アバルト・アンバサダーの桧井保孝氏に聞くアバルトの魅力!

姿かたちは可愛いコンパクトカーなのに、中身は見事なリアルスポーツ。よくスポーツの世界では、小柄で軽量なのに優れた成績を収める人物のことを「小さな巨人」と称するが、アバルトはまさにその言葉を体現しているクルマだ。そんな驚きに満ちたクルマの魅力を、アバルトのアンバサダーを務めるレーシングドライバー、桧井保孝さんに語っていただいた。『アバルト ドライビングファンスクール』のインストラクターとしても指導する桧井さんに学ぶ、「クルマの楽しさ」とは?

―桧井さんのアバルトとの出会いについて聞かせていただけますか?

去年、フェラーリがフェラーリ・レーシングデイズというイベントを開催した際に、アバルトが大会スポンサーに就くということで、僕に手伝ってほしいという依頼があったんですね。その時にはじめてアバルトに乗ったのですが、それまでの僕のアバルトへのイメージというのは、単純にルパン3世のチンクエチェントだったんですね。あの『カリオストロの城』に出てきた、可愛いけど、崖の上とかをむちゃくちゃ走る車。現代では、車は省エネの流れが進んでいて、もちろんそれは重要なことだけど、見方によっては車の面白さが減っているとも捉えられると思うんです。アバルトはその時流に乗っていない。はじめて乗った時にそのことに気付いて、「なんという面白い車を作ったんだ」と感激しました。

―現代の車にある省エネの流れを受け入れつつも、桧井さんの中では、車の楽しみ方を伝えたいという気持ちが強いんですね。

そうですね。今ではアバルトのアンバサダーをさせていただいて、普段から595のコンペティツィオーネに乗っていますが、ちょっとどこかへ買い物に行くような時でも移動が楽しいんですよ。スポーツモードに切り替えて、軽くアクセルを踏み込んで走らせるだけでも、十分に楽しめますから。

―ひとえに「走る」といっても、その意味は車によって異なると思います。桧井さんにとって、アバルトで「走る」とは、どのような意味があるのでしょうか?

自分の中に活気が満ちるような楽しさが溢れてきますね。アバルトは一見すると、可愛くてコンパクトな印象を受けるけど、動きがかなりパワフルなんです。走らせると「え、こんなに走るんだ!」という驚きを与えてくれる。僕にとって、アバルトはスポーツカーなんですよ。

―見た目と走行時のギャップがとても大きい車ということですね。デザインに関してはいかがですか?

現行のモデルは少し路線を変えてきたなと感じていて、渋い系統のカラーリングが多いですね。僕が乗っている595のコンペティツィオーネは内装が茶色のレザーで外装はブラックですし、現行のラインナップは、大人が乗るエレガントな配色が多いと思いますね。

―最後に、アバルトのアンバサダーとして、またはドライビングファンスクールの講師として、桧井さんが発信していきたいことを教えて下さい。

以前は車で遊ぶというドライバーが多かったけれども、逆に今は、車を単なる移動手段として捉えているドライバーが多くなっています。それが僕のようなモータースポーツに携わっている人間にとっては寂しいことですね。なので、アバルトのユーザーの皆さんには、車で遊ぶということをもっと体験してもらいたいですし、アバルトに乗ったことのない人には、まずは車を運転することの楽しさから理解してもらえたら嬉しいですね。

懇切丁寧にアバルトの魅力を語ってくれた桧井さんは現在、アバルト 695 アセットコルセにて、スーパー耐久ST4クラスに参戦している。2007年のアバルトブランド復活以降、アバルト車が公式レースに参戦するのは世界的に見ても初めてのこと。レーシングドライバーとして、アンバサダーとして、日本から新しいアバルトの歴史と文化を発信していく桧井さんの活躍に注目だ。

 

Edit & Text: Shota Kato
Photos:masato Yokoyama