公道で磨くドライビング・テクニック Vol.1 コーナリング編

 アバルトを手に入れたなら、誰しもがその痛快な走りに酔いしれることだろう。
 また、乗りこむにつれ、もっとアバルトを手足のように上手く操りたいという欲求がわいてくるものだ。ただし、フェラーリなどのようなハイパフォーマンスカーではないとはいえ、公道でアクセルをフルに踏みこんでいくのは非現実的。幸いにして今年からスクールが始まり、アバルト乗りにとってはサーキットも近い存在となってきているから、スケジュールが許すなら参加して欲しい。正しいドライビングテクニックを学ぶことは安全運転にもつながるからだ。
 ただそれでも、普段のドライブから楽しみたいだろうし、練習になるような方法があるのなら実践してみたいだろう。そこで今回は公道で安全な範囲でドライビングスキルを磨くちょっとした方法をお伝えしよう。
 
 
 まずは、コーナリングテクニック。できれば大小のコーナーがたくさんあるワインディングが理想的だが、近場にいいところがあればどこでもいい。
 とにかくコーナーを、一定速度で狙った通のラインを寸分たがわずに走り抜けることを心がけるだけでいい。
 じつはコレ、メーカーのテストなどで用いられる方法であり、サスペンションやタイヤの評価に役立つものだ。
 テストコースの場合は、曲がった白線などをタイヤで踏みつけながら一切外さずに走る。場合によってはビデオカメラを取りつけて正確にタイヤがラインを踏んでいるかを見ながら走ることもあるほどだ。
 曲率によって適した時速はあるが、タイヤがスキール音を発するほどのハイスピードは必要ない。というかむしろそれだと速すぎて評価にはなりにくい。あんまり遅くてもダメだが、ハンドルを切ってタイヤがたわみ、サスペンションが沈み込んでいってコーナリングしていくという一連の動作がキチンと感じ取れるぐらいが理想。感覚的にはスキール音がなる速度から2〜3割落としたあたりだと思われる。
 この走り方、簡単そうにみえてやってみると意外と難しい。最初は膨らみすぎたりインに入りすぎたりするものだ。その原因は、タイヤやサスペンションなどクルマ側の問題と、ドライバーの運転に問題がある場合とにわかれるが、アバルトならばクルマにはほとんど問題はない。あまりに凸凹が大きくて、アバルトの引き締まったサスペンションがライントレースを阻害することもままあるが、公道を常識的な範囲で走っている分には問題ないだろう。
 それよりも運転だ。あまりスポーツ走行の経験がない人の場合、普通にコーナーをクリアしているつもりでも、ハンドルを切り始めるタイミングが遅く、なおかつ切り込みが急になっていることが多い。そこを意識して、コーナーが迫ってきたらいつもより早いタイミングで、しかしながら操舵速度はゆっくりになるようにすればいい。気がつけば、走りが驚くほどスムーズになり、なおかつ正確無比なライントレースが可能になっているはずだ。
 
 
コーナーに対してやや早めのタイミングで、スムーズにゆっくりとハンドルを切っていくイメージで。 サーキットでプロドライバーの隣に乗ったことがある人ならわかると思うが、レーシングドライバーは激しいコーナリングをしていてもハンドルの操作はスムーズでゆっくりだ。乱れた姿勢を正すときなどは素早く動かすときもあるが、とくにコーナー入り口などはアマチュアよりも早いタイミングで切り始めて、ゆっくりであることがほとん。そうするとタイヤやサスペンションからじっくりとグリップ力を引き出すことができて、最大限のコーナリングパフォーマンスを得られ、なおかつ正確なライン取りもできるというわけだ。

 
白線の内側20cmなど、ラインを正確にトレースすることを意識する。 この方法だったら公道でも常識的な速度で練習できるはず。ただし、白線を踏むわけにはいかないから、白線より20cm内側を正確にトレースするなど工夫が必要。コーナーの内側に点線が施されている場所などあれば利用しやすい。
 また、ライントレースに気を取られるあまり視線が近くなりすぎることもあるので注意が必要。スピードメーターのチェックも練習には重要なので、慣れないうちは交通量が少なく、見通しもきく場所を選んで欲しい。

 
白線の内側に点線があるコーナーを選ぶとトレースがやりやすい。同じコーナーを何度も走るとより効果的。アウトインアウトなどのサーキットテクニックではなく、公道ではいかにスムーズさを身につけられるかを鍛錬するのがオススメだ。

 非常にシンプルな練習方法であり、そんなに上達するものかと疑う人もいると思うが、だまされたと思って実践してみることをオススメする。これがしっかり身に付いていると、サーキット走行でも不思議と走りがスムーズになっていることに気がつくはずだ。

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