今のうちにエンジン車を存分に楽しんでおきたいので…… アバルトライフFile.53 山本さんと595 Competizione

ノーマルモードに戻せない

2022年3月に開催されたSCORPIONNA DRIVE FOR WOMAN WOMEN DAYでは、国際女性デーにちなんで、黄色を取り入れたドレスコードが設けられていたなか、黄色いスカートを着用し、さらにその日のために用意したというボンネットの黄色いサソリと、リップスポイラーにも黄色の差し色が入った595 Competizioneで参加されていた山本峰さん。しかも近畿地方にお住まいとのことで、箱根まで約5時間かけてご来場。その只者ではないスコーピオンスピリットに心を打たれ、改めてお話をうかがいたいとお願いしたところ、取材OKのお返事。後日、ご自宅近くの待ち合わせ場所にうかがうと、そこにはレーシーな雰囲気の、Grigio Recordの595 Competizioneの姿が。山本さんはご自身のカーライフにも多大な影響を与えているというパートナーの倉本さんと一緒にお越しくださっていた。


595 Competizioneオーナーの山本さん(右)と倉本さん(左)。

お久しぶりです。山本さんの595 Competizione、レーシングカーのような雰囲気が印象的でしたけど、カスタマイズとかされているんですか?

山本さん
「いえ。見た目は派手に見えますけど、中身はノーマルです。私たちのアバルト仲間にKさんという友だちがいるんですけど、彼の595を見て、“ええなー”と思ったので参考にさせてもらい、同じようにデカールを貼らせてもらったんです。595 Competizioneって、機能面では完成している感じがして、いじるところがほとんどないじゃないですか。私はもともとドレスアップ派じゃないんですけど、このクルマの場合はもう完成の域に達しているので、やれることはドレスアップくらいかなと思いまして(笑)。これが生涯最後の新車なので楽しもうと思って(笑)」


ステッカーや黄色のアクセントカラーでドレスアップされた山本さんの595 Competizione。

えー、もう生涯最後の新車と決めているんですか?

山本さん
「そう思いますよ。ガソリン車で左ハンドル、かつマニュアルとなると、欲しくてももうそういうクルマはもう出てこないんじゃないですかね。このクルマを買う時もほぼ他に選択肢がありませんでしたし、これからはどんどん電動車が増えてきそうな気配なので、今のうちにガソリン車に乗れるだけ乗っておこうと思ってます」

なるほど。そういうことですか。そもそも山本さんがアバルトに乗られるようになったキッカケを教えてもらえますか。

山本さん
「自宅から会社までクルマ通勤で、片道30kmぐらい離れているんです。アバルトに乗る前は90年代のアルファ ロメオに乗っていたんですけど、年代的にそろそろ消耗部品が入手困難な時期に差し掛かっていまして。でもとても気に入っていて手放すのは嫌だったので、もう一台、維持費のかからないクルマが欲しいということで、輸入車でマニュアルのクルマを探し始めたんです。それが3年ぐらい前なのですが、ちょうどその頃、奈良県の名阪スポーツランドでScorpionna Drive for Womanが開催され、アバルトを所有していない人向けの枠もあったので参加したんです。そこでアバルトを走らせたらもう楽しくって。よく行くアバルト神戸西店のショールームに、めちゃクルマ好きな営業さんがいて、よくクルマの話をしに顔を出していたんですが、ある日、Scorpionna Driveが楽しかったことや、新しい通勤車がいよいよ必要になってきたという話をしたところ、タイミング良くすぐに納車できる新車の595 Competizioneがあるとお聞きして。しかも私の乗っていたアルファ ロメオと同じ左ハンドルのマニュアル車だったので、トントン拍子に話が進みましたね」


クルマを選ぶ際、スタイリングが良く、乗って楽しいクルマであること。さらに左ハンドルのマニュアル車の設定がある車種という条件で探していたという山本さん。それらをすべて満たすクルマとして595 Competizioneに行き着いたそう。

それが現在の愛車になったということですね。595 Competizioneが自分のクルマになって、なにか新しい発見はありましたか?

山本さん
「惚れ惚れして、いつもニマニマしてます(笑)。見た目が可愛いですし、1.4リッターターボエンジンは十分なパワーがありますし。そうそう、燃費のことも考えて初めのうちはスポーツモードは使っていなかったんです。でもそのことをFacebookに書いたら、アバルト仲間から“スポーツモードを使った方が、逆に燃費が伸びるよ”というアドバイスをもらって。どうやら“踏む人はノーマルモードだと余計に踏んでしまう”ということらしいですね(笑)。私は、古いクルマに乗っていて最新のクルマには乗っていなかったですし、Scorpionna Driveはコンパクトなコースだったので、3速まで入れる機会がほとんどなかったじゃないですか。だから3速や4速で思いっきり踏んだことがなかったんです。それで自分のクルマでスポーツモードに入れて試してみたところ、とても気持ちよく加速してくれて(笑)。もうノーマルモードに戻せなくなりましたね」


今ではスポーツモードを常用しているという山本さん。

新たな挑戦の原動力

595シリーズは、エンジンを切っても前に選択したドライブモードの状態が維持されるのがいいですよね。ところで購入するとき、595 Competizione以外のモデルは考えなかったんですか?

倉本さん
「私はどちらかというと、595のベースモデルを購入し、後から手を入れて自分の好きな1台に仕上げていくのがいいじゃないかと勧めたのですが、(山本さんが)“いやいや、メーカーが手掛けた完成形である595 Competizioneにするのがベストだ”と言い張って(笑)」


595のベースを購入して、自分に合った1台を作り上げるか、あるいは完成された595 Competizioneを選ぶか。このふたつの選択肢で悩まれたそう。

山本さん
「メーカーが完成形だというものが一番いいと思ったんですよ。595 Competizioneはパワーもありますし」

燃費はどれぐらいですか?

山本さん
「13〜14km/Lですかね。通勤を含め高速道路を走ることが多いので、いい数字が出ていますね。今では100%、スポーツモードで走行していますけど燃費も良く、とても満足していますね。あと荷物もたくさん入れられるんです。健康のためにロードバイクを始めたんですけど、ロードバイクを販売店に取りに行くときに、アバルトのトランクに積めるか不安を感じながら取りに行ったんです。タイヤを外して積み込んだところ、意外にいけましたね。トランクの広さも十分だと思います」


リアシートを倒せば、大きな荷物も楽に入れられるということで実用性にも満足の様子。

アバルトに乗られているご友人と一緒に走りに行ったりすることもあるんですか?

山本さん
「ありますね。アルファ ロメオに乗っていた時からの友人で、アバルトに乗っている仲のいい子がいるんです。その子、アバルトに乗り換えてから、アバルトの伝道師みたいになって。私がアバルトに乗る前から、“アバルト、いいで〜、いいで〜。壊れへんで〜”と呪文のように唱えていたんです(笑)。自分もそうなのですが、周りにも“年齢的にもう大きいクルマはいらない。でも楽しいクルマが欲しい”という人がいまして。アバルトはそういう方にも好んで選ばれているみたいですね」

倉本さん
「友人の影響は大きいですね。クルマが大好きで、詳しい人の言うことって信頼できるじゃないですか。アバルトを選ぶ時も、その友人が“間違いない”と強く勧めてくれたので、安心材料になりましたね。その友人とはよく一緒にクルマで遊んだりしています」

では、そのご友人の方にもいつかご登場いただきたいですね。お二人にとって、やはりクルマは一番の趣味と言える存在のようですね。

倉本さん
「そうですね。クルマもですが、クルマで繋がった仲間たちも大切な存在です」


クルマそのものもさることながら、周辺のネットワークも含め、アバルトライフを楽しまれているという山本さんと倉本さん。

山本さん
「平日も週末も、クルマの存在は大きいです。実は最近、所属する部署が異動になったんです。カー用品を扱う会社に勤めているんですけど、自動車以外の商品を扱う部署に移ることになって。しかもただ商材が変わっただけでなく、業務内容も変わり、これまで話すことがなかったクライアントさんと直接話したり、使ったことのなかったPCのソフトウェアを扱うようになり、ぜんぜん違う分野で新たなスタートを切ることになったんです。でも緊張はしてますけど、自分のなかで変化を楽しめているところもあって、置かれた状況の中でがんばろうと自分を奮い立たせているところです。仕事で凹むことがあったときも、帰りにアバルトに乗ると、嫌なことを忘れられます。通勤からこんなに贅沢な思いをさせてもらっていいのかしら、と思うことがあるくらいですね。それだけアバルトの存在は大きいですし、もうこのクルマを下回るスペックのクルマには乗れない気がしてます(笑)」

アバルトの存在は大きいようですね。週末はどんな過ごし方をされているんですか?

「休みの日はだいたいドライブに出かけます。お寺や歴史物が好きで、西国三十三所の御朱印を集めているんです。もうだいぶ貯まっていて、あと残りは10箇所以下だと思います。平日は通勤に使い、週末もドライブに出かけますので、おかげでこの595 Competizioneは納車から2年経っていないのに走行距離はもう4万kmです(笑)。これからもずっと乗り続けるつもりですよ」

職場の環境が変わり、きっと大変な思いもされているなか、そうした変化を受け入れ、アバルトに乗ることをカンフル剤に頑張られている山本さん。聞けば、倉本さんも半年ほど前に転職されたばかりで、新たな職場でお仕事に打ち込まれているとのこと。奇しくも同じ時期に新たな挑戦に踏み出した山本さんと倉本さん。お互いを尊重し合い、また仲間にも囲まれながら、アバルトを共通の趣味として人生を楽しまれている様子がとても素敵に見えた。

 
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