2012 ABARTH PUNTO SUPER SPORT / SCORPIONE|アバルトの歴史を刻んだモデル No.059

2012 ABARTH PUNTO SUPER SPORT / SCORPIONE
アバルト プント スーパースポーツ/スコルピオーネ

アバルト プントの最終進化型

2007年にアバルトが復活した際に、最初の市販モデルとして発売されたのが「アバルト グランデプント」だった。往年のアバルトと同様にフィアットの量販モデルであるグランデプントをベースに、エンジンからサスペンションまで総合的なチューニングが施され、走行性能をアップ。フロントに積まれる1.4リッター直4 DOHC 16バルブターボエンジンは、フィアット版に比べ約2倍となる155psまでパワーアップされた。

また、単にパフォーマンスを追求するだけではなく、かつてのアバルトと同様にクルマ好きを魅了するデザインが施されていた。細部にまでこだわった造形や、サソリをあしらったグラフィックはクルマ好きを魅了した。


アバルト グランデプント

アバルト グランデプントには、よりパフォーマンスを高める「エッセエッセ キット」が用意された。キットは最高出力を180psに向上させるチューンドECUやギャレット製GT1446型大型ターボのほか、足回りはスポーツサスペンションやブレーキローター、パッド、18インチのタイヤホイールまでが含まれる充実した内容だった。

こうして誕生したアバルト グランデプントは、走りを愛し、熱いハートを持った世界中のクルマ好きから熱烈な支持を得る。日本では2009年2月に導入されて以来、刺激的なイタリア車として高い評価を得ている。

その後ベースとなるフィアット版のマイナーチェンジでモデル名が変更されたことに連動し、2010年2月に「アバルト プント エヴォ」へと変更を受ける。2012年9月1日になると車名はシンプルに「プント」と改められ、アバルト版も「プント」に変更された。


2010年に登場したアバルトプント エヴォ

プント スーパースポーツ登場

2012年に「アバルト プント」の登場と共に、カタログに用意された特別仕様車が「アバルト プント スーパースポーツ」である。


プント スーパースポーツのボディカラーはグリッジオ カンポヴォーロとされ、エンジンフードとルーフパネルはフィアット・アバルト 124 ラリーをイメージしたマットブラックのペイントが施された。

プント スーパースポーツはその名が示すように、よりスポーツ志向で仕立て上げられたモデルである。ボディカラーはアバルトを象徴するグリッジオ カンポヴォーロのみ。さらに往年の名車フィアット・アバルト 124 ラリーをイメージした、エンジンフードとルーフパネルにマットブラックのストライプとペイントを施した専用のカラーリングが特徴となる。あわせてホイールもマットブラックにペイントされ、より精悍なイメージとされた。

「スーパースポーツ」の名にふさわしくエンジンは、エッセエッセ仕様と同等の180psまでパワーアップされ俊敏な走りを得ている。ちなみに当時の価格はベースグレードのアバルト プントに比べ20万円高の309万円で、お買い得といえる設定だった。


17インチホイールはマットブラックにペイントされ、キャリパーはスタンダードのプント同様、レッドにペイントされる。

“サソリ”の名が与えられた限定車

プント スーパースポーツのデビューと共に限定モデルとして用意された最強版が「アバルト プント スコルピオーネ」だ。イタリア語でサソリを意味する『スコルピオーネ』の名が与えられた限定車は、プントファミリー最強となるパフォーマンスが与えられた。


プント スコルピオーネは全世界199台の限定車で、日本には40台が導入された。外装色はブラックのみ。ホイールはブラックの18インチ径アロイホイールにアップグレードされ、キャリパーはイエロー仕上げとされた。

「スコルピオーネ」は全世界199台、日本では40台限定というレアなモデル。ボディカラーは「ネロ スコルピオーネ」と名付けられたブラックのみの設定で、スーパースポーツと同様にエンジンフードとルーフはマットブラックのカラーリングが特徴となる。

KONI製ダンパーが含まれる「エッセエッセ KONIキット」が標準で組み込まれ、180psの最高出力と引き締められた足回りを備える。ホイールはブラックにペイントされた18インチ径アロイホイールにアップグレードされ、タイヤは215/40R18が組み込まれた。また「スーパースポーツ」ではレッドだったブレーキキャリパーはイエローに変えられている。


スコルピオーネにはファブリックとアルカンターラ表皮のSabelt製スポーツシートが備わる。バックレストに施された『ABARTH』の刺繍が特別仕様であることを主張する。

インテリアではバックレストに「ABARTH」の刺繍が施されるセミバケットタイプのSabelt製スポーツシートが採用された。ちなみに「スコルピオーネ」の価格は、充実した装備から374万円に設定されたが、発表後すぐに完売する人気を集めた。

こうしてアバルトのプントシリーズは「スーパースポーツ」と「スコルピオーネ」により極みに達する。しかし、ベースとなるフィアット プントの生産終了が決定されたことに伴い、2014年をもってそのヒストリーにピリオドが打たれた。


実用性の高いアバルトとして今でも人気の高いプント。その最後を締め括ったスーパースポーツとスコルピオーネは、今なお色あせない存在感を放っている。

2012 ABARTH PUNTO SUPER SPORT

全長:4080mm
全幅:1720mm
全高:1490mm
ホイールベース:2510mm
車両重量:1260kg
エンジン形式:水冷直4 DOHC16バルブ+ターボ
総排気量:1368cc
最高出力:180ps/5750rpm
変速機:6段+後進1段
最高速度:216km/ h
タイヤ:215/45R17