2015年<スーパー耐久シリーズ>第3戦@富士スピードウェイ・レポート

00

7月4日(土)、5日(日)に静岡県、富士スピードウェイで<スーパー耐久シリーズ 2015>第3戦が行われました。8時間というシリーズ最長時間で争われるこのレースに、引き続きムゼオ チンクエチェント レーシングチーム(mCrt)は『ABARTH 695 ASSETTO CORSE(アバルト 695 アセットコルセ)』を駆り参戦。最激戦のST4クラスでの上位入賞を目指してレースに挑みました。ドライバーの大賀裕介がレポート致します。

夏の始まりに毎年行われる<富士スーパー耐久レース>は、今年から8時間という国内メジャーレースでは最長の時間でおこなわれることになりました。毎戦、マシンポテンシャルとドライバーの技量が上位進出には必要不可欠になるスーパー耐久ですが、このレースにはクルマの耐久性という要素まで求められます。

3予選前にはグリッドウォークが行われました。

そのため前戦終了後、耐久性の面で不安を残していた部分をチームはしっかりと対策し、ブレーキの熱対策として大型のブレーキシステムに変更してもらいました。また、1周のラップタイムだけでなく、タイヤライフと燃費に影響する車重を軽量化すべく、カーボンパーツも導入。

その他の細かな部分までクルマをいったんバラバラにしてから手を加えて組みなおしてもらうという、大幅なリフレッシュを施してもらい、マシンのポテンシャルをまた一段とレベルアップすることができました。ドライバーはレギュラーの井尻選手、蘇武選手、大賀に加えて、山田秀明選手がDドライバーとして登録され、こちらも長距離レースに備えることとなりました。

18時間レースに向けてテスト開始。雨の富士はアバルトにとって最大のチャンス!

金曜日からテスト走行を開始しましたが、天気は雨。
路面は池のようなヘビーウエットの中、マシン各部のチェックのためにコースインします。
週末を通して雨の天気予報ですが、FF車であるABARTHには大きなチャンス。
FR車は雨でのマシンコントロールに苦しんでいるようで、テスト走行の走り始めから好感触を得ることができました。

しかし、なんと1セッション目の終了間際にエンジントラブルが発生。
ここでエンジン載せ変えのためにこの日の走行を終了することとなり、メカニックさんが夜中までかけてエンジンを載せ変えてくださりました。また、わずかなテスト走行時間からデータを収集してくれた窪田監督により、足回りのセッティングも変更し、土曜日の予選に挑みました。

2エンジントラブルから懸命の作業を続けるメカニック。

迎えた予選日も天気がハッキリしない状態でしたが、Aドライバーの井尻選手が走り出す頃には路面はハーフウエットという難しい状態になっていました。
ドライ用のスリックタイヤをチョイスして予選アタックへ・・・。

少し濡れた路面に走り出しは苦労するも、徐々に路面が乾いてくるにつれてタイムアップ。
タイムは2分5秒628 。
乗せ変えてすぐのエンジンはまだ微妙な調整がかみ合っておらず、ストレートスピードが伸びなかったこともあり、タイムが伸びませんでした。

5雨の予選では20分の中でタイヤ交換を行いました。

続いてBドライバー予選が始まると雨がぽつぽつと降り出しました。
それでもコースはドライに近い状態のため、スリックタイヤでコースイン。
と、走り出してすぐにシフトアップ時にエンジンが数秒回らなくなるというトラブルが発生・・・。

予選時間内での修復は不可能と判断し、とにかく走り続けることにしましたが、雨足が強くなりピットイン。タイヤをレインタイヤに交換して再度コースインし、コンマ1秒でも速いタイムを目指しますが、タイムは 2分 11秒 660 。

雨と突然のトラブルに足元をすくわれてしまう悔しい結果となりました。
A, Bドライバー合算タイムからなる予選順位は21位。

Cドライバー蘇武選手の予選ではテスト走行ができなかったことを最大限カバーすべく、セッティングを変更して、決勝でのマシンバランスを確認。
Dドライバー山田選手もヘビーウエットの中、初のスーパー耐久予選をしっかりと走りきり、決勝では各ドライバーが調子を崩してもリカバリーしてもらえる体制を整えてくれました。

下位に沈んでしまった悔しさは大きいものでしたが、決勝は8時間。
順位を挽回するチャンスは多いと言い聞かせ気持ちを切り替えて決勝日を迎えました。

予選結果
A 井尻薫  2分 5秒 628 
B 大賀裕介 2分 11秒 660
AB合算予選結果 ST4 クラス 21位
C 蘇武喜和 2分 12秒 211
D 山田秀明 2分 19秒 134

6スタートを控え、8時間先のゴールを見据える『ABARTH 695 ASETTO CORSE』。

決勝日の天気もハッキリしませんでしたが、スタート前には雨は上がったものの路面はウエット状態。
タイヤ選択に迷いながらも、グリッドウォークの時間となりました。
今回のレースでは今までのピットウォークとは少し違い、スタート前のコース上にマシンを停めた状態でコースを開放し、お客様に楽しんでもらう時間が設けられました。
ピットウォークよりもスタート直前と言うことで、より緊張感のある雰囲気を楽しんでいただけたと思います。

12グリッドウォークでもABARTHはとても人気です!

前戦 SUGO ではスーパー耐久オフィシャルTVの中で“最もカワイイ車”に選ばれたABARTHは、たくさんのお客様と写真を撮ってもらい、チーム皆が応援に答えるべく頑張らないと!と気合が入りました。

いよいよ決勝。
また降りだした雨と視界不良のために数周のセーフティーカー先導のもと、8時間のレースがスタート。
スタート担当の蘇武選手はレインタイヤを装着し、前夜のチームの作業のおかげでトラブル解消されたマシンでしっかりと順位をアップしていきます。

4グリッドでの記念撮影。チーム全員が健闘を誓います。

我がチームはピットからリアルタイムで走行車載映像を見ることができ、蘇武選手の雨の走りを皆で見守りますが、コースオフギリギリまで攻めてどんどん追い抜いていく姿にピットは盛り上がりました。
雨が上がり、路面が急激に乾いてきたことで、早めのピットインを決断。

7不安定な天気と路面の中をコースアウトギリギリまで攻める走り。

私がステアリングを握り、ドライ用スリックタイヤを装着してコースインします。
レコードラインと言われるセオリーの走行ラインは乾いているものの、少しそこを外すと濡れて足元をすくわれてしまう…とても難しい状況で、しっかりとバトンタッチすることに重点を置いて走ります。
スーパー耐久は6つの異なるクラスが混走するため、この濡れた路面を走らざるを得ない場面も多く、本当に難しい状況でした。

それでも順調に走っていると、なんと昨日予選で発生した、シフトアップ時のトラブルがまたしても発生。一気にラップタイムが3秒も落ちてしまい、緊急ピットインしてマシンを修復し、井尻選手へ交代しました。瞬時の判断と迅速な修復作業のおかげで、大きなロス無く、この時点で14位を走行しながら、井尻選手の追い上げが始まりました

8イレギュラーの連続にも冷静迅速なピット作業。

バタバタレースの前半が過ぎ、ようやくレースも落ち着いてきたかな、、と思った矢先、またしても雨が降り出し、ここでも早めのピットインを選択して、レインタイヤへの交換と蘇武選手へバトンタッチ。
更に霧による視界不良でセーフティーカーが導入されるなど、まだまだ荒れたレース展開。

その後、再度上がった雨でまたしてもピットインし、スリックタイヤで私に交代し、ここでも他車のクラッシュとオイル漏れによりセーフティーカー導入。8時間レースとはこれほどに様々なことが起こるのか、、とイレギュラーの連続に驚くも、集中して2時間の連続走行を終え、最後のピットストップへ。

井尻選手に交代して最後の2時間を託します。
タイヤを4本交換し、ベストな状態での追い上げを開始した井尻選手はどんどんタイムアップし、一時同クラス内でのトップタイムをマークするなど、アバルトのポテンシャルを最大限に発揮してくれました。

11モニターで走りを見つめるチームメンバー

順位も13位から10位までポジションアップし、ポイント獲得も見えてきました。
ところがレースの神様はまだ微笑んでくれず、ゴールまで残り僅かのところで、コントロールを失った他クラスのマシンに追突されてしまいます。

マシンアライメントが大きく狂ってしまったマシンをなんとかゴールまで運ぼうと必死で走る井尻選手ですが、更なるアクシデントは続き、ガス欠症状が発生。
順位を12位まで落とし、8時間のゴールを迎えました。

接触の影響でまっすぐ走ることもままならないマシンをゴール直後のストレート上に停止させた井尻選手は、懸命の走りから脱水症状を起こしてしまい、マシンもチームもドライバーも、本当にそれぞれの力を出し切ったレースでした。

結果としてポイント獲得をできなかったことに落胆も大きく、また応援いただいた皆様に良い報告ができないことは残念です・・・。

9ゴール後のマシンは傷だらけの慢心創意の状態でした。

しかし、金曜日からのトラブルに続き、決勝でのイレギュラーの連続にもしっかり対応してくれたメカニックと、少ない情報から決勝までに良いマシンに仕上げてくれた窪田監督、ドライバー4名もそれぞれの役割を果たすべく懸命に走った先に8時間を完走できたことへの達成感はこのチームの得た大きなものであると思います。

このチームワークを武器に、更に改良を加えたマシンをしっかりとテストして後半戦へ挑みます。
イタリア車であるアバルトを日本のメジャーレースの表彰台へ!という目標は揺らぎません。

今後もムゼオ チンクエチェント レーシングチームと『ABARTH 695 ASETTO CORSE』への応援をよろしくお願い致します。

10後半戦も上位進出を目指して走り続けます!

INFORMATION

★DUAL EMOTION FAIR開催!
7月18日(土)〜20日(月)、ABARTH正規ディーラーにてフェアを開催。来場アンケートにご回答いただいた方にオリジナルシリコンメモパッドをプレゼント。
>> https://www.abarth.jp/fair/index.php

★安心と刺激に満ちたカーライフを。
2015年7月1日以降にABARTH各車を成約かつ登録した場合、メンテナンスプログラム『Easy CARE』を0円でご提供!
>> https://www.abarth.jp/offer/

★『ABARTH 695 biposto 』がお目見え
>> https://www.abarth.jp/695biposto/

嶋田智之さんによる『ABARTH 695 biposto』レポートはこちら
>> https://www.abarth.jp/scorpion/driving_fun_school/4862

★ABARTH DRIVING ACADEMY@鈴鹿サーキット
8/19に鈴鹿サーキットにて開催されるABARTH専用スポーツ&セーフティドライビングレッスン。
次回開催の応募を受付中。
受付期間:6/10〜7/22
>> https://www.abarth.jp/drivingprogram/drivingacademy/

Text:ムゼオ チンクエチェント レーシングチーム
ドライバー:大賀裕介