アバルトで走りたいドライブルート【志賀草津高原ルート(群馬県-長野県)】

別世界観が味わえる

新緑が芽吹き、ドライブが気持ちいい季節が到来。国内の情勢も改善してきて、久々にロングドライブに出掛けたいとお考えの人も多いのでは? そこで今回は、緑が美しく深まるこれからの季節にぴったりな、走って楽しく、風光明媚なワインディングロード、群馬県と長野県を結ぶ国道292号線、「志賀草津高原ルート(志賀草津道路)」をご紹介。日本国道最高地点を通るこの天空の道は、原始の自然がそのままの姿で残っており、別世界に来たようなトリップ感を味わえるのが魅力。


ドライブのお供は「595」。コンパクトなボディながら最高出力145psの力にゆとりのあるエンジンが、登坂路でも車体をぐいぐい引っ張っていく。 志賀草津高原ルートは道幅も十分に確保されていて、走りやすかった。

志賀草津高原ルートは、群馬県の草津温泉と長野県・湯田中温泉郷を結ぶ、約46kmの山岳道路。例年、11月下旬から4月下旬頃までは冬季閉鎖され、今年は4月22日に全線通行可能となった。周辺に草津温泉スキー場や横手山・渋峠スキー場など多数のスキー場があり、横手山・渋峠スキー場はなんとGW明けまで滑れる滑走路もあるという。そんな標高の高い土地ゆえ、地域によっては夏日となる日もあるこの時期に、まだ道路周辺には残雪が残り、旅気分を盛り上げてくれるのだ。


途中の展望駐車場から見下ろした群馬県側の景色。

今回は、関越自動車道・渋川伊香保ICからアクセス。カーナビに志賀草津高原ルートの最高地点付近の名称「渋峠」と入れ、道案内に従いながら県道35号線・国道145号線経由で草津方面へと進んでいく。ワインディングの起点となる草津温泉までは渋川伊香保ICから約55km、そこまででも1時間を超えるドライブとなるが、道中には道の駅や農産物市場、観光名所などがあり、退屈することはない。草津方面まではほぼ道なりに進めばよく、進路に迷う心配もないだろう。


草津温泉から志賀高原を経て、湯田中温泉郷までのワインディングロードが見どころ。今回は群馬県側の関越自動車道・渋川伊香保ICで降り、志賀草津高原ルートを堪能したあと、長野県側の上信越道・信州中野ICから帰路についた。

県道145号線は大津の交差点を過ぎると国道292号線へと名前を変え、草津に辿り着く。周囲が開けた景色に囲まれた一本道で気分がいいが、途中、反対車線で速度違反の取締りをやっているのを見かけた。くれぐれも安全運転で。草津温泉スキー場を抜けると、木々が深まりワインディングロードらしい風景となる。いよいよ本格的なワインディングロードの始まりだ。


志賀草津高原ルートの群馬県側の玄関口を走る「595」。白樺が群生し、高原ルートを走っていることを実感させてくれる。

活火山ゆえの臨場感

やがてこのドライブルートの世界観の片鱗を伝える、「殺生河原」が目前に見えてくる。“殺生”とはなんとも不気味な名称だが、付近に硫化水素ガスが噴出し、あらゆる生物を受け入れないことから、そう呼ばれるようになったようだ。付近は草木が生えておらず、地面は白ずみ、周辺には黒っぽい火山岩が吹き出したままの状態で転がっている。荒涼な風景だがどこか人の関心を惹きつけるものがあり、自然のダイナミズムを感じずにはいられない。


木々が立ち並ぶ区間を抜けると突如視界が開け、行く手に殺生河原が見えてくる。

草津白根山は活火山だが、現在のところ、噴火警戒レベルは1に引き下げられている。とはいえ警戒は続いており、遊歩道の入山規制が敷かれ、白根レストハウスや駐車場は閉鎖中だ。そのため残念ながら観光名所であるエメラルドグリーンの火山湖「湯釜」を見学することは叶わないが、志賀草津高原ルートを走行するだけでも、その世界観は否応なしに伝わってくる。荒涼とした風景と新緑のコントラストが美しいのだ。


殺生河原付近。有毒ガスが発生し、付近には草木が生えない。荒涼とした風景と緑のコントラストが独特の風景。志賀草津高原ルートはそのすぐ脇を通っており、付近にはいわゆる温泉臭が漂う。

しかも5月中旬だというのに、付近にはまだ残雪が残っている。この日の日中の気温は15度前後あり、さすがに路面凍結の心配はなかったが、深夜や早朝はまだかなり冷えるのだろう。道路脇の斜面や日の当たらない木陰に積み上がった雪からの解け水が路面を濡らしているところもあった。


“雪の回廊”と呼ばれる区間。5月中旬にもかかわらずまだ沢山の雪が残っていた。

岩肌がむき出しのところと緑が茂る場所が交互に訪れる山々を縫うようにして進んでいると、何やら動いている動物の姿が視界に飛び込んできた。茶色い毛並みに2本の短いツノ。カモシカらしい。そういえば長野県にはカモシカが多数生息していると聞いた。目撃したのは群馬県内だが、県境はもう近い。アバルトの排気音でびっくりさせてしまわないように静かにその場を走り去った。


道端でカモシカを発見。

国道では高さ日本一

日本海側と太平洋側への水脈を分ける中央分水領を超え、さらに“雪の回廊”を過ぎると、ようやくクルマを停められる駐車場が出てきた。景観を楽しんだり、愛車の記念撮影をしたりするのにオススメ。


殺生河原側の斜面には駐車できるスペースはほとんどないが、山頂に近づくと、いくつか展望駐車場が出てくる。季節外れの雪景色を背景とした写真が撮れる。

尾根に沿ってしばらく進むと、“日本国道最高地点”に到着。標高2,172m。その石碑を背景に群馬県側を見下ろしながらお決まりの記念写真をパチリ。


日本国道最高地点の石碑が立つ駐車場。停められる台数が限られ、混み合うこともあったが、隙を狙って「595」を絡めたショットが撮れた。

長野県と群馬県の県境上に建つ渋峠ホテルを過ぎ、長野県に入りしばらく走ると、横手山ドライブインにたどり着く。ここは山頂付近ではもっとも大きな休憩スポットで、軽食が食べられるレストランやカフェ、土産物屋が併設されている。また横手山スカイレーター(動く歩道)とスカイペアリフトを乗り継いでいけば、標高2307mの横手山の山頂に立つことができる。


山頂付近に近い長野県側の休憩スポット、横手山レストハウス。群馬県側のレストハウスが入山規制に伴い臨時休業しているため、ゆったり休憩できる貴重なスポットだ。

さて、いよいよ帰路へ。帰りは来た道を戻るコースと、志賀草津高原ルートをそのまま突き進む2つの選択肢があったが、まだ見ぬ景色を求めて、長野県側から峠を下り、上越自動車道・信州中野ICへと抜けるルートを選んだ。結果的にそのチョイスは成功で、新たな出会いや立ち寄りスポットを楽しむことができた。


長野県側は高原ルートといった趣。

道中で今度は猿に出会い、夢中でカメラのシャッターを切った。猿は集団で行動しており、その中に赤ちゃん猿を抱いた母猿の姿もあった。その姿を写真に収めることができたのは良かったが、どうやら人間に対する恐怖心がまったくないらしく、平然とクルマに近づいてくるので逆にこちらが不安になったほど。地元の人と思しき通行車は猿のことなどお構いなしに走り去って行ったので、おそらくこの付近で猿を見るのは珍しいことではないのだろう。


猿の親子を発見。路上に立ち止まっていることもあるためご注意を。

日帰りだともう一度来たくなる

また、志賀草津高原ルートは群馬県側と長野県側で大きく表情を変える。長野県側のルートは、白樺の間をくぐり抜ける高原ルートで、なるほどこのルートが“浅間・白根・志賀さわやか街道”の一部に含まれていることに納得する。道路沿いにいくつかの池を見ることができ、避暑地らしい清涼感に溢れた雰囲気で、旅の疲れを癒してくれたのだった。


志賀草津高原ルート沿いの「丸池」。サンバレースキー場の近くに位置する。周辺には琵琶池もあり、ちょっとした立ち寄りスポットには事欠かない。

志賀草津高原ルートは路面のコンディションも良く、ドライビングそのものを楽しむことはできるが、個人的には、めまぐるしく変化する景色を堪能しながら、ゆったり流すぐらいが心地よく感じられた。高速道路から目的地までの距離感もたっぷりあるので、ドライブの際は時間に余裕を持って計画を練りたい。お住まいの地域によってはワンデートリップでのドライブも可能かもしれないが、ただその場合、1日中運転し続ける覚悟が必要で、もしご当地グルメを堪能したり、日帰り温泉を楽しんだりしたいなら、1泊2日でゆったり過ごしたいところ。それだけ周辺にも様々な魅力や誘惑の多いドライブルートだと感じた。

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