「アバルトに乗るときは、お洒落したい」アバルトライフFile.26 大井さんと124 spider

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学生時代に抱いたスポーツカーへの憧れ

「クルマから降りたときに、ビックリされることがあるんです。二度見されたり、とか。そういう反応は40代とか50代の大人の男性からが多いんですけど、私の124 spiderやアバルトの友達は20代がほとんどで、もちろん女の子だっています。若くてアバルトに乗っている人、結構いますよ。そんなに珍しくはないと思うんですけどね……」

そんなふうに話してくれたのは、大井みゆ梨さん。20代半ばの看護師さんです。ABARTH 124 spiderを愛車にして、そろそろ1年半といったところ。

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124 spider オーナーの大井さん。

「お父さんが昔からクルマ好きで、子供の頃はお父さんの隣に乗せてもらうのが好きでした。高校を卒業してすぐに免許を取ったんですけど、その頃は特にスポーツカーに思い入れがあったわけではありません。でも大学生のときにクルマのイベントに行く機会があって、そこでスポーツカーってかっこいい、って衝撃を受けたんです(笑)。最初はリトラクタブルライトのクルマのぴょこっとライトが出てくるのが、すごくかわいくて惹かれました」

ほどなくして大井さんは、現在の124 spiderの姉妹車のルーツといえる、リトラクタブルライトの初代ロードスターを手に入れます。

「オープンにもなるし、スタイルもかわいいし。そんな軽い気持ちでした。でも、そのクルマとの出逢いがなければ、今、124 spiderには乗ってなかったかもしれませんね」

試乗で感じた「ああ、これこれ!」

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ニュルブルクリンクサーキットを模した、岐阜県の県境をモチーフとしたステッカーや自分で見つけたサソリのアクセサリーの貼付など、自分なりのカスタマイズを楽しまれている大井さんとその124 spider。

オープンスポーツカーを手に入れた大井さんはクルマにますます興味が湧いて、ネットを駆使していろいろ調べるようになり、自分なりにクルマに手を入れるようにもなり、トップを開け放って走る気持ちよさを満喫し、いつの間にやら完全なスポーツカーフリークへと成長(?)します。そして2年と少々。

「あるときブレーキに不安を感じたことがあったんです。やっぱり年式的には古いクルマでしたから。私、80年代とか90年代とかのクルマがカッコイイと思ってたんですけど、やっぱり現代の新しいクルマの方が安心できるなぁと……」

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124 spiderに試乗し、自分にあうと直感したという大井さん。その予感通り、オーナーになってからも愛着がどんどん増していくことに。

──そこでアバルトを選んだのは、なぜだったのでしょう?

「いろいろなクルマを試乗しに行ったんです。アバルトについては詳しいわけじゃないけど何となくは知っていて、124 spiderは同じオープンカーだし、自分のクルマと縁もあるクルマだし、興味はあったのでショールームに行きました。試乗してみたら“ああ、これこれ!”と思いましたね。乗った感覚が自分のクルマにいちばん近かったんです。シートからの景色もすごく似てる。スタイリングが新しいのにクラシックな感じもあって素直にかっこいいと思ったし、サソリのエンブレムもすごくいいと思いました。速さはかなり増しましたけどね(笑)。その日のうちに次はアバルトにしようと決めました」

ヘリテージルックへの憧れ

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MT仕様を選択、しかもレコードモンツァも装着。

それから数ヶ月後、大井さんはダークブルーの124 spiderを、MT仕様、レコードモンツァ付きでオーダーしました。一昨年の春先のことでした。

「決めたのは早かったんですけど、実際に買うまでに時間がかかったのは、一生懸命お金を貯めてたから(笑)。124 spiderって白のイメージが強いですけど、私は今のこの色がよかったんですよ。光の加減で色が変わって見えたりするのも気に入ってます。でもひとつだけ問題があって、ヘリテージルックに憧れてたんですけど、濃いブルーに艶消しの黒だとせっかくのラッピングが全然目立たなくなっちゃうので。悩んだんですけど、結局ヘリテージルックを諦めてこの色を選びました」

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ダークブルーのボディカラーを気に入り、一択で選択。その後、ヘリテージルックへの思いを捨てきれず、ボンネットをシルバーにラッピングし、理想の1台へと仕上げました。

そして124 spiderが納車されて1年ほど経ってもヘリテージルックに後ろ髪を引かれていた大井さんは、悩んだ末に思い切ることにしました。アバルト仲間の助言もあって、シルバーのラッピングでヘリテージルックを再現してみたのです。

「思っていたよりかなりかっこよく仕上がりました。すごく気に入ってます」

アバルト仲間とツーリングを満喫

カルロ・アバルトもボディのカラーリングには強いこだわりを持っていた人物なので、何だか不思議な共通項を感じます。そのお気に入りのアバルトを、20代のうら若き女性は、日頃、どんなふうに楽しんでいるのでしょう。

「普通に、どこにでも乗っていきますよ。病院への通勤にも使ってますし、どこに行くにもアバルトです」

ここで“目立ちませんか?”と質問をした、その回答が冒頭の言葉だったのでした。気になったのは“アバルトの友達は20代がほとんど”というセンテンス。

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アバルト仲間とツーリングや食事するのが楽しみという大井さん。

「そうなんです。124 spiderに乗るようになってから知り合った同じ年代ぐらいのアバルトの友達が、今ではいちばん仲のいい友達といえるかもしれませんね。男女取り混ぜて7〜8台のグループでツーリングに行くのが、とっても楽しいんですよ。どこかで待ち合わせて、そこから連なって、風景が綺麗で走るのが楽しい道とかに向かうんです。例えば長野県のビーナスラインとか。もちろん“映え”の写真も撮りますけど、撮るのは皆なぜかクルマばっかり(笑)。そういうツーリング、年に3〜4回は行ってますね。でも、ツーリングだけじゃなくて、ごはんを一緒に食べるためだけに集まったりもする。アバルトをきっかけに知り合って、住んでいるところとか仕事とか普段やっていることとかはバラバラなんだけど、今はそういうのを超えて、本当に大切な友達。アバルトに乗るようになって最も変わったのは、そこかもしれませんね」

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──実際にオーナーになってみて、124 spiderのどんなところに満足していますか?

「レコードモンツァの音が気持ちいい。シフトのフィーリングも、自分で操縦している感じが強くて気持ちいい。自分の好きな回転数で走れるし、引っ張りたい時は引っ張れるし。それに速い。これだけ速ければ十分! 走りには大満足ですよ。飛ばさなくても気持ちいいし、楽しいんです。仕事が終わったら124 spiderに乗れると思うと、がんばれます(笑)」

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看護師さんは大変な仕事とお見受けします。そのストレスを124 spiderが飛ばしてくれるわけですね。

「ストレスという言葉は使いたくないですけど、やっぱり124 spiderに乗ると気持ちがスッキリするのは確かですね(笑)。本当に楽しいクルマです。でも、眺めてるのも好きなんですよ。眺めながらお茶を飲むのも好き。じーっと見ちゃう(笑)」

インタビューの場所として大井さんが案内してくれたのも、窓からクルマを眺められるカフェでした。

「だから、私がクルマから降りたときに“あんな人が乗ってるのか”と思われないよう、気をつけてます(笑)。仕事をしているときと124 spiderで出掛けるときは、メイクも変えますよ。目元も口元も少し華やかにします。アバルトに乗るときは、お洒落したい」

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大井さんの耳元では、探して買ったというサソリのイヤリングが揺れています。何だかいいな、こういうの……と素直に思わされたのでした。

文 嶋田智之

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