4台続けてアバルトを所有! アバルトライフFile.58 山田さんと695 esseesse

不便を補って余りあるアバルトの不思議な魅力

アバルトへの憧れは誰もが知っているスーパーカーに対する憧れとは違う種類のものですか?

「それよりも、もう少し屈折した気持ちのような気がします(笑)。みんなと違うクルマに乗りたいとか、そういう思いですかね。あえて不自由を選ぶみたいな。アバルトって、ヘッドライトがオートじゃなければ鍵だってスマートキーじゃないですよね。言ってみれば不便だと思うんですけど、そんなのはどうでもいいんだよ、と。何ならパワーウインドウも付いていなくても別にいい。自分はそういう細かいところは関係ないという。そうした不便を補って余りある魅力がアバルトにはあると思いますね」

山田さんの中に思い描くアバルトのイメージというのがあって、それに対する憧れの気持ちというのは、2台、3台と乗り継いできても、変わらないものであり続けているのですね?

「そうですね。飽きてないんでしょうね。自分の性格からしても、よく同じ車種をこんなに乗り続けてきたなって思うところはあるんですけど」


695 esseesseのシート。サベルト製のスポーツシートに専用の表皮やロゴがあしらわれる。

595 Competizioneから695 esseesseに乗り換えた理由は何だったんですか?

「そうですね。きっかけはまた車検のタイミングの見積もりで、いつもと同じパターンなんですけど、ただ、エッセエッセというものに対しては、ちょっとした思い入れがあったんです。2009年に最初に500を買った時、木箱に入った“エッセエッセキット”というのが出たじゃないですか。あれが欲しくて欲しくてしょうがなかったんです。でもさすがに50万円の後付けオプションは家族の許可が出なくて、泣く泣く諦めたっていう過去がありました。その後、何とかレコードモンツァを装着することはできたんですけど、エッセエッセキットを付けて乗っている人を街で見たときは、羨ましかったですね。だから今回縁があって695 esseesseを所有することができて、ようやく念願叶ったというところですね」


念願のエッセエッセを所有。長く憧れていた存在だっただけに喜びも大きかったに違いない。

かくして4台目のアバルトを手に入れた山田さんだったが、今回の乗り換えは今までの中で一番大きく揺れたという。

「実は595 Competizioneに5年間乗っている間に趣味が増えて、キャンプに行くようになったんです。ソロキャンプってやつですね。ソロだからアバルトでも荷物は載せられるんですけど、あのクルマで山奥のキャンプ場に行くと、わだちの酷い道とか行けないところがあって。ちょうど50歳を迎えて年齢も年齢だというのと、犬も2匹に増えたので、そろそろSUVにでも乗り換えようかなって思ったんです。でも結局、エッセエッセに対する思いが、そんな気持ちを上回って、またアバルトを選ぶことになったのですが……」


セブン君と菜のはなちゃんも奥さまが手作りしてくれたサソリのお洋服を着用。

そんな悩みを乗り越えて購入された695 esseesse。満足度はいかがですか?

「面白くてしょうがないですね。5年ぶりにマニュアル車に乗ったわけですけど、これが正解でした。もちろん2ペダルは2ペダルで面白かったし、むしろ乗る前は、久々のマニュアルで、面倒臭く感じないかと不安もあったんです。でも結果的に再びマニュアル車にして良かったと思っています。ちょっとコンビニに行くような短い移動も楽しく、苦には感じないですね」

695 esseesseには、レコードモンツァの代わりにアクラポヴィッチのエキゾーストシステムが付いていますが、その点はどうですか?

「レコードモンツァって、ゲロゲロゲロゲロって感じの音だったじゃないですか。そのゲロゲロ感がなくなってスッキリした感じの音になったのと、バルブの制御が変わってScorpionボタンを押すと、窓を閉め切っていてもマフラー音が変わる感じが強くなった印象です。サウンド自体も気に入っています。アクラポヴィッチは音質的には大人のモータースポーツというか、そういう雰囲気があって、僕の心にしっくりくる感じはありますね」


695 esseesseの専用装備のひとつがアクラポヴィッチのエキゾーストシステム。レコードモンツァ装着車を乗り継いで来られた山田さんにも、そのサウンドは響くという。


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