生活に潤いを与え、心を掻き立ててくれる存在。アバルトライフFile.57 西崎さんと695 esseesse

初めてのイタリア車

8月末に富士スピードウェイで開催されたフジスピードフェスティバル 2022でのこと。集まった約70台のアバルトの中に、納車されたばかりと思しきピカピカの695 esseesse(エッセエッセ)と、アスリートのように引き締まったオーナーさんの姿を発見。彼の名は西崎宏軌(ひろみち)さん。聞けば、6月に納車されたばかりのGrigio Campovolo(グレー)の695 esseesseは、西崎さんにとって1台目のアバルトとのこと。初めてでいきなりハードコアな695 esseesseを選ばれた、その経緯などをお聞きしたく再会の約束をし、後日改めて訪問させていただくことに。

2ヶ月後、待ち合わせ場所に姿を見せた西崎さんは、ストライプ柄のシャツにデニムという爽やかな装いで、695 esseesseの運転席から降りてきた。「こんにちは」と笑顔で挨拶を投げかけてくれた西崎さんの695 esseesseは、左ハンドル仕様。クルマへのこだわりと経験の豊富さを感じさせた。


695 esseesseオーナーの西崎宏軌さん。

695 esseesseのお話をお聞きする前に、まずはこれまでに乗ってこられた愛車についてうかがうと、若い頃には80年代を賑わせた国産スポーツカーを中心に人気車を乗り継いでこられ、社会人になって乗った愛車リストにはドイツ製の高級スポーツカーの名も。実は西崎さん、建築の設計をされており、当時、自営業で建築設計事務所を営んでいらしたという。
「お付き合いのある設計事務所の所長さんがドイツのスポーツカーに乗っていて、いいなぁと思っていたんですよ。その時は僕も自営業である程度まとまったお金があったので、思い切って購入に踏み切りました」と振り返る。「でも自営業は浮き沈みがありますので、2-3年乗って手放したんですけど……」

やがて所帯を持ち、家を建てられた西崎さん。その頃には多人数乗車が可能なドイツ製ミニバンに切り替えた。その当時のことを「ドイツ車が好きだったんですね。工業製品として優れていると思っていましたし」と振り返る。ところがある時、そんな西崎さんのクルマ選びに変化が訪れた。それまで所有したことのなかったイタリア車に惹かれることになったのだ。キッカケは、通勤途中に毎日見ていた2台のフィアット 500だったという。


西崎さんの695 esseesseは、2022年5月に世界1390台、国内には400台限定で販売されたリミテッドエディション。

【次ページ 金やマグネシウムを売って購入資金を捻出!?】