「ABARTH × ストリートファイターV – SCORPION CHALLENGE CHAMPIONSHIP」〜 プロライセンスを懸けた戦いの模様をレポート
プロの意地と、アマチュアの気合いとのぶつかり合い
カルロ・アバルトのチャレンジスピリッツをテーマとしたeスポーツ大会「ABARTH × ストリートファイターV – SCORPION CHALLENGE」。2シーズン目を迎えた今年は、優勝者に「日本eスポーツ連合(JeSU)」が規定する「JeSU公認プロライセンス制度」に基づくプロライセンスが優勝者に付与される。「持ってない人からすると、喉から手が出るほどゲットしたいライセンス」(ときど選手)を求めて、多くのチャレンジャーが参加した。
2021年の本大会は、1次予選、2次予選、CHAMPIONSHIPの3ステップで構成。昨年の参加者を大きく上回る533名ものプレイヤーの中から、予選を勝ち上がったわずか8名。そしてこの内、既にプロライセンスを有しているプレイヤーは3名。多くのプロ選手が参加する中、アマチュアでありながら決勝トーナメントに進出した5名のプレイヤーに対しては、大きな期待と視線が注がれる。
”勝って当たり前”、既に第一線で活躍するプロプレイヤーに対して、アマチュアプレイヤーが挑戦する図式は、まさしくアバルトスコーピオンチャレンジが目指す「チャレンジスピリッツ」そのもの。プロの意地が勝つか、アマチュアの気合が勝つか、目が離せない大会となった。
前回の2次予選の模様はこちら
https://www.abarth.jp/scorpion/hot-topics/24236
今回、対戦カードを当日にライブ抽選で決定するという形式を採用。対戦当日、直前まで対戦相手が分からないというプレッシャーが選手たちを襲う。誰と当たるか分からない、つまり全ての選手との対戦を想定した対策を行っておかなければいけないという状況に。プロ、アマ問わず、それぞれがトッププレイヤーである以上、ある程度プレイスタイルの研究は可能ではあると思われるが、自宅など自身のホームグラウンドからのオンライン参戦という、相手の顔が見えない孤独な環境下での対戦。「孤独に勝たなければ、勝負には勝てない」と言ったトップアスリートの言葉を思い出しつつ、ここまで勝ち上がった選手には本当に尊敬の念を覚える。
プロvsアマチュアの熾烈な戦いが続く
最初に、今回の大会を配信で視聴されたい方のためにこちらのリンクをご紹介しておく。是非熱い大会の模様をご覧いただきながら、記事を読み進めていただければと思う。
アバルト × ストリートファイターV – SCORPION CHALLENGE CHAMPIONSHIP
https://www.youtube.com/watch?v=TICrm0y2KNU
一回戦。第1試合ではプロライセンス保持者のクラッシャー選手が順当に勝ち上がり。一方、プロ同士がマッチングしてしまった第2試合あきら選手vsジョビン選手の戦いは、ジョビン選手に軍配が上がる。次の第3試合では、ストリートファイター古参キャラである「春麗」使いの第一人者、大分人選手が勝利。一回戦最後となる第4試合では競技シーンではレアキャラとなる「ファルケ」を使いこなすザベス選手がベテラン三太郎選手を追い込むも、僅差で三太郎選手が準々決勝に駒を進めた。
第1試合:https://youtu.be/TICrm0y2KNU?t=2717
第2試合:https://youtu.be/TICrm0y2KNU?t=3652
第3試合:https://youtu.be/TICrm0y2KNU?t=4403
第4試合:https://youtu.be/TICrm0y2KNU?t=5200
トーナメント形式は「ダブルエリミネーション方式」
ここで少し、試合形式・トーナメント形式について触れておきたい。eスポーツの大会ではしばしば、「BO3(ビーオースリー)、BO5(ビーオーファイブ)」といった用語が用いられる。これは「Best Of 3(5)」の略であり、日本語で言うと「2勝先取、3勝先取」のことを表している。本大会の試合形式は、セミファイナルまではBO3形式、ファイナルのみBO5形式が採用されている。
また、トーナメント形式として、「ダブルエリミネーション」を採用。こちらも対戦格闘ゲームではおなじみのルール。一度対戦に負けてしまっても、敗者復活トーナメント(ルーザーズブラケットという)を勝ち抜けば、再度優勝を狙えるチャンスが巡ってくるという方式だ。
どちらも、今後eスポーツ大会をご覧になる際に知っておいて損はない用語なので、是非覚えておいてほしい。
キャラクターの向こうにプレイヤーの存在を感じる
ところでeスポーツの大会では、ゲームの対戦画面を観戦することが主体となる。そのため、フィジカルスポーツと比較してプレイヤー自身のパーソナリティを感じる事が難しいというのが、普段から筆者が感じている大きな課題だ。本大会では、この課題に対する挑戦として、3つの試みを行っていた。
一つ目は、選手への「二つ名」の付与。二つ目は自己申告によるバイオグラフレーダーチャート紹介。三つ目は、対戦直後の勝利者インタビューである。
「二つ名」は選手紹介時に紹介。選手をキャッチコピーを使って一言で表すことによって、初めて見る視聴者にもわかりやすく、覚えやすい効果があると感じた。
ちなみに、1960年代のアバルト595には「ピッコロモンスター」「小さいけれど猛毒を持つサソリ」などという愛称があったとか。愛される人やプロダクトには、二つ名が欠かせないということなのだろう。
二つ目の「自己申告型のバイオグラフレーダーチャート」は、筆者もeスポーツ大会で見たのは初めてであり、シンプルに面白いコンテンツとして楽しめただけでなく、プレイヤーのキャラクターを知る上でとても参考になった。
例えばあきら選手。彼はストリートファイターリーグ:Pro -JP2021でも活躍しているプロプレイヤーである。が、「最大値を100で答えてください」と依頼されていたにもかかわらず、「メンタル-10000」「運10000」と、お茶目な回答。佐藤かよさんからは「中二病・・・?」といじられており、本人的には狙い通りだったのではないだろうか。いつか実際にお会いして中二病をいじってみたい、そう思わせてくれた。
そして最後の「勝利者インタビュー」は、オンラインeスポーツ大会でもお馴染みの演出。選手の対戦環境と配信スタジオをウェブミーティングのように接続し、ライブでインタビューを行うというものだ。しかしながら、そこはアバルトスコーピオンチャレンジ、「二つ名」「バイオグラフ」の効果もあって、選手とMCとのトークがとても盛り上がっていた。また、各選手自宅からの参加ということで、普段の生活が垣間見えるというオマケ的な効果も。生活感が見える、というのも、ある種のパーソナリティとして応援したくなる要素なのかもしれない。
念願の優勝・プロライセンスを手にしたのは・・・
試合結果に戻ろう。激戦のトーナメントの末、グランドファイナルのカードは、ここまで負けなしの三太郎選手と、ルーザーズトーナメントから復活したジョビン選手。アマチュア選手がプロ選手を迎え撃つという、非常にドラマチックな展開となった。
BO5で勝敗を決するグランドファイナル。第1ラウンドはジョビン選手が勝利。三太郎選手のプレイに緊張が見える。しかし冷静さを取り戻したのか、すかさず次のラウンドを取り返した三太郎選手が最初のセットを獲得。
これで勢いをつけた三太郎選手は、さらに第2セットもストレートで獲得。ジョビン選手も善戦するものの、優勝に向けた執念に押し切られた形に。
そして迎えた第3セット。
1ラウンド目は圧倒的な体力差を付けて三太郎選手が制する。優勝・プロライセンスの獲得に手を掛ける。
そして第2ラウンド。勝てばプロ、となる緊張の試合。序盤の積極的な攻めで押し切るも、あと一撃となったところでの渾身のクリティカルアーツ(必殺技)を外してしまう痛恨のミス。ジョビン選手が一矢を報いた形に。
第3ラウンド。今度こそ勝利したい三太郎選手、後がないジョビン選手の戦いは一進一退を見せる。体力が拮抗する中、三太郎選手のクリティカルアーツがクリーンヒット。そこから畳みかけるように攻撃を重ねた三太郎選手が遂に勝利をもぎ取った。
三太郎選手がプロライセンスを獲得
念願の優勝を果たした三太郎選手は、格闘ゲームシーンの「レジェンド」梅原大吾選手とも交流がある有名選手。優勝インタビューでは、誰にこの優勝を伝えたいかと聞かれ「ダイゴだよ!!」と、友情の深さを感じられるコメントも。佐藤かよ氏も「三太郎さんの試合には安心感が感じられた。今後も大人の余裕と色気を発揮しながらプロとして活躍してほしい」と応援メッセージを送っていた。
彼のプロフィールについては以下のリンクが詳しい。
格ゲープレイヤーWiki
http://fgamers.saikyou.biz/?三太郎#.YaTAFi_3JpQ
おなじみのお楽しみコーナー「ときどチャレンジ!」
アバルトスコーピオンチャレンジには欠かせないときど選手のコーナー「ときどチャレンジ」。今回は「負けたら終了!ときど10連勝チャレンジ!」として、一般からライブで募集した参加者とのオンライン対戦会を実施。
1ラウンドマッチの厳しい戦いの結果は、惜しくも5連勝。戦いを終えたときど選手も「緊張感がすごい」と、チャレンジャーを讃えていた。
来シーズンのスコーピオンチャレンジに期待
というわけで三太郎選手のプロライセンス獲得で幕を閉じた今年の「ABARTH × ストリートファイターV – SCORPION CHALLENGE」。アバルトが新たに世に送り出したプロ選手の活躍に期待しつつ、これからの展開を楽しみにしたい。
ABARTH × ストリートファイターV – SCORPION CHALLENGE
https://www.abarth.jp/cp/streetfighterv-abarth/