アバルトで走りたいドライブルート【瀬戸内しまなみ海道をめぐるクルマ旅(広島県-愛媛県)】

ゆったり楽しみたい瀬戸内島めぐりドライブ

アバルトは、アクセルペダルを踏んでギアを変え、ステアリングを切って走るのが楽しい“小さなスポーツカー”。けれど、同時に“小さなグランドツアラー”でもあります。たまには、海沿いの道をゆったりとツーリングしてみるのはいかが? 今回は広島県の尾道市と愛媛県の今治市をつなぐ高速道路、西瀬戸自動車道をご紹介。この道は、“しまなみ海道”の愛称で親しまれ、周辺には魅力的なスポットが多数点在しています。

しまなみ海道は、本州と四国を行き来する3つの連絡道路の中で、もっとも西側に位置するルート。起点は尾道市の尾道福山自動車道の西瀬戸尾道インターチェンジ、終点は今治市の今治インターチェンジ。瀬戸内の芸予諸島に属する6つの島を経由するおよそ60kmの有料自動車専用道路です。自動車道路に沿うように日本初の海峡横断が可能な自転車/歩行者/原付用道路“しまなみ海道サイクリングロード”が併設されていることでも広く知られています。

この道が素晴らしいのは、島と島を繋ぐ7つの橋を渡っているときの爽快感。ドライバーにとっては運転中には絶景をゆっくり鑑賞できないのがつらいところですが、目先に広がる、瀬戸内の海と空と島。気持ちが一瞬にして開放されます。


高速道路からひとたび降りると、島の風景やその土地の名産物に触れられる。ゆったりとした気分でドライブを楽しみたい。

途中で高速道路を降りると、それぞれの島では彩り豊かな風情や絶景、数々のお楽しみスポットに立ち寄ることができます。本州側から向島(むかいしま)、因島(いんのしま)、生口島(いくちじま)、大三島(おおみしま)、伯方島(はかたじま)、大島(おおしま)の順で、それぞれにしまなみ海道のインターチェンジがあり、1日ですべてを楽しみ尽くすのは時間が不可能なほど。その中からいくつかの見どころをピックアップしてご紹介します。

レモンの一大産地、生口島

尾道市に属する生口島は、尾道から数えて3つめの島。周囲33.6km、人口は9400人ほど。江戸時代は製塩が盛んだったようですが、現在は温暖な気候を生かした柑橘類の栽培で知られています。とりわけ有名なのはレモン。品質・味・香りで定評のある国産レモンですが、そのうちの5割以上が広島産。生口島だけで国産レモンの3割近くを占めているそう。そのため島内では様々なところでレモンを購入でき、レモンを使った調味料やケーキ、ジェラートなどの土産物も人気。また生口島はアートの島でもあり、現代彫刻家の屋外作品がいたるところに設置されている“島ごと美術館”というプロジェクトが展開されています。


生口島をドライブしていると、所どころにレモンやみかん畑が目に飛び込んでくる。その生産量は国内トップレベル。また島にはアートが点在。島ごと美術館の詳細はコチラ

登録有形文化財やアートに触れられる人気スポット、耕三寺博物館

大阪の実業家・耕三寺耕三氏が慈母への感謝の想いを込めて建立した、耕三寺博物館。広い敷地内には様々な堂塔が並び、そのうちの15棟が国の登録有形文化財の指定を受けています。華やかにして荘厳な雰囲気から、“西の日光”とも呼ばれています。


耕三寺博物館内の孝養門。境内には季節により桜や蓮、つつじなどが咲き、自然に囲まれた環境で孝養の心に触れることができる。

博物館内には、耕三寺氏が蒐集したコレクションが収蔵されるミュージアムもあります。収蔵品の中の16点が国の重要文化財に指定されています。さらに敷地内には、エーゲ海の島を思わせる白い大理石の庭園「未来心の丘」も。敷地全体が公開され、知的好奇心を刺激する人気スポットとして親しまれています。


未来心の丘では、様々なモニュメントが目を楽しませてくれる。大理石はイタリア・カッラーラで採掘されたものを使用している。

耕三寺博物館
住所:広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田553-2
webサイト:http://www.kousanji.or.jp

愛媛県最北に位置する大三島

今治市に属する大三島は、周囲88.8km、人口6000人ほどの島。愛媛県の島として最も大きく、また温暖にして雨も少なく、道もよく整備されていることから、サイクリストの聖地とされています。日本神話で日本の山をつかさどる神、大山積神(おおやまづみのかみ)をまつる全国10000余りの山祇神社と三島神社の総本社、大山祇神社があることから、古くから“神の島”として信仰されてきました。


大三島には、外周約40kmを取り囲むように道路が整備されている。

“島ドライブ”を実感させてくれるヒャッホー坂

大三島はサイクリストにとって道が整備された走りやすいところですが、それはドライバーにとっても同じこと。一部センターラインのない区間があり、島の人たちの生活道路でもあるので注意は必要ですが、島をグルリと取り囲むように大三島環状線が通っていて、適度なアップ&ダウンと海岸線に合わせて右へ左へと気持ちよく続くカーブが、ドライブを楽しませてくれます。島の最南端あたりには“ヒャッホー坂”と呼ばれるスポットがあり、島を時計回りに走るとウネウネしながら下っていく坂の奥に大きく海が広がり、まさに「ひゃっほー!」と叫びたくなるような気分になります。道沿いには海をバックに愛車の写真を撮れる場所もたくさんあります。


大三島環状線の南西に位置するヒャッホー坂。

幻のグルメも楽しめる道の駅 多々羅しまなみ公園

大三島インターチェンジを降りてほど近い道の駅、多々羅しまなみ公園。多々羅大橋の麓に位置するこのドライブインは、普通車300台分の駐車スペースがあり、水際に遊歩道も備わっている、ドライブ中のレストタイムに最適な場所。幻の高級魚といわれるマハタを味わえる生け簀つきのレストラン、フードコートなどで空腹を満たすこともでき、しまなみ海道沿いの特産品がズラリと並ぶ土産物スペース、季節ごとの地の農作物や水産物を扱う屋台市などもあります。休息施設として、かなりの充実ぶり。


道の駅 多々羅しまなみ公園。海沿いに面し、近くに多々良展望台も。


散策路も完備。大三島と生口島を結ぶ多々羅大橋を眺められる。

道の駅 多々羅しまなみ公園
愛媛県今治市上浦町井口9180-2
webサイト:http://www.imabari-shimanami.jp/tatara/

村上海賊ゆかりの島としても知られる大島

しまなみ海道の最も四国寄りに位置し、今治市に属する大島は、周囲49.9km、6000人ほどが住む島。今治中心部へのアクセスできることから、今治への通勤圏にもなっています。歴史的には中世の時代に芸予諸島の制海権を握り、日本の歴史に名を残す村上水軍に強い縁のある島で、遺跡や言い伝えも数多く残され、それにちなんだ水軍レースが行われることでも知られています。また小説『村上海賊の娘』の舞台となった能島城跡を望める展望公園があったり、村上水軍について学べる博物館・村上海賊ミュージアムがあったり、水軍が強みとした500年前と同じこの付近の潮流の激しさを船でクルージング体験させてくれるところもあったりと、歴史好きには興味深い場所です。

絶景が望める亀老山展望公園

島の南端近くにある亀老山(きろうさん)展望公園は、標高307.9mの高さから瀬戸内の島々をパノラマで見渡せる絶景スポット。洋上の難所である来島海峡を眼下にしつつ、島から島をつなぐ世界初の3連吊り橋、来島海峡大橋の美しさを堪能するには、これ以上の場所はありません。


目下に来島海峡大橋を俯瞰できる亀老山展望公園。四国八十八景にも選定されている。

ここから眺める瀬戸内海に沈む夕陽の美しさも圧巻で、指定された日にはライトアップされた大橋を望めるなど、時間を問わず美しい景観が楽しめます。展望台は隈研吾氏による設計で、散歩しているだけで楽しい気持ちになってきます。


隈研吾氏の設計による展望台。

亀老山展望公園
今治市吉海町南浦487-4
webサイト:https://www.city.imabari.ehime.jp/kanko/spot/?a=182

絶景を楽しめる来島海峡サービスエリア

来島海峡大橋を四国側に渡りきってすぐのところにある、来島海峡サービスエリア。しまなみ海道唯一の上下線集約型のサービスエリアで、ここからは四国側から望む来島海峡や瀬戸内の大小様々な島々、それに3連吊り橋を楽しむことができます。海を望める開放的なフードコートあり、展望室や展望テラスあり、瀬戸内の海と島を背景にできる記念撮影スポットあり。絶景サービスエリアといっていいかもしれません。売店ではしまなみ海道沿い界隈の土産物も手に入れられます。


来島海峡サービスエリア(左)。展望スペースから来島海峡大橋を望むことができる。

アバルト松山に立ち寄りました

しまなみ海道を渡りきると愛媛県。近くのアバルト松山にお邪魔してきました。スタッフさんが和気藹々とした、明るく陽気なショールームです。店長の鎌土沙織さんは、アバルトに乗って離島でパンの移動販売をされている宮畑さん(関連記事)が、「買うならこの方から買いたい」とおっしゃった方です。


アバルト松山のスタッフの方々。気さくに色々なことを教えてくれ、今回の取材でも周辺のおすすめドライブスポットをアドバイスしてくれました。前列左から2番目の方が鎌土店長。

「都会と較べると、こちらではアバルトはまだまだ少ないな、と感じています。愛媛県はひとり1台の土地柄で、人数分のクルマが必要な家庭も多いので、そうしたなかでアバルトを選ばれるのは、ブランドに思い入れをお持ちの方や、心を奪われた方が多いように感じています。クルマ好きの方はもちろんアバルトをご存知の方が多く、一定の人気をいただいていますし、ファンの方はとっても熱心なんです。なので、試乗に来てくださった方には、なるべくアバルトの楽しさを体験していただけるコースを選んでご案内するようにしています。今後はオーナーの方やファンの方、興味を持たれている方に楽しんでいただけるようなイベントも企画していきたいと思っています」と鎌土店長。近くにお越しの際はお気軽にお立ち寄りください!

アバルト松山
松山市久米窪田町846-4
電話:089-970-1020
webサイト:https://matsuyama.fiat-abarth-dealer.jp/fab/
営業時間:9:00 – 18:00 定休日:毎週火曜日、第1・第2・第3水曜日

文 嶋田智之