<浅間ヒルクライム>にABARTHがエントリー!mCrt ラリーチームのドライバーであり、ABARTHオーナーでもある眞貝選手に訊くABARTHの魅力とは?

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欧米では古くから市民権を得ている一方、日本では開催が難しかったヒルクライム。2012 年から日本の 自動車文化を盛り上げるため、長野県小諸市の高峰チェリーパークラインを舞台に<浅間ヒルクライム>が開催されている。

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2015年度は5月30日(土)、31日(日)に行われた<浅間ヒルクライム>。そのメインプログラムはなんといってもハードなワインディングロードをステージとした、上りのタイムアタックだ。公道を封鎖しての開催が許可されたのは2014年からになる。

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一般車に加えてナンバーの無いレーシングカーの走行も可能となった<浅間ヒルクライム>には、ABARTHのレーシングチームmuseo CINQUECENTO racing team(以下、mCrt)もエントリー。『ABARTH 500 RALLY R3T(ラリー R3T)』、『ABARTH 500 ASSETTO CORSE(アセットコルセ)』、『ABARTH 695 ASSETTO CORSE』が走行リストに名を連ね、実戦マシンならではのダイナミックかつ本気の走りを披露した。

その一方で、別の参加チームでは<浅間ヒルクライム>初となるクラッシュ事故も発生してしまった。幸い大事には至らなかったが、初日は午前中のプログラムを以て中止を判断。二日目は予定通り開催されたのだった。

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また、会場となるアサマ2000パークでは、自動車メーカーやパーツメーカー、ショップが数多く出展し、クルマの走行を楽しむ、観戦するだけではなく、クルマそのものを多角的に楽しむことができるイベントとなっている。

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会場に設置されたABARTHブースでは、上記の3台に加えて「歴代アバルトで最強、最速」をコンセプトにした『ABARTH 695 Biposto(ビポスト)』の欧州仕様車が参考出展された。

今回、『SCORPION MAGAZINE』では、ヒルクライム走行を披露してくれたmCrtラリーチームのドライバーを務める眞貝知志(シンカイトモユキ)選手にインタビューを敢行した。眞貝選手はラリーでは『ABARTH 500 RALLY R3T』、プライベートでは『ABARTH 595 50th Anniversary』を操る、公私にわたるABARTH使い。モータースポーツへの熱い想いとともにABARTHの魅力を語ってくれた。

眞貝選手が語るABARTHの魅力

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――まずは眞貝選手とABARTHとの出会いについて聞かせてください。

僕が所属するmCrtに声をかけていただいたのが直接の出会いですね。ラリーの本場ヨーロッパではABARTHはすごく有名なブランドでしたし、2000年代の初めくらいに『Punto(プント)』のラリーカーがヨーロッパ選手権手でチャンピオンになったりして、そういう意味で僕もすごくラリーが強いブランドだなと思っていたんですね。僕は日本国内でずっと国産車を使ってラリーをやってきたんですけど、ある時点でやっぱり本場ヨーロッパのラリーに近づきたいという気持ちが強くなってきて。

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――日本車を使って日本のラリー文化の中で活動することが、窮屈になってきたということですか?

そうですね。なのでヨーロッパに行ってラリーをするとか、ヨーロッパの車で日本でラリーをするとか、そういう方向に行きたいとあちこちでコメントして廻っていたんですね。そうしたらすごく運命的な出会いからmCrtリーダーの伊藤さんと僕がつながって、僕のラリーをやってきた実績や今後の想いと、伊藤さんのイタリア文化やABARTHというクルマを日本でどう活躍させたらいいかというところがすごくマッチしたんです。

それが2013年の終わりですね。ABARTHというヨーロッパでラリーが強いブランドが自分の生活の中に入ってくるとは想像もしなかったし、伊藤さんとの出会いがなければABARTHという選択肢はなかった。自分の力で海外のラリーカーに乗るなんて、夢見ることはできてもどうすれば良いのか全く想像もつかなかったので。

――ラリーでは『ABARTH 500 RALLY R3T』に乗っていますが、最初に乗ったのも『ABARTH 500 RALLY R3T』ですか?

実は、伊藤さんに『ABARTH 695 TRIBUTO FERRARI(トリブート フェラーリ)』を貸してもらって、左ハンドルのトレーニングを兼ねて、街乗りでしばらく練習した、というのが初めてABARTHに乗った経験なんです。乗る前は未知数でしたね。

『ABARTH 695 TRIBUTO FERRARI』や『ABARTH 695 EDIZIONE MASERATI(エディツィオーネ マセラティ)』というモデルがあることは知っていたけども、一体それがどういうクルマなのかは全く予想もつかなかった。全長が短くて少し背が高いから、さぞデリケートで難しいクルマなのかなと思うところはありましたけど、『ABARTH 695 TRIBUTO FERRARI』に一晩乗っただけで「これはよく出来ているクルマだな」と思わされるところがすごくあって、すぐに安心感が出てきた気がしますね。

見た目の腰高感とクルマが曲がっていく様が全く違って、すごく低く沈みながら曲がるんですよ。特にフロント側が低く曲がってくれるので、不安定さを微塵も感じさせなかった。これは設計の妙だなと驚かされた記憶がありますね。

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――眞貝選手は『ABARTH 595 50th Anniversary』のオーナーでもありますが、日常使いとしてのABARTHのインプレッションについてはいかがですか?

スペックは『ABARTH 695 TRIBUTO FERRARI』とあまり変わらないんですよね。エンジンの出力、タイヤサイズは変わらないんだけど、大きく違うのはシートなんです。シートが違うだけでこうも違うのかというくらいに驚かされました。

『ABARTH 695 TRIBUTO FERRARI』はペースを上げた先の世界を楽しむようなクルマだけど、『ABARTH 595 50th Anniversary』はとにかくシートが超快適で長距離運転も全然苦にならない。しかも、『ABARTH 695 TRIBUTO FERRARI』と同じスペックのまま日常側にぐっと寄ってきてくれている感じがする。だから僕はすごく気に入ってますよ。今まで乗ってきた車の中で一番良いシートじゃないかな。

それから納車された直後のエピソードだけど、ディーラーさんが少し高めにタイヤの空気圧を設定してくれていたみたいなんですね。そのまま乗っていたら、どこかしっくりこない。試しに空気圧を規定値に戻したら、自分の感覚と合致したドライビングができるようになった。つまりは吊るしの段階でよく考えてクルマを造っているんですね。

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僕の場合は競技に必要なスペックは全部『ABARTH 500 RALLY R3T』が担ってくれるから、プライベートは乗り心地の良い車を求めたくなりますね。それに『ABARTH 595 50th Anniversary』はサンルーフが開いちゃったりするから最高ですよ。ABARTHオーナーは現実を楽しめるというか、あるものを受け入れて、その中での日常と非日常をうまく使い分けられる人という感じがします。

――ABARTHファンは単なるモータースポーツ好きではなくて、生活の中でどういう役割のクルマになるのかを考えている人たちなのかもしれませんね。

そうそう。どんな層がABARTHを支持しているかというと、いわゆるスーパーカー、スポーツカーを志向する人ではないんですよね。僕の感覚では、人が欲しいと思うクルマを作るのが国産車だとすれば、ABARTHには「俺たちはこんなクルマを作ったから楽しんでくれよ!」というものづくりのスタンスを感じますね。

デザイン、乗り味を含めて、作り手の意志が伝わってくる。ABARTHにも電子制御が備わっていますけど、“楽しい”と“危ない”の境界線の分け方が本当によく出来ているというか。クルマを楽しむ領域をしっかりと残してくれているし、運転の正解不正解をとても正確に判定してくれるんですよね。だから、<ABARTH DRIVING ACADEMY>でオーナーさんたちに教えていても、「電子制御がズバーっと入ったら、それはタイムも出ない“ミス”の領域だし、本当に危ない運転だったということなんですよ。」とアドバイスしていますね。 ABARTHは不便になることはないクルマですよ。若者が乗っていればクルマ好きに「お目が高い!」と褒められるし、旦那さんも奥さんから「あら、素敵なクルマね」と褒められますから(笑)。

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――(笑)では、最後に眞貝選手を虜にしているモータースポーツについて聞かせてください。今回の<浅間ヒルクライム>然り、日本ではモータースポーツの魅力に触れてもらうためのイベントが増えているように感じます。

圧倒的に増えてきていますよね。ラリーという競技そのものでいえば、世界レベル、ヨーロッパレベルと呼ばれるものが存在するように、ヨーロッパを中心に世界で人気のある競技なんですね。つまり、世界では日常にあるモータースポーツなんです。

でも、日本のラリーはその領域まで達していない。競技者が公道を使って競技するという点に文化としての浸透度が低いんです。ですが、最近では今回の<浅間ヒルクライム>のようなイベントにもラリー車でエントリーできる機会が増えてきました。

それによってラリーという競技をABARTHというクルマを通じて知ってもらえるし、僕はABARTHを介して一般の方たちとインターフェイスを持つようになっている気がしていて。都市圏だとアンテナ感度の高い人はABARTHを知っているけれども、やっぱり地方はまだまだ。そういう意味では、地方でやるからにはインパクトを色濃く残したいですね。

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――公道で行われるモータースポーツが日本に根付いていくために、眞貝選手はものすごく重要な役割を担っていると思います。

僕がラリーで成績を上げると、ABARTHを知ってもらえるし、ラリーや他のモータースポーツを理解してもらうためのきっかけにもなる。僕が頑張れば、全てが良い方向にいくんですよね(笑)。僕も若手という歳を過ぎましたし、ただラリーをやっているだけじゃなくて、僕が熱中するモータースポーツというものがなぜ楽しいのか、その魅力を少しでも多くの人に知ってもらいたいと思います。

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「普段味わえない超性能を高く買うというよりは、日常プラスアルファの領域でクルマの良さを楽しめるバランスがいい」と、独自のクルマ観を語ってくれた眞貝選手。<浅間ヒルクライム>で披露されたABARTHの魅力はほんの一部分だが、それだけでも観客に十分なインパクトを与えたことだろう。是非mCrtと眞貝選手の勇姿を目撃するために、ラリー会場へと足を運んでみてほしい。

<浅間ヒルクライム>オフィシャルサイト
>> http://www.asama-hillclimb.com/

<mCrt>オフィシャルサイト
>> http://mcrt.jp/

INFORMATION

★ABARTH DRIVING ACADEMY @鈴鹿サーキット
8/19に鈴鹿サーキットにて開催されるABARTH専用スポーツ&セーフティドライビングレッスン。
次回開催の応募がスタート。
受付期間:6/10〜7/22
>> https://www.abarth.jp/drivingprogram/drivingacademy/

★ADRENALINE RUSH OFFER vol.2 PLUS
2015年5月1日以降にABARTH各車を成約かつ登録した場合、アクセサリーを特別価格で購入できるキャンペーンを実施中。
>> https://www.abarth.jp/offer/competizione.php

『esseesse Brembo キットfor 595』の実装テストの様子はこちら
>> https://www.abarth.jp/scorpion/scorpion-plus/4916

Edit & Text:Shota Kato
Photos:横山マサト