に上陸した『アバルト 124 スパイダー』は、語るべき点が多いモデルだ。自動車ファンならご存じのようにマツダ ロードスターのアーキテクチャーをベースにしているものの、アバルトが独自に開発している箇所が多いからだ。外観のスタイリング、インテリアのデザインや用いる素材、パワートレイン、サスペンションおよびステアリングフィールなどに、アバルトならではのこだわりが見受けられる。また、このクルマは1970年代にラリーフィールドを席巻した『アバルト 124 スパイダー ラリー』へのオマージュという性格も持ち合わせている。
アバルト124スパイダーのどこにアバルトらしさが表現されているのか。また、どの部分がヘリテージを尊重しているのか。微に入り細に入り、ディテールをチェックしてみよう。
右が1973年型『アバルト 124 スパイダー ラリー』。左がお披露目された『アバルト 124 スパイダー』。

インターナショナル・ラリー(現在のWRC)のタイトルを獲るために、エンジンも足まわりも、ベースとなった『フィアット 124 スパイダー』から大幅に強化されている。エンジンフードとトランクリッドが2トーンカラーとなっているのも特徴だった。

写真のモデルのボディカラーはパールホワイト。ほかに、レッド、ブルー、ホワイトの計4色をラインナップする。エンジンフードとトランクリッドのマットブラック仕上げは、参考出展。2017年からのラリー参戦も見据えて、ラリー仕様の開発が行われている。

ルームミラーにこのフロントグリルが映ると、ただ者ではない気配を感じる。フロントグリルは、六角形の枠内にブラックアウトされた格子を配置していた。

フロントグリルの形状や色は踏襲しながら、フロントバンパー下の大型エアインテークがさらなる高性能ぶりを表現している。

1970年代当時、ベースとなった『フィアット 124 スポーツスパイダー』はアフォーダブル(手頃)なスポーツカーという立ち位置だった。丸目のヘッドランプが親しみやすかったベース車の性格を表現している。

ビンテージ版の『アバルト 124 スパイダー ラリー』と比べて、ぐっと精悍になった目付き。オプションでLEDヘッドランプを選ぶこともできる。

1970年代、パワーバルジと呼ばれるエンジンフードのふくらみは、エンジン排気量の拡大とともに大型化していった。軽量化のために、エンジンフードはFRP製となっている。

パワーバルジは、新型『アバルト 124 スパイダー』にも継承された。このふくらみは、エンジンが縦置きされていることを示唆するものだ。

ビンテージ版『アバルト 124 スパイダー ラリー』のデザイン的なハイライトのひとつが、ドアからトランクリッドに向けて跳ね上がるキャラクターライン。

新型『アバルト 124 スパイダー』も、ビンテージ版『アバルト 124 スパイダー ラリー』の躍動感を表現するキャラクターラインを受け継いだ。

エンジンフードとトランクリッドだけでなく、写真のサイドシルやハードトップもブラックアウトされるのがビンテージ版『アバルト 124 スパイダー ラリー』の外観上の特徴だった。

新型『アバルト 124 スパイダー ラリー』もサイドシルをブラックアウトすることで凄みが増し、内に秘めた高性能を外観でもアピールする。

スクエアな形状のリアコンビネーションライトが、ビンテージ版『アバルト 124 スパイダー ラリー』のリアビューを大きく特徴付けていた。

形状を継承したほか、内側にボディと同色のインサートを設けることで、テールランプはリング状の光を放つ。新型『アバルト 124 スパイダー』のリアビューの個性となっている。

ブラックアウトされたトランクリッド、スクエアな形状のリアコンビネーションランプなど、ヘリテージを継承していることがよくわかるカット。

エンジンは、1.4リッターマルチエア4気筒ターボエンジンを搭載する。スペックは最高出力170ps、最大トルク250Nmで、0-100km/hを6.8秒で加速する。

アバルトがこだわるエキゾーストノートは、アクセサリー設定される「レコードモンツァ デュアルモードエキゾースト」により、魅力的に演出される。エンジン回転数に応じて排気経路が変化し、アクセルをグッと踏み込んだときの快音が追求されている。

足回りはブレンボ製ブレーキシステム(フロントはアルミニウム製対向4ピストンキャリパー)により強化されている。また、ダンパーはビルシュタイン製のものを採用する。

左がパールホワイト、右がソリッドのホワイトと、白だけで2色を用意している。右モデルのマットブラックのボンネットフードは、参考出展されたもの。

左はアルカンターラインテリアキット(参考出展)装着車。ダッシュボードがアルカンターラで覆われている。右が標準のインテリア。

シートは、レザーとアルカンターラのコンビが標準装備(右)。レザーはオプションで、写真のレッド(左)のほかにブラックも用意される。
本格オープンスポーツ「ABARTH 124 spider」が発表
Text:Takeshi Sato
