アバルトで走り続ける、海苔屋としてのこだわり。アバルトライフFile.90 古市さんと500

海苔とアバルト。一見関係なさそうな二つに、共通する“職人魂”があった。創業150年の老舗の老舗が受け継ぐ技と、走行18万kmに及ぶ、愛車に息づくクラフトマンシップ。吉田商店・五代目修行中の古市レオナさんが語る、クルマと仕事に通じる“こだわり”とは。

乗ると一気に非日常へ

まず、アバルトとの出会いから教えてもらえますか?

「小さい頃からクルマが大好きで、 アバルトのことも知っていました。でも、自分が所有するとは思っていませんでしたね。以前はドイツのコンパクトカーを所有していたんですが、そのクルマはオートマチックだったんです。走りのいいクルマが好きだったので、“やっぱりマニュアルのクルマに乗りたい”と思うようになり、クルマを探し始めました。いろいろ見たり試乗したりしたんですけど、なかなかピンとくるクルマがなくて。ある日、少し予算オーバーでしたが、アバルトを見に行ったんです。エンジンをかけ、試乗したら、もう心を奪われてしまいましたね」

思い描いていた理想像のイメージとアバルトが重なったのでしょうか?

「アバルトは、それまで乗ってきたどのクルマと違いました。 乗ると一気に非日常の世界になる感じがあり、“自分が求めていたのはこれだ!”と思いましたね。移動の手段ではなく、乗ること自体が楽しい。気づいたら契約書にハンコを押してました(笑)」

デザインも好みだったのですか?

「正直言うと、最初は自分の好みとは違っていたんですよ(笑)。僕はどちらかというと四角くて細長い目のデザインが好きだったんです。アバルトはちょっと可愛すぎるなって思っていたんですけど、1〜2ヶ月も乗るうちに、“めっちゃ可愛い”と思うようになりました。そして昔のチンクエチェントを見た時に、“こんなに多くの部分が受け継がれているんだ”と腑に落ちたんです。新しい500eも現代的な解釈がなされていますが、それでもしっかりと伝統が残っている。ただ可愛いだけでなく、連綿と受け継がれるデザインの継承を感じ、ますます愛着が湧きましたね」

アバルト関連のイベントにはよく行かれるんですか?

「アバルトのイベントに参加するようになってまもなくの頃、ファンの数の多さとオーナー同士のつながりの強さにびっくりしました。その後、Twitterなどで交流が広まるうちにどんどん楽しくなって、頻繁にイベントに足を運ぶようになりました。あるとき、“イベントに来ているお父さんは楽しいけど、家で待っている家族はどうなんだろう?とふと思ったんです。だったら、家族へのお土産があった方がいいなと思って、出店して海苔を販売するようになりました。もし、買ってくれたお客さんやご家族がうちの海苔を美味しいと思ってくれて、“お父さんまた海苔買ってきて”みたいになったら、お父さんもイベントに行きやすくなるし、全員ハッピーじゃないですか。そうやって楽しんでもらえたらいいな、と思ったんです」

出店して反響はいかがでしたか?

「思わぬ反響に本当にびっくりしました。 いくつかのイベントに出店しているんですが、お客さんがどんどん増えて、リピーターの方も増えたんです。アバルトのオーナーさんは、“クルマ好き”を超えて、色々なことを楽しんでいる人が多いじゃないですか。 クルマがキッカケで知り合い、一緒に登山に行っている方もいらっしゃいますし。それってすごいことだと思うんです。楽しむことにとてもオープンな方が多くて、国籍は日本でも中身はイタリアンなんですよね(笑)」

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