「このクルマに乗るようになって、曲がる楽しさを痛感しています」アバルト124スパイダー オーナーインタビュー
鮮やかなブラックのボディが目を引く124スパイダー。その運転席に座るのは、小野貴弘さん。高出力スポーツサルーンから一転、ライトウエイトスポーツの124スパイダーを愛車に選ばれました。124スパイダーに決められた理由やお気に入りの点をうかがいました。
軽さに勝る性能はないなと
「病は気からというか、気の持ちようでずいぶん変わってくるので、ストレスは体によくないんですね。それもあって、ストレス解消のできるこういうクルマを買っちゃうんです……」と笑うのは、小野貴弘さん。1969年生まれのドクターです。さらに「もういい年ですからね。やりたいことやっておかなきゃと思って」とも。
小野さんの愛車は、メタリックブラック(NERO SAN MARINO 1972 ブラック)のアバルト124スパイダー。日本導入1周年を記念して100台のみが販売された限定モデル“1 Year Anniversary”の6速MT仕様です。純正アクセサリーの中から明るいシルバーのフロントピラーベゼルを、フロントグリル内の赤いフックキャップを装着するなどのドレスアップが施されています。
大学時代に免許を所得して以来、さまざまな日本車を乗り継いでこられた小野さん、中にはフルチューンを加えた500psオーバーのスポーツサルーンに乗っていたことも。現在は、アバルト124スパイダーとクロカン4WDの2台体制。手塩にかけた超ハイパワーマシンから、ライトウェイトスポーツカーに乗り換えることになったのは、なぜなのでしょう?
「パワーを追いかけるのは結構やるところまでやったからもういいかな、という気持ちになってきました。そして今度は“曲がる”ということに興味が膨らんできたんです。500psオーバーの大きなセダンだとそういうことは考えられなかったので、ターンについて勉強したり楽しんだりしたくなったのです」
──アバルト124スパイダーの他には、候補に挙げたクルマはありましたか?
「それが、なかったんですよ(笑)。大学生の時にマツダからユーノスロードスターが出て、このタイプのクルマにずっと興味はあったでんすけど。僕は後輪駆動でターボエンジンのクルマが好きなんです。そうなるとこのクラスではアバルト124スパイダーが唯一。他に選択肢がないんですよね。車重が軽いからブレーキやタイヤもあまり傷めないだろうし、リーズナブルにある程度以上の楽しみ方ができるかなとも思いました。もちろんアバルトというブランドは昔から知っていて、学生時代にアウトビアンキA112アバルトがいいなと思ったこともあり、機会があったら乗ってみたいブランドでもあったんです」
2017年の9月、小野さんはアバルトのディーラーを訊ねます。そして試乗もせずに購入されたのだとか。
「何しろ一択ですからね(笑)。ただしスペックをはじめ、色々調べたり吟味したりはしましたし、ディーラーでしっかりクルマを見せていただいたりもしましたけどね。カタチもお洒落だと思っていました。クラシックな感じもいいですよね。このデザインを買ったようなところもあるかもしれません」
──初めてアバルト124スパイダーを走らせた印象はどうだったのでしょう?
「すぐに感じたのは“軽いな”ということでした。パワーはクルマを前に進ませるだけですけど。軽さは加速にも減速にもコーナリングにも作用しますからね。軽さに勝る性能はないと再認識しましたね。この手の小型のスポーツカーは初めてで、2速や3速でこんなに引っ張って走れるのだというのも新鮮でした。ブレーキも予想していたよりよく効くし。そういう楽しさはやっぱり買って乗ってみなければわからないですね」
納車から4ヶ月。日々の病院への行き帰りやちょっとした遠出も含め、小野さんのアバルト124スパイダーの走行距離は5000kmほど。何か印象に変化などはあったでしょうか?
「“曲がる”ということの楽しさを痛感しています。ゴーカート感覚というのはちょっと言い過ぎでしょうけど、クイックに曲がってくれるのが楽しいです。ステアリングを切った分だけ正確に動いてくれる。ステアリングからのインフォメーションもしっかりしています。そういうところが素晴らしい。このクルマに乗り換えてから、自分は道の上のどのあたりを走っているのかということを、これまで以上に意識するようになりましたね。小型で軽いスポーツカーってこんなに走らせ方に幅があるのか、ということを知りました。そういうのを試行錯誤しながら走るのが面白いです。
一方で、去年の11月にお台場で開催されたアバルトデイでオートテストに出場した以外は、今のところ一般道と高速道路しか走っていないんです。だからもっとしっかり走って学んでいきたい。アバルト・ドライビング・アカデミーにも参加したいし、サーキットにも行きたいんです。これまでよりももっと正確にドライビングしたいという気持ちが強くなりました。アバルトを手に入れてから何か変わったことがあるとしたら、そこに目覚めたことでしょうか?」
もともとスピードとの親和性の高い小野さんが、アバルトのスパイスが効いた小型軽量スポーツカーでのサーキット走行の印象をどんなふうに伝えてくださるか、ぜひまたお話をうかがってみたくなりました。
文 嶋田智之