“芸術”と“本物”にかける思い。静岡県・誠恵高校の595 Competizione“黒板カー”とは!?
渾身の黒板カー。生徒の反応は!?
「595 Competizione」の黒板カーはどんな場面で使用されているのですか?
「入学式や卒業式のメッセージカーとして活用したり、昨年、沼津市政100周年の際にはボランティアでコーヒーを出店し、黒板カーも活躍しました。あとは静岡の賀茂郡にiZoo(イズー)という体験型動物園があり、そこに二科展で入選した生徒のワニの陶芸を並べてもらったのですが、その時はイズーのロゴを車体に描いて会場まで走らせました。そのようにイベントがある度に生徒たちに作品を描いてもらっています。人に見てもらえるとなると生徒たちは本気で作品づくりに取り組みますし、学校のアピールにもなってくれています」


入学式や卒業式では“メッセージカー”として黒板カーが活躍。
そんな誠恵高校の黒板カー。取材の際には生徒さんがアバルトのロゴを描いてくれた。作業に取り組んでくれたのは、油彩専攻の塩川君と陶芸専攻の岸さん。美術部と陶芸部の先生もサポートしてくださった。生徒と先生に黒板カーやチョークアートについてお話しをうかがった。
塩川君はクルマ好きとのこと。お父さんがいつも愛車を綺麗にしている姿を見て、マイカーへの憧れを膨らませているそう。車体にデザインを描くのはどんな感覚ですか?
「クルマ好きということもあり、車体に描いてみたいという好奇心から参加しました。先生が描く図柄を示してくださり、それをチョークで車体に載せていくのですが、アバルトのロゴが複雑なので再現するのが難しかったです」とのこと。
油彩専攻の塩川君。
塩川君は以前は絵画の色付けが苦手だったそうで、あえて苦手なことに挑戦したいという思いから油彩を専攻に選んだとのこと。まもなく18歳の塩川君。「もうすぐ免許を取得できるのが待ち遠しいです」と展望を話してくれた。
一方、岸さんは、普段はろくろを回し、立体作品の制作に取り組む陶芸部の生徒。油彩の専攻でないにもかかわらず、今回アバルトのための制作に参加してくれた。
「普段手掛けている作品と違い、クルマは手で動かすことができないので、自分自身がクルマに寄り添うようにして丁寧に作業しました。チョークアートではチョークを粉状に溶かして筆で載せていくのですが、塗るというより載せるのが難しさでもあるので、集中して取り組みました」と作品づくりへの熱意を語ってくれた。
陶芸部の三浦先生によれば、こうしたチョークアートについては、「黒板アート甲子園」という展覧会への出展を通じてノウハウを培ったとのこと。その経験が今回の作品づくりに生かされたようだ。
美術部の斎藤先生から指導を受けている塩川君と岸さん。
また美術部の斎藤先生によると、黒板アートでは、地の色を生かし、あえてそこに色を載せずに作品づくりを行うという。今回の作品では、ロゴ内のABARTHの文字の部分を黒に見立てて描写し、黒板アートならではの表現を発揮してくれた。


アバルトのロゴやコーヒーブレークのビジュアルが描かれた。
アートに力を入れているだけあって、先生や生徒の作品づくりにかける情熱は見事の一言。アバルトロゴを単にそのまま描写するのではなく、車体の左右に半身ずつ描き、サソリのハサミをロゴからはみ出させるなど、独自のアレンジも!力強さを感じさせながらおしゃれ感もあり、さすが芸術コースの作品と唸らせられる仕上がりだ。
理事長の本物に触れてもらいたいという思いは生徒さんに響いている模様。これからも素敵な作品を期待しています。ぜひアバルトのイベントにも顔を出してくださいね!
595 Competizione黒板カー&124 spiderとともに、先生・生徒で一緒に記念撮影。
文 曽宮岳大
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