「ワークライフバランスを整えるうえでなくてはならない存在」アバルトライフFile.29 井岡さんと124 spider

五感に響き、これだ! と

日曜日にショールームに足を運び、翌月曜日に、もう契約。ほぼ即決で124 spiderを選んだという井岡宏介さん。外資のメーカーにお勤めで日々忙しい生活のなかで、クルマに乗る時間をリクリエーションに“さらなる上”を目指し、挑戦の日々を送っておられます。そんな27歳の若きエリートにお話をうかがいに、神戸へと向かいました。

──124 spiderを選んだ理由から教えていただけますか

「このクルマを購入するときは、実用的なクルマ選びではなく、今しか乗れないクルマに乗ろうと思っていたんです。といいますのも、日本で学生をしているとき、初めて乗ったのは国産のコンパクトカーだったんですけど、それは祖母が乗っていたクルマを譲り受けたものでした。そのあとアメリカの大学に進み、向こうでは親に言われた通り、安全性やリセールバリューなどを踏まえてSUVに乗っていました。そのようなクルマ選びをしてきましたので、日本に帰ったら今度は自分が乗りたい、本当に好きなクルマを選ぼうと決めていたんです」

124 spiderオーナーの井岡さん。

──アメリカへは留学ですか?

「そうです。中学卒業後に、高専に進学したのですが、工業系の学校なので、とてつもなく頭のいい人がいるんです。で、これは無理だと。技術系の道に進むのは厳しい。それならば彼らを支える側に回ろうと。技術者の考えていることがわかる経営者を目指すことにしました。それで経営と英語を勉強するため、アメリカへの留学という道を選択しました。向こうで大学を卒業し、2018年4月に外資のメーカーに入社しました。その後、研修でシンガポールに11ヶ月ほどいました。それで2019年7月に日本に戻ってきたのですが、会社の人から“クルマはあったほうがいいよ”と言われ、じゃあ、買おうと。買うならマニュアル車にしようと決めていました」

124 spider購入前からトランスミッションはマニュアルと決めていたそうです。

──なぜマニュアルに?

「父がクルマ好きで、いま実家には父と母の2人しか住んでいないんですけど、クルマは4台あるんです。うち2台はマニュアルです。片方は40年くらい前のクルマなのですが、そのうち自分も乗りたいと思っていまして。そういう父親のもとに育ちましたのでクルマ好き、マニュアルも好きなんです。初めは国産スポーツカーにしようと思っていたんですが、父にそれを話したら、アバルトの124 spiderはどうだ?と言われまして。その時のぼくのアバルトに対する知識は、ロゴは見たことある、という程度のものだったのですが、とりあえずショールームに行ってみようと思いました。帰国してすぐの週末、土曜日に国産メーカーの販売店2店に行き、日曜日の午前中にアバルトのショールームに行きました。アバルトは乗ってみると、やっぱり違うんですね。他もいいクルマとは思ったのですが、アバルトに乗ってしまうと、尖っていないというか、割と普通だなと感じてしまったんです。124 spiderで特に気に入ったのは五感に響いてくるところですね。屋根を開ければ視界が広がる。木の香りとか外の匂いが感じられる。耳にはエンジン音が入って来て、視界には特徴的なボンネットが目に飛び込んできます。そうした見え方、世界観がとても気に入りました。信号待ちで停止しているだけでも、エンジンが震えている感じが、動いているんだぞと訴えかけているような感じがして。人によってはそれを振動というかもしれない。でも僕にとってはそうではなかった。感覚が心地よくて。これにしようと。翌日の月曜日にもう書類にサインしていました」

124 spiderにはクルマと対話している感覚を濃密に感じるそうです。「クルマの要求に耳をすませながら自分で操作する感覚が楽しい」と話してくれました。

──即決ですね。ボディカラーとかは悩まなかったですか?

「即決でしたね。候補に挙がっていた車種のなかでは124 spiderがもっとも高額だったのですが、そこに払う価値はあると思ったので気持ちは前向きでした。自分も製造業の人間として、よくできたものはわかりますし、とくに今回は乗って楽しいクルマが欲しかったので、価格面も含めて納得しました。ボディカラーは赤一択でしたね。イタリアは赤をすごく大切にする国だと思いましたし、自分でもスポーツカーは赤という偏見があったので悩みませんでした。納車までの1ヶ月は、もう楽しみでしたね」

井岡さんのお気に入りは、フロント周り。クラシックとモダンを融合させたような雰囲気に魅力を感じるといいます。

──周囲の反応はどうでしたか?

「一番印象に残っているのは、納車当日のことです。明石から実家のある伊東まで片道で500kmくらいドライブしました。8月でお盆のタイミングだったこともあり高速道路で、家族で乗っているクルマが前を走っていたんです。それでお母さんが後ろをチラッと見たあと、子どもに “見て、見て!”と言わんばかりに肩をポンポンと叩いて呼んだんです。それで子どもがこっちを振り向くと、ものすごくうれしそうに、ジーっとこちらを見てくるんです。そういう体験は今までしたことがなかったので嬉しかったですね。124 spiderを選んでよかったと思った瞬間でした。あと自分には兄がいるんですけど、兄は僕と違ってクルマが好きな人間ではないんです。ある時、家族の集まりで実家に帰った時、兄を駅まで迎えに行ったんです。30-40分のドライブでした。その時兄が言ったのは、“会社のクルマを運転することがあるけど、このクルマは全然違うね”と。“このクルマは助手席に乗っているだけで楽しい”と。“自分はクルマが趣味ではないけれど、それでも隣に乗っていてこのクルマの楽しさは伝わってくるよ”と。そんなことを言い出したんです。兄にとってクルマはただの移動手段。そういう考えだったので、まさかそんなことを言ってくるとは思わなかったんですよ。彼の中でちょっと意識が変わったのかなと。124 spiderは色々な人を楽しませることができるクルマなのかなと実感しましたね」


仕事で成果を求められる

──お仕事は大変ですか?

「プレッシャーは常に感じていますね。成果を出さないといけない。それで将来が決まる部分があります。上がっていけるか、それともいつか切られるか。自分のなかでそんな緊張感を持って仕事に取り組んでいます。あと責任の大きさを感じています。自分のやる仕事で結構な額のお金が動くこともありますし、やることひとつひとつに責任を感じます。細かいことでも気が抜けないですね。一方で、そういうスタイルで仕事をすることを楽しんでいる自分もいます。切羽詰まっている状況を楽しめるタイプの人間だと思いますので。ただ、常に仕事のことばかりを考えていたらダメだと思うので、バランスを考えています。仕事のことを完全に忘れることができるのは、運転する時ですね。ワークライフバランスを整える上でもアバルトは役立っています。家に帰ったらアバルトがいるぞ、と。厳しい環境を生き抜いていくなかで、124 spiderが励みとなって、助けてくれているという実感はありますね」

井岡さんの124 spiderは標準タイプのエキゾーストシステムを装着。そのスポーティなサウンドに満足しつつ、レコードモンツァの装着も悩み中とのこと。

──週末はどのように過ごされているのですか?

「買い物に行ったり、あとはカフェが好きなので、クルマでよく行ったりします。平日も家に帰って、そのまま乗りに行ったりしますね。仕事で役立つ資格を取るための勉強をしているんですけど、あえて家から少し遠いカフェを選び、運転を少し楽しんでから勉強するんです。帰る時もあえて遠回りをして道中を楽しむという生活を送っています。運転すると楽しくて気分は興奮するんですけど、同時に落ち着く感じがします。運転に集中すると他のことを考えなくてよくなるので、仕事とか余計なことが頭からなくなり、無になれる。一度頭をリセットできるのです。もう124 spiderがない生活は考えられないです。生活に刺激が加わっているというか、人生のいいスパイスになっていますので」

「ルーフを開けている時と、閉めている時とで別のクルマのような感覚を味わえる」とは井岡さんの弁。そのふたつをシーンによって使い分けることを楽しまれているそうです。

ひとりひとりがアバルトの代表

──普段は安全運転ですか?

「安全運転ですね。ちょっといいクルマに乗っていて、気持ちが大きくなるような人にはなりたくないと思うんですよ。最近煽り運転とか問題になっていますけど、なんで煽るんだろうと思います。横から入られることもありますけど、待てばいいと思うんです。待てばクルマに乗っている楽しい時間が増えるわけですから。ですので僕は他人に譲りますし、スピードも出しません。あたり前のことですけど、そこは意識してやっていますね。アバルトって台数が少ないので目立ちますよね。アバルト乗りはマナーがいいなと思われたいですし、乗っている人が少ないからこそ、ひとりひとりがアバルトの代表だと思うんですよね」


──すばらしい考え方ですね。ご自身ではアバルトに乗って変わったこと、なにかありますか

「服はもともと好きな方だったんですけど、より身の回りのものに気を配るようになりました。服に限らず、ひとつひとつモノに対するこだわりを持つキッカケになったと思います。自分の仕事はプロダクトサポート系やサービス技術などと言われ、問題が起きた時にどのようにお客様の信頼を乗り戻すかとか、そういうことを考えたりする立場なんですけど、モノに対する考えをしっかり持つことが大切な仕事だと思います。プロダクトとユーザーの関係は大事だと思いますので、自分もアバルト乗りの一員として、ちゃんとしないといけないなと。そこで判断する人もいると思うんですよね。若いのに相応しくないクルマに乗っていると見る人もいるかもしれませんが、僕は逆に自分より若い世代に少しでも夢とか希望を与えられたらいいなと思っています。こういうクルマもあるんだよとか、がんばればいいクルマに乗ることができるんだよって。服装もしかり、運転マナーもしかりです。ちゃんとしていなかったら、夢など与えられないと思いますので」

124 spiderの詳細はコチラ