アバルトで走りたいドライブルート【信貴生駒(しぎいこま)スカイライン(奈良-大阪)】

日常から気軽にエスケープできる本格ワインディング

関西地方のワインディングロードとして、クルマ好きからよく名前が挙がる道路のひとつが「信貴生駒スカイライン」だ。先にご紹介した芦有ドライブウェイが神戸のメジャーコースだとすれば、大阪と奈良を隔てる山々の稜線を走る信貴生駒スカイラインは、地域のクルマ好き御用達のワインディングロードといったところ。大都市から近い好立地に位置するにもかかわらず、ひとたび足を踏み入れれば、そこはどこでもドアの向こう側の世界。クルマ好きにとって日常からエスケープできる聖地だ。タイトコーナーを含む、さまざまなカーブが連続することからアバルトのようなホットハッチには特におすすめ。


生駒山と信貴山の稜線を縦走する信貴生駒スカイライン。奈良市内から約25-30分、大阪市内からは高速道路で約30分というアクセスの良さが魅力。

生駒山と信貴山を縦走する信貴生駒スカイラインの全長は約20km。北側・生駒登山口(聖天口料金所)から南側・信貴山料金所までの通行料金は片道1,360円(2024年7月現在)。それなりにお値段はするが、自然に囲まれた山岳路にショートトリップできることを考えれば、コスパは悪くないだろう。他の道に迂回も可能な有料道路とあって、生活道路として使われるようなルートではないため交通量は少なく、気持ちよくドライブできる。


生い茂る緑の中をドライブ。ゆったり景色を楽しみながら走っても気持ちいい(※道路への立ち入りは禁止です。安全な場所から特別に許可を得て撮影しています)。

そしてなにより信貴生駒スカイラインの魅力は、運転が楽しいこと。路面はよく整備されており、車体や足回りに負担をかけてしまいそうなポットホールや凸凹は皆無なので、愛車を傷めてしまう心配なく安心してドライブを楽しめるのだ。また最高地点が海抜600mと高く、勾配もそれなりにあることから、愛車の秘めたパワー感を堪能しながらドライブを楽しめるのもいい。今回は「500e」で訪れたが、EVならではの湧き出るトルクでフラットな路面を蹴り出すさまは独特で、ターボのブーストが常に効いているような感覚だ。

カーブの大きさは、低速から中速コーナーが中心。マニュアルトランスミッション車なら、2速から4速を頻繁に使い分けて走るようなステージだ。「500e」はトランスミッションを持たないが、その代わり「500e」ではドライブモードを3つから選ぶことができる。最高出力を発揮し、回生ブレーキの効きが強まる「スコーピオンストリート」、最高出力を抑えて電費を高めつつ、回生ブレーキの効きが強まる「ツーリズモ」、最高出力を発揮しつつ回生ブレーキの効きを抑えた「スコーピオントラック」の3種類だ。

まずは「スコーピオンストリート」で走らせたところ、カーブの曲率のきついタイトコーナーでも、その手前でアクセルオフするだけで十分な減速感が得られ、メリハリのある走りを楽しめた。回生ブレーキの生み出す制動力はフットブレーキに匹敵するレベル。フットブレーキではブレーキの踏み加減で制動力を調整するところを、回生ブレーキではアクセルの戻し加減で制動力をコントロールでき、これまでのブレーキングとはまた違った運転感覚を楽しめる。下りながら減速するような場面でも、回生ブレーキだけで十分な減速感が得られ、安定感が失われないことも確認できた。

ちなみにフットブレーキで制動力を調整したいなら、ドライブモードの「スコーピオントラック」を選べば回生ブレーキが弱まり、従来通りフットブレーキにより減速力の調整を行える。いずれのモードも試したが、どちらがいいかは人それぞれ。アクセルとブレーキのふたつのペダルを使い分けることになる「スコーピオントラック」も、体に馴染んだドライビング感覚で、これはこれで楽しい。また「ツーリズモ」では、勾配のある路面でも十分なトルク感を味わうことができ、多くの場面ではこれで十分。けっして単なる省電費モードではなく、“おとなしくしているサソリ”状態といった感じで、奥に何かを秘めた雰囲気は漂う。

というわけで、どのモードがいいかは甲乙つけ難く、気分によって変えるのもいいだろう。例えばスポーツドライビングを楽しみたいけど疲れたからラクしたい、という時は「スコーピオンストリート」か「ツーリズモ」を選べば、ワンペダルでスポーティなドライビングを楽しめる。このように場面に応じて使い分けられるところがこのシステムの面白さだ。

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