ナポリピッツァの日本一に輝いたピッツァ職人は、左ハンドルのMTを駆るアバルト乗り アバルトFile.64 遠藤さんと595

伝統のその先に感動の味が生まれる

ピッツァづくりにおいて目指しているのはどんな味ですか?

「舌になじむような、週に1度は食べたくなる味です。日本だと『あそこのラーメンが食べたい』と言ってもらえるような感覚で、週に1度は食べたくなるようなピッツァを目指しています。道半ばどころかまだ始まったばかりですけど、そこが目標ですね」

遠藤さんがピッツァ作りにおいて大切にしているものは何ですか?

「どの仕事もそうだと思うのですが、伝統的な食やモノを扱う場合、その歴史に立ち返った上で前進することが大切だと思うんです。歴史に立ち返るというのは、なぜそれが生まれたのか、という背景を理解することもそうですし、料理の場合だと、誰が作ったかだけではないと思うのです。美味しいものというのは作る人と食べる人のキャッチボールがあり、そうして磨かれた料理が定番となって、伝統を形づくり、ずっと続いていく料理に発展していくのだと思います。だから僕はまずは伝統に従い、イタリア人も喜んでもらえるようなものを、日本人の方に提供したいんです。真のナポリピッツァ協会に入ったのも、伝統を勉強したかったからですね。ピッツァの大きさに始まり、どういう風に切らなければいけないのか。突き詰めていくと、他の人は何とも思わないような細かいことがあります。真のナポリピッツァは、シンプルに塩、水、酵母、小麦粉しか生地に使ってはいけないという決まりがあります。その伝統に従い、突き詰めていったその先に、お客さまに感動してもらえる味があると信じていますので、そこを目指して勉強しているところです」

世界大会に出場されました。それはどんな挑戦だったんでしょうか?

「僕は死ぬまで挑戦したいと思っているんです。真のナポリピッツァ オリンピアディという世界大会に出場したのですが、前の会社にいた時は社内で落選しました。出場することが目的なら他にも方法はあったのですが、自分はその大会に日本一に選ばれて出場したかったんです。努力の結果、2022年の大会で日本一になることができ、世界大会に出場することができました」

ピッツェリア ティンタレッラの店内には、数々の認定証やトロフィが並ぶ。その一つひとつに遠藤さんのひたむきな努力が隠されているのだ。

イタリア車が好きなのもイタリアが好きだからですか?

「そうですね。イタリアもイタリア車のことも大好きです。イタリア車が好きなのは、速さに見合った足回りを持っているから。イタリアではタクシードライバーも、お客さんが酔ってしまうぐらい飛ばすんですね。でもしっかりした足回りがそんな運転を支え、細い道をグワーっと進んでいくんです。そのような情景や音、ガソリンの匂いを思い出すと、またイタリアに行きたくなりますね。だからイタリアを色濃く感じられるアバルトをそばに置いておき、毎日乗りたいと思っているんです」

遠藤さんが目指しているのはどのようなお店ですか?

「柏にはピッツァしか出さないイタリアのお店はなかったので、こだわりのピッツァのみを提供するピッツェリアを地元で発信したかったんです。周りからはパスタもやったほうがいいと勧められたんですけど、パスタはやっていません。利益を求めれば、やった方がいいのかもしれませんけど、それはしたくなかった。将来的には前菜もデザートも出さない、ピッツァだけのお店をやってみたいです。この前、師匠ともちょうどそんな話をしたんです。俺らってさ、片手間でピッツァをやっている店に批判的な想いでナポリピッツァを初めたんだよな、って。でも今、片手間ではないけど、パスタをやったり魚料理を出したり、前菜やったり。ピッツァ職人なんだからピッツァだけで生きられたらいいよな、って。寿司職人が握りしかやらないでお客さんに感動を与えているように、本当はピッツァだけでやりたいと。その先に感動があり、感動の先に歴史があるんだ、と。感動がないから流行で終わるのであって、そうなってはダメだと。やはりピッツァでやるからには、それ一筋の職人になる必要があるんじゃないかと、お互いの思いを確認しあったんです」

お話からも伝わるように、お客さんに感動を届けることを使命に、日々精進されている遠藤さん。最後にそんな遠藤さん自慢のピッツァを紹介したい。

まず1枚目は、店名にもなっている「ティンタレッラ」。こちらをチーズをふんだんに使った揚げたピッツァ。遠藤さんのお店は、真のナポリピッツァ協会から、揚げたピッツァの認定を受けた日本第一号店。そんな遠藤さんが「ナポリにありそうでないピッツァを作りたい」という思いを込めて作った作品がティンタレッラだ。

「ティンタレッラ」の生地の中にはリコッタチーズとプロボラチーズとグラナパダーノの3種類のチーズが惜しげなく入っている。上には生ハムとルッコラとミニトマトによる飾りつけも。遠藤さん曰く、「リコッタチーズとプロボラチーズは、ナポリの人が好きな組み合わせなんです。プロボラチーズの燻製の香りとリコッタチーズの食感、舌触りが組み合わされています。イタリアらしさを詰め込みたいという想いからこのピッツァを作りました」。


遠藤さん渾身のティンタレッラ。ノーマルサイズが3,630円。小さい方のバティロッキオは2,910円。

もう1枚は、水牛のモッツァレラチーズを使ったマルゲリータ「ブファリーナ」。遠藤さんがナプレ南青山店で感動した味をご自身で追求したピッツァで、ピッツェリア ティンタレッラの人気メニューになっている一品だ。


遠藤さんがピッツァ職人を志した原点ともいえるマルゲリータ「ブファリーナ」。シンプルさのなかにこだわりが詰まっているオススメの一品。

「材料は、バジリコ以外はすべてイタリアの材料を使用しています。お水の硬度や、そういったところまで突き詰めないと、向こうの味には近づけないと思っていますので。トマトも味が合う酸味の強いものを選んでいます。なるべく焼いてから5分から10分程度で食べていただきたいです。その間にだんだん物語が進むように、最初に口に入れたときの食感と、最後の1ピースの味わいでは違った楽しみ方ができると思います」と遠藤さん。ブファリーナのノーマルサイズ(30センチ)が2,750円、ピッコラ(17センチ)が2,200円。

ナポリ伝統の味に、遠藤さんが紡いでこられた独自のストーリーが重なったティンタレッラのピッツァ。感動とストーリーが詰まったその味を、アバルト乗りの方々にぜひお店でご賞味いただきたいと思います。

ピッツェリア ティンタレッラ
千葉県柏市柏6-8-40 1F
TEL:04-7164-0039
HP:https://www.tintarella.jp/

文 曽宮岳大

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