首都高C2でアバルト595コンペティツィオーネと戯れる。

scorpionmagazine_0727


▲ABARTH 595 COMPETIZIONE VR360 Short Ver(39秒)

首都高速中央環状線。葛西から荒川沿いに北上するこの道は、特別高低差の大きい路線だ。湾岸線の葛西から荒川沿いに北上する区間は、両側が河川の堤防となっている上、かなり高い場所に道路がある区間。一方、江北ジャンクションで都内方向へクルマを進めると、まるで矢のごとく地中に刺さりこむように、一気にものすごい高低差を潜り、山手トンネルでくぐって大井に至ると再び湾岸線に。

思えば江戸をぐるりと縁取るようなルートは、日常で一般ドライバーにヒルクライムとダウンヒルを強いるのだから、なんともエンスーな路線だ。

山手トンネルは、地上区間は遮るもののない高みからTOKYOを横目に見渡すように走り、カーブの多いトンネルルート。TOKYOに夜の帳が下りる頃、この道を走ると思わず無心になれるようだ。

もしもクルマを選べるのだとすれば、アバルト595コンペティツィオーネは、まさにこの道のための一台ではないだろうか。全長は短く、もてあますことがない手ごろさを、愛おしいと感じるにはそんなに時間はいらないだろうし、まるで点の中心に乗るかのようなドライビングポジション。

十二分にパワフル、目が覚めるように曲がるし、走る。躊躇せず、丁寧にブレーキングしてくいっくいっっとカーブを一つ、また一つとかわすたびに、まるで、日常の煩わしいを一つ一つ忘れさせてくれるかのようだ。

私たちは何に追われているのだろう。私たちは何を追いかけているのだろう。

小ぶりな外観には一見似つかわしくない野太い歌を山手トンネルに響かせ、地上区間では風と戯れ、小気味よく継ぎ目をタイヤで刻みながら江戸をぐるりと一回りする。昔の人は考えもしなかった、今どき流のリフレッシュだとは言えまいか。

日曜日の深夜、誰よりも遅くまで休日を満喫していると、いつの間にやら誰よりも早く月曜日の未明になっていた。

アバルトは退屈した日常にアクセントを与えてくれる。されば、日常の一コマをドラマのように華やかに、刺激的に切り取ることも造作のないことだ。



▲ABARTH 595 COMPETIZIONE VR360 Long Ver(56秒)

なお、iPhoneのYouTubeアプリから視聴すると自動でVR再生がスタートする。PCでも楽しめるが、iPhoneであればコンパクトながら、いや、コンパクトだからこそアバルトらしい刺激的な世界をバーチャルで体験できるのだ。

iPhoneを上下左右に向けると、あなたはさながらアバルトのコックピットに座っているかのような心地を実感できるだろう。夢か現か。あなたを夢中にさせるもの、そんな「懐中アバルト」をご堪能あれ。

「翻弄されるな、疾走せよ!!」

イタリア生まれのアバルトが江戸の街で織りなすセッション。TOKYOとはこうやってできているに違いない。

[ライター/中込健太郎 動画/黒川隆介]