アバルトで走りたいドライブルート【寸又峡の絶景を巡るワンデートリップ(静岡県)】

刻々と変化する風景を楽しむ旅

ドライブの楽しみを広げてくれる絶景を求めて──。今回のドライブの目的地は、静岡県の寸又峡(すまたきょう)。景色とドライビングの両方を満喫でき、目的地には散策の楽しみも。周辺に立ち寄りポイントが点在し、丸1日楽しめる見どころ沢山のエリアへ。595 Competizioneで向かいます。

アクセスの方法はいくつかありますが、オススメしたいのは新東名高速道路の島田金谷インターから大井川沿いを通るルート。カーナビの目的地は、「寸又峡温泉」と設定してください。

新東名高速・島田金谷インターから寸又峡までは、ざっと1時間20分ほど。道中に魅力的なスポットがあるので、寄り道も楽しみながら目的地を目指します。

島田金谷インターを出てまず国道473号を北上します。右側に大井川の広大な河原が広がり、それに沿ってワインディングロードを右へ左へと気持ちよく走っていきます。ふと気づくと標高はかなり高く、大井川は視界の遙か下方に。景色がパノラマのようにワイドに広がっています。途中、一部センターラインのない狭い区間もありますが、道路はおおむね良好です。

途中、ワインディングのようなコーナーが続く区間や、牧歌的な景色を眺められるエリアなど、バラエティに富んだドライブを楽しめます。

しばらく走ると島田市抜里あたりで国道473号は左に折れていきますが、案内標識の“寸又峡 川根本町”方面を目指して道なりに進みます。すると県道77号、通称 川根寸又峡線に。道路は整備されていて、静岡らしい茶畑の広がる牧歌的な風景の中を通り抜けます。

茶畑を行く595 Competizione。周辺には、お茶の販売所もあり、土産物の購入も可能。

昭和の香りを伝える情緒ある浪漫鉄道

県道77号、“川根寸又峡線”を、道なりに進んでいくと途中で国道362号へと移りますが、道路標識やカーナビを頼りに“寸又峡 千頭”方面へと舵をとってください。何度か大井川をまたぐ橋を渡り、川根本町田代あたりで“千頭駅”を示す案内標識が出てきたら、それに沿って左折。そこから再び県道77号です。川を渡って右折すると、ほどなくして千頭駅が左に見えてきます。

大井川本線に沿って走ります。写真は、あおべ駅。駅舎はどこか懐かしい雰囲気で、旅の気分を盛り上げてくれます。

始点とした島田金谷インター辺りから千頭駅までは、大井川鐵道の大井川本線とつかず離れずのようになりながら、ほぼ平行して走ります。運がよければ、大井川鐵道名物の蒸気機関車、SLを見ることができます。

そのSLの終着駅が、ここ千頭駅。構内には1897年に英国で製造された転車台があり、手動でSLの方向転換が行われています。そしてこの駅は、さらに山間部へと進んでいく井川線の発着駅となります。井川線は一般的な列車よりも小さな車両で運行され、日本で唯一のアプト式鉄道区間のある、通称“南アルプスあぷとライン”。この路線は駅の半数がいわゆる秘境駅で、どこか懐かしい雰囲気の駅舎を眺めることができます。鉄道好きの人にはたまらないはず。フォトスポットを探してみるのもいいでしょう。

千頭駅に停留する井川線。小さな車体がかわいらしく、おとぎの国に来たかのよう。千頭駅近くにはSL資料館も。

千頭駅から先は延々、県道77号線を走ります。とはいえ、ここまで来ればルートの3分の2をクリアしたようなもの。標高が高くなっていき、山間部らしい風景に。しばし気持ちのいいワインディングロードが続きますが、途中にセンターラインがなくなって道がグッと狭くなる区間があるので、注意して進んでください。

ワインディングロードを駆け抜ける595 Competizione。ゆったりとしたドライブでも十分に楽しめるのが魅力。

エメラルドグリーンを望む長さ90mのつり橋へ

この辺りまで来ると、木々の間に寸又川が見えてきます。視界が開けると、美しい渓谷が現れます。狭く曲がりくねった道、ドライバーには見ているゆとりはなく、同乗している人に楽しい区間です。再びセンターラインが出てくると、ほどなくしてクルマで行ける終点、寸又峡温泉です。ここには町営の無料駐車場があり、クルマを停められます。

寸又峡温泉に到着。周辺には温泉や足湯の施設、食事処などがあります。クルマを停めて、しばし散策をお楽しみください。

寸又峡温泉エリアには、温泉宿のほか、食事処やカフェ、地のモノを販売する土産物屋などがあります。往路はゆっくりお店をチェックしながら、このエリアの一番の名所 “夢のつり橋”を目指してください。その昔は森林鉄道の軌跡だったところを利用して作られた緑の中の遊歩道を、渓谷を眺めながら歩くこと30-40分ほど。視界に飛び込んでくるのは、なんとも美しいグリーンの湖面。その上に、長さ90m、高さ8mのつり橋がかかっています。ここが今回の目的地です。

遊歩道をしばし歩くと、夢のつり橋に到着。フォトジェニックな美しい景色と歩くたびに揺れるつり橋のスリルを満喫。

寸又川を堰き止めて作られた大間ダムは、さらに上流の寸又川と大間側が合流する場所。そこにつり橋がかけられています。水面の色が美しいのは、水の透明度が高いから。チンダル現象という、光の特性によって起こる現象によって、差し込む光の具合でエメラルドグリーン、ターコイズやコバルトのブルー、あるいは「695 70°ANNIVERSARIO」のボディ色のようなグリーン……と、彩りを変化させていくのです。とてもフォトジェニックな景色でした。島田金谷インターから約56km、1時間20分ほど。そこから徒歩で約2km、30-40分ほど。その時間(と体力)を費やして来ただけの価値は十分ありました。

ワンデートリップのクライマックスは、長さ90mのつり橋渡り。目下にエメラルドグリーンのチンダル湖を望みます。ただし前日に雨が降ると、水面が濁ってしまうこともあるようです。

寸又峡温泉に戻ると、川魚料理や山菜料理、蕎麦などを食したり、日帰り温泉も利用できたりするので、疲れを癒して帰路に着くことができます。余裕があれば、帰り道を途中で県道388号に入り、接岨湖の美しいグリーンの水面が眺められる長島ダムに立ち寄るもよし、その先の奥大井湖上駅駐車場まで行き、展望台や湖上駅で美しい景色を眺めるのもいいでしょう。

長島ダム周辺をいく595 Competizione。駐車場にクルマを停め、歩いて散策することもできます。

ルートは大井川鐵道に沿って通っており、少し道から外れれば、風情のある愛らしい駅舎もたくさんあります。道の駅もいくつかありますし、土産物を買うことも。ゆったりとした大人の休日ドライブを満たしてくれます。

これまでにご紹介したワインディングロードとは異なり、ほとんどが地元の方々の生活道路で、スポーツドライビング向きではありませんが、観光シーズンでなければ混雑はしませんし、道の流れに合わせて走っているだけで、運転をおなか一杯になるまで楽しめます。

寸又峡にある草履石公園内にある池。モネの池を思わせる美しい緑が広がっています(左)。周辺には食事処がいくつかあり、食欲を満たすことができます(右)。

島田金谷インターから約56kmと結構距離はあるので、往復にはそれなりの時間を要します。時間に余裕があるときに、1日かけてアバルトでドライブを楽しみながら、寸又峡温泉の周辺を散策し、美しいグリーンの湖面を眺めながら吊り橋を……と、ゆったりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょう?


文 嶋田智之


595 Competizioneの詳細はコチラ

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