クラブ・アバルト「朝箱&BBQミーティング」

2011年11月15日、われらがアバルトの開祖であるカルロ・アバルトにとって103回目の誕生日に当たるこの日、“クラブ アバルト(CLUB ABARTH)”が発足した。

現在の日本では、おそらく唯一のアバルト・ワンメイククラブと目されるこのクラブは、新旧のアバルトに敬意を表するジェントルマンな精神を持ち、新旧のアバルトを愛してやまないクラブメンバーによって構成。アバルトを楽しみ、アバルトの魅力はもちろんイタリア自動車文化の伝道師としても、その魅力と素晴らしさを広く伝えることを目的としている。

これまでクラブ・アバルトのイベントとしては、同クラブのオフィシャルミーティングとなる「アバルト・デイズ」を開催しているほか、フィアット クライスラー ジャパン(当時はフィアット グループ オートモビルズ ジャパン)が主催した「スコルピオーネ デイ」に、クラブ単位でヒストリックモデルを出走させるなどの活動を行ってきたが、このほど新たに魅力的なドライブ&ミーティングイベントが加わることになった。2012年12月9日に箱根・三島周辺を舞台に開催された、その名も「クラブ・アバルト朝箱&BBQミーティング」である。

[上]朝日を浴びつつ箱根峠を駆け登ってきた500アセットコルセ・リミテッドエディション。世界限定49台の希少モデルは、クラシック・アバルト愛好家たちにも注目の的だった。
 
[右]日本では「田の字」と「チェッカー」と愛称される1960-70年代の有名なグラフィックが、新旧アバルトで再現された貴重なショット。このクラブならではの絶景と言えるだろう。

関東地方や静岡在住のクルマ好きであれば、あるいは一度は聞いたことがあるかもしれない“朝箱(あさはこ)”という、ちょっと風変わりな単語。今となっては誰が言い出したかも定かでないが、週末や祭日の早朝に箱根周辺のワインディングロードをドライブすることを指し、熱心なエンスージアストの間では半ば常用語と化しつつあるとさえ言われているキーワードである。そして今回クラブ・アバルトの“朝箱”を提案したのは、静岡・三島在住のクラブ・アバルト理事、M氏。同氏のご厚意で、ご自身のゲストスペースを拠点に箱根峠から芦ノ湖スカイラインを快走し、箱根の旧道から三島に戻る魅力的なコースが設定されることになったのである。

冬晴れの芦ノ湖スカイラインを、実に気持ち良いペースで走る2台のラリー・アバルト、前方の124アバルト・ラリーを、小さなチンクエチェント・トロフェオが追走する。

こちらも芦ノ湖スカイライン。可愛い595を1000TCRと500アセットコルセという2台の怪物が追う。しかし先頭の595ときたら、小さいくせにビックリするほど速かったのだ。

箱根の名所の一つ、箱根神社の大鳥居をくぐろうとしている500アセットコルセ。時ならぬアバルト軍団の通過に、この朝居合わせた観光客の皆さんも大注目の様子であった。

この日、仲間たちが勝手に“クラブハウス”と名付けてしまったM理事のゲストスペースに“朝箱”参加車両たちが戻ってきたところ。
さらにBBQミーティングのみの参加者も合流し、会場は新旧アバルトによるミュージアムのような光景が展開されることになった。

三島への集合は朝8:00。素晴らしい冬晴れでコンディションは上々だったが、箱根峠では氷点下の寒さとなった。しかし、旧くは1964年モデルのフィアット・アバルト595から、2台の1000ベルリーナ・コルサTCRに124アバルト・ラリー、1990年代のチンクエチェント・トロフェオ、そして2台の500アセットコルセを含む最新アバルト500も合わせて8台のアバルトが参加。寒さを吹き飛ばすような、熱い走りを披露してくれた。

日本のアバルト界を1960年代の創成期からリードしてきたF名誉顧問(左端)とS名誉顧問(右から2人目)。重鎮の挨拶に、参加者全員が敬意を表する様子が印象的だった。

その後、三島のクラブハウスではさらに新旧アバルト十数台と、アバルト愛好家メンバーたちが合流。最高に美味しいBBQ(バーベキュー)とともに、アバルト談議に花が咲くことになった。

ランチはM理事とその仲間たち特製のバーベキュー。あまりの美味しさに、参加者たちは寒さも忘れて舌鼓を打ちつつ、アバルト談議をヒートアップさせることになった。

クラブ・アバルトの活動は、今回の「朝箱&BBQミーティング」のようなクラブメンバーの親睦会に加えて、アバルトに関する最新情報の発信、イタリア・ツアーなどが予定されるほか、今後は独自のサーキット走行会なども行われる予定とのことである。クラブ員資格は、新旧アバルトのオーナーであること。まずはクラブ員規約に同意していただいた上で、現クラブ員2名の推薦を受けて入会申込みを行う。その後、理事会の審査ののちに承認されれば正式入会が認められるとのことである。

既にアバルトを所有しつつも、ほかのアバルト愛好家との情報交換の機会を持ちたい方、サーキット走行に興味のある方、さらには憧れのヒストリック・アバルトにも触れてみたい方など、アバルトという稀代のブランドが持つ楽しさを存分に堪能したいファンには、是非ともクラブ・アバルトへの参加をお勧めしておきたい。
ともにアバルトを愛する知己との交流により、貴方のアバルト人生にさらなる輝きをもたらしてくれるに違いないのである。

この日の日程を終え、参加者全員で記念写真。それぞれの笑顔が、クラブ・アバルトの楽しさと、来年以降のクラブイベントに向けた期待感を物語っているようだ。
 
クラブ・アバルト公式サイト
 
 
 
■ オーナー紹介

Sさん:124アバルトラリー
イタリア車全般に加え、欧州車も交えた老舗サーキットイベント“アバルトカップ”を主宰するSさんは、発足当時からのクラブ・アバルト主要メンバーの一人である。
Nさん親子
「アバルト・ドライビング・ファンスクール」では常連となっているNさんとご家族も、つい先日クラブ・アバルトに入会。可愛いお嬢ちゃんが、早くも人気者となっていた。
Mさん
小さなレーシングベルリネッタ、’59年型750GT“ダブルバブル”とともに、遥か栃木県から自走で参加したMさん。近年のクラシックカーイベントにも積極的に参加している。
Yさん
愛知県の欧州車イベントでは有名な人気者、Yさんは、この前日に納車されたばかりのプントエヴォ・エッセエッセで参加。さっそくクラブ入会も済ませた。