贅沢な食材をふんだんに使った本格ナポリピッツァ「アバルト ピッツァ」 2021年3月に期間限定で提供

アバルトをイメージした料理をその道のプロに作ってもらい、アバルトファンの皆さまに味わっていただけるよう特別メニューとして提供していただく「アバルトオリジナルメニュー」企画。第3弾は、本場ナポリ出身の生粋のピッツァ職人、ジュゼッペ・エッリキエッロさん(愛称ペッペさん)がオーナーシェフを務める『Pizzeria da peppe NAPOLI STA’ CA”(ピッツェリア・ダ・ペッペ・ナポリスタカ)』です。ナポリ ピッツァ好きの間では有名なナポリスタカは、東京の駒沢と神谷町に2店舗ありますが、今回はペッペさんが腕を振る駒沢店にお邪魔しました。


アバルト ピッツァの製作に協力してくれた東急田園都市線・駒澤大学駅すぐそばの「ピッツェリア・ナポリスタカ」

ピッツァに目覚めたのは8歳のとき

ペッペさんがはじめてピッツァを焼いたのは、なんと8歳のとき。ピッツェリアを経営していた叔父さんのピッツァを作る姿、ピッツァに傾ける情熱に憧れを抱き、12歳のときにピッツァ職人になることを決意したそう。それから日々、ピッツェリアでお手伝いをするようになり、長い下積みを経て18歳から本格的にピッツァ作りをするようになりました。


ナポリスタカのオーナーシェフ、ペッペさん。

師匠でもある叔父さんは、「厳しすぎ(笑)」な職人だったそうです。ペッペさんが初めてピッツァの生地に触れたのは、16歳のとき。それまでもずっと生地に触りたかったものの、叔父さんに絶対に許してもらえなかったそうです。
「叔父さんは生地をとっても大切にしてるから、触るとすごく叱られました」。

ある日、叔父さんが体調を崩して病院に行くことになったので、ペッペさんはその間に生地を作ってみることを思いつきます。ところが病院から帰ってきた叔父さんからは、生地には手を出すなと言ったろ!と、やっぱり叱られてしまいました。
「毎日ずっと見てたからできると思ったし、いい感じに作れたと思ったけど、塩の量に自信がなかった。それを正直に伝えたら、それまでよりももっと強く、怒鳴られるくらい叱られました。今でも叔父さんと一緒にピッツァを作るときには緊張します(笑)。叔父さんは本当に厳しいピッツァ職人。もちろん今は、叔父さんがなぜあんなに怒ったのか、よくわかります」


ペッペさんと、彼の信頼を受ける駒沢店のベテランシェフ小川隆さん。

そのお話を聞いて連想したのは、カルロ・アバルトのこと。チシタリア時代にカルロ・アバルトと知り合い、1949年のアバルト&C誕生から1971年にフィアット傘下に収まるまで御大の右腕として支え続けたロレンツォ・アヴィダーノさんに以前にお会いしたとき、御大の人柄について訊ねたことがあります。

「怒りやすい人だったっていわれることが多いみたいだけど、それは誇張されてるね。理不尽な怒り方はしない人だったよ。ただし、厳しい人だったのは確か。妥協を許さないというか、いい加減なことは絶対に許さなかった。スタッフがいい加減なことをしたら、物凄い勢いで怒ったね(笑)。だけど彼は反省する過程もちゃんと見ていて時が来ると許してくれるし、何より他人より自分に厳しい人で、誰よりも仕事をしてた。だからみんな尊敬してたよ」

何だか似てますね……とペッペさんにお伝えすると、彼はニッコリ笑いなら、穏やかにこんな言葉で返してくださいました。
「イタリアの職人は、ただ仕事だからやってるわけじゃないです。伝統的な素晴らしいものをしっかり残して、未来につないでいくことを大切に考えている。だから厳しくて当たり前」


ペッペさんがピッツァと向き合う時の目は真剣そのもの。尊いものに触れるように生地を扱う。

身内だからといって甘やかしたりはしない厳しい叔父さんのもとでピッツァ職人として鍛えられてきたペッペさん。初めて日本に来たのは16年前、19歳のときでした。ビザの関係で3ヶ月のみバールで仕事をしただけだったそうですが、それから2年ほど叔父さんのお店でピッツァ職人として仕事を続けた後に再び日本を訪れ、今度はしっかりと腰を据えて日本のピッツェリアで仕事をスタート。「お皿を洗うところからはじめました」という言葉のとおり、ナポリで積み上げた経験に奢ることなく、いくつかのピッツェリアでナポリと日本の違いを学びました。そして2011年に神谷町のナポリスタカを、2015年に駒沢のナポリスタカをオープン。メディアにも登場し、ピッツァ界で名の知れる存在となりました。

モダンを追求した独自のスタイル

「僕のおじいちゃんは昔、チンクエチェントのアバルトを持っていて、子供の頃に乗せてもらいました。僕の弟もアバルトがすごく好きで、自分で乗っていましたね。アバルトは速いから、ドライバーは楽しいですよね。これはアバルトのファンのために考えて作りました。名前は“ピッツァ・アバルト”です」とペッペさん。

ペッペさんに“ピッツァ・アバルト”ができあがるまでの様子をみせてもらいました。
調理台の上に並んでいたのは、以下の素材。


アバルト ピッツァの食材の一部。左上はロブスター、右上はキャビア、左下はレモンの皮を擦っているところ、右下はイタリアンパセリ。

ピッツァの生地、打ち粉としてのセモリナ粉、ナポリ産モッツァレラチーズ、ボイルしたロブスターをオリーブオイルと絞ったレモンに漬けておいたもの、キャビア、セミドライトマトのオリーブオイル漬け、イタリアンパセリ、リコッタチーズ、レモンの皮をすり下ろした生パウター。このように“ピッツァ・アバルト”は、豪華な食材をふんだんに使った贅沢なピッツァなのです。さらにペッペさんは次のように話してくれました。
「叔父さんのピッツァはトラディショナル。でも僕のピッツァはモデルナ(=モダン)。ナポリの最新モードで、日本にはこういうスタイルのところはほとんどないと思います」


デュラムセモリナ粉をまぶしながらピッツァの生地を練るように広げていく。

ペッペさんはまず、生地にセモリナ粉を巧みにまぶしながら、円形に広げていきます。これがもうものすごいスピード。そして広がった生地にモッツァレラチーズをたっぷりのせて石窯へ。わずか1〜2分で美しく焼き上った生地は、縁がとても大きく膨らんだ姿が特徴。ペッペさんはそのふんわり膨れ上がった縁をつぶさないようにハサミで切れ目を入れると、蕩け出しそうなチーズの上に、サソリをイメージさせるロブスター、リコッタチーズ、キャビア、ドライトマト、イタリアンパセリ、そして仕上げにレモンの皮を、手際よくレイアウトしていきます。まさに熟練した職人の技。


窯で焼かれるピッツァ。生地は薄く、縁は大きく膨れ上がっている。食べやすく、もちもち感も得られるのが特徴。

贅沢な素材をふんだんに使い出来上がった“ピッツァ・アバルト”。イタリア国旗を思わせる美しい見た目。ピッツァのお味は……? ちょっとばかり衝撃的でした。

ロブスターにチーズ、キャビアが織りなす極上のハーモニー

ロブスターの味わい深さと歯ごたえ、ドライトマトの微かな酸味、モッツァレラチーズの穏やかで優しい塩味、リコッタチーズのほんのりとした甘さ、レモンの心地好い香り……。それらがクチの中で徐々にハーモニーを奏で始め、次に渾然一体の美味しさとなって、鼻孔の方へと広がっていくかのよう。これはいったいどういうマジック?


アバルト ピッツァが完成。トリコローレを思わせるおしゃれな見た目に、絶妙な美味しさが隠されているのだ!

何より生地! ふんわり柔らかいのに、もっちり感のある不思議な食感。そして絶妙な塩加減と抜群の旨味。生地の縁の部分だけでも美味しく感じられます。これこそがペッペさんのピッツァの味を支える最も重要な柱なのでしょう。

食レポのプロじゃないので言葉たらずで申し訳ないですが、これまで数えきれないくらいピッツアは食べてきました。それでも口に入れた途端、撃ち抜かれたような気分になったのは初めて。間違いなく自分史に残るような、素晴らしく美味しいピッツァでした。これはぜひ皆さんに試していただきたいところです。


2021年3月2日から31日まで、ナポリスタカ駒沢店にて3,000円で提供されるアバルト ピッツァ。ディナーのみ。裏メニューなので、予約の際「アバルト ピッツァをください」とお声がけください。

「コストは全く考えないで作りました。メニューにのせると、すごい値段になっちゃう(笑)。でもアバルトのファンの人に食べて欲しいから……期間限定で提供させてもらいます」

というお心遣いで、2021年3月2日から31日までの期間限定、ディナータイムに限って、提供していただけることになりました。価格は3000円のスペシャルプライス。ただし素材の準備が必要なので、2日前までに予約をしてください、とのこと。


ナポリスタカ駒沢店の店内は、ナポリブルー。気軽に食べられるお店です。

近頃はアバルトの限定車にも「これを逃したら……」という魅力的なモデルがたくさん。それと同じようなスペチアーレ(=スペシャル)です。ぜひ体験してみてください!

ピッツェリア・ダ・ペッペ・ナポリスタカ
ランチ  11:30〜14:00(ラストオーダー)/平日
     11:30〜14:30(ラストオーダー)/土曜日・日曜日
ディナー 18:00〜22:00(ラストオーダー)/平日
     17:30〜21:30(ラストオーダー)/土曜日
     18:00〜21:30(ラストオーダー)/日曜日
     *非常事態宣言中はディナータイムは20:00終了
定休日 月曜日
住所 東京都世田谷区上馬4-5-1
電話 03-5787-6475
URL http://napolistaca.jp

文 嶋田智之

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