超人的なマシンコントロール!驚異のスピード!MOTO GPは凄い!

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矢でも飛んできたのか?とビックリしたのは本当です。その世界に詳しい知人から「観るのは初めて? だったら第1コーナーと第2コーナーの真ん中あたりを内側から観るといいよ。そしたらストレートからのコーナー侵入、コーナリング、コーナーの脱出から次のストレートへの加速、とフェンス越しにまとめて観られるから。ちょっとモノの見方が変わるよ」と教えてもらい、フェンス沿いを第1コーナー方面に向けて歩いていたときのことでした。視界の隅に、何かとんでもなく速いモノがヒュッ!と飛び込んできたのです。見慣れたレーシングカーとは比較にならないほど小さなマシンが、第1コーナーに飛び込んでいくときの勢い。それは弓から放たれたばかりの矢を反射的に連想させるほど、鋭く素速いものだったのでした。──見方が変わる いや、とんでもない。そんな生易しいものではなく、それはもうちょっとした衝撃だったのです。

03 Qatar test MotoGP 14 a 16 de marzo de 2015. MotoGP; motogp; mgp; MGP

10月9日の金曜日。僕は栃木県にあるサーキット、ツインリンクもてぎのパドックにいたのでした。通称“MOTO GP”こと、<MOTO GP世界選手権>の第15戦日本グランプリが開催され、縁あってそのフリープラクティスを観戦していたのです。MOTO GPは、クルマでいうならばF1グランプリに相当する、モーターサイクルのレースの世界最高峰。160kg程度の車体に1000ccの240ps以上のエンジンを積んだマシンで戦いが繰り広げられます。パワーウエイトレシオではF1マシンをも楽々凌いでいて、静止状態からのスタートダッシュはF1マシンよりも速いし、最高速度も350km/h近くまで出てしまうというモンスターです。サーキットのラップタイムはF1マシンにあっさりと負けてしまいますが、それはF1マシンのようにウイングなどの空力パーツで車体を路面に押さえつけることができず、たった2本のタイヤで走っているため、コーナリングスピードで負けてしまうから。・・・そう、当たり前といえば当たり前なのですが、MOTO GPのマシンは、その凄まじいばかりの速さをたった2本のタイヤで支えているのです。2本の乗り物も走らせたりはするけど、そっちはあくまでものんびりで、4本のタイヤでしか攻めて走るようなことができない身であり、それなりの速度域をリアルに知る身からしてみると、これはもう想像するだけで脂汗が出てくるくらい恐ろしい世界です。

なのに、このMOTO GPのライダー達って・・・どう考えても普通じゃありません。1ミスあって転倒したらどこまで飛んでどこまで転がっていくか判らないほどのスピードでコーナーに侵入し、「あっ! やばい!」と思える勢いでマシンを傾かせ、膝だけじゃなく肘まで路面に擦りつけて、フツーに立って観ている僕達に燃料タンクの真上側を見せつけるほとんど転んでるような姿勢でコーナーをクリアして、脱出したかと思ったら“素速く”とか“猛然と”とか、そんな言葉では全然たりないほどの異次元の加速で、次のコーナーへと消えていく。コースはどう見てもストレート区間なのに、そこは次のコーナーへの理想的なラインをとるためのアプローチ区間、つまり長いコーナーであり、直線なのにマシンが直立してる時間なんてほとんどありません。そんなふうにマシンが傾いたままの姿勢で、瞬間移動のように加速していっているというのに、よく視ているとフロントタイヤは少し持ち上がって、リアタイヤは細かく震えるような動きをして、それでもライダー達はスロットル全開! なのです。しかもその状態で、後ろを振り返って後続車をチェックしていたりします。

いかに世界のトップを走るライダー達の集まりだといっても、ちょっと想像を絶するほどの物凄さ。この人達は間違いなく超人です!僕は彼らのその超人技と、スピード“感”はF1よりも遙かに強烈なその刺激に完全にやられ、その日、自宅に戻ってからMOTO GPの全レースを視聴できる有料チャンネルに申し込みをしてしまったほどでした。

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MOTO GPの先頭集団を走る、サソリのエンブレム。

さて、自動車ライターである僕がなぜMOTO GPを観に行ったのかといえば、ABARTHのエンブレムを貼ったマシンが走っているから。それも今シーズン、激闘の末にランキングのトップと2位でチャンピオン争いを展開しながら日本の地を踏んだ2台が走っている姿を、この目で観てみたかったからです。

ランキングのトップは、これまでに9回のワールドチャンピオンを獲得してきた大ベテランにしてイタリアの国民的英雄、ヴァレンティーノ・ロッシ。2位は20代でありながら4回ワールドチャンピオンを獲得した、スペインのホルヘ・ロレンソ。ともにヤマハのワークスチームである『モビスター・ヤマハMOTO GP』のライダーです。ABARTHはこのチームをサポートする立場でMOTO GPに参戦していて、ふたりのマシンのフロントカウルのゼッケンの両サイドに、あのサソリのエンブレムが貼られている、というわけです。ちなみに日本には来ていませんでしたが、アバルトはヤマハのMOTO GPのチームカラーに彩った『695 BIPOSTO(ビポスト)』を3台のみ製作し、BIPOSTOがチームのオフィシャルカーとして使われています。ロッシもロレンソも、BIPOSTOを気に入ってクルマ移動が可能なときにはそれを楽しそうに乗っているのだそうです。

──ABARTHがなぜモーターサイクルに?と疑問に感じた方もおられるでしょうが、答えはとてもシンプルなところにありそうです。イメージが見事に繋がるから、です。なぜならば、まず創設者のカルロ・アバルトが、自動車に関わる遙か以前、若かりし頃にはモーターサイクルのレーサーだったから。そしてMOTO GPの刺激的以外のなにものでもないスピード感も、ABARTHが持つ世界観とすんなりリンクします。

そういえば、ABARTHが2007年に独立したブランドとして正式に復活を遂げた翌年、2008年に、モーターサイクルに関するニュースがひとつありました。ヤマハとのコラボレーションで作り上げた“FZ1 Abarth Asetto Corse”というコンセプト・バイクを発表したのです。カルロ・アバルトの生誕100周年を記念して、カルロ・アバルトの人生そのものだった“最高の性能の追求”のため、カルロ自身がこだわり続けた“最新テクノロジーの導入”と“実験”“挑戦”を盛り込んで、150psのエンジンを搭載する現地版ヤマハFZ1をベースにして開発したものでした。あくまでもコンセプトで終わってしまいましたが、ネイキッドのモーターサイクルとしては最も美しい姿をしているように感じられて、市販されたら欲しいとすら感じたことをよく覚えています。

ABARTHとモーターサイクルはもちろん、ヤマハとの関係も昨日今日に生まれたものではなかった、ということですね。

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サソリ印のヤマハが、2015年のMOTO GPチャンピオン。

当の日本グランプリ、残念ながら僕は決勝レースをナマで観ることが叶いませんでした。別の出張先のホテルで、オンデマンド観戦をするのが精一杯でした。結果は壮絶なバトルの末、ヴァレンティーノ・ロッシが2位、ホルヘ・ロレンソが3位。小さなiPadの画面からもたっぷりと伝わってくる、印象的な速さを見せてくれました。

その翌週のオーストラリア・グランプリ、そのまた翌週のマレーシア・グランプリを終え、画面のこっち側で思わず声をあげてしまうような鮮烈な抜き合い刺し合いもありましたし、残念なアクシデントもありましたが、最終戦を前にしてランキングは以前、トップがロッシ、2位がロレンソと変わっておらず、しかもポイントスタンディングの上ではそのふたり以外の誰にもチャンピオンを獲得できる可能性はありません。つまり、コンストラクターズチャンピオンも、ライダーズチャンピオンも、サソリ印をつけたヤマハが獲得することが決まっている、というわけです。

この駄文が掲載される頃には、弾けるようなチーム内バトルの結果が出ていることでしょう。僕はレースの中継を見逃すつもりはありません。何だかやたらとエキサイティングな展開になることが解っているからです。この血がたぎるような興奮も・・・考えてみるととってもアバルトっぽいのですよね。もしかしたら、サソリの毒ってこういう感じなのかも知れません・・・。

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INFORMATION

★ABARTH + YAMAHA
二輪ロードレースの最高峰として位置づけられているMoto GP(モトGP)に参戦しているヤマハチームのオフィシャルパートナー。
>> https://www.abarth.jp/motogp/

★SCORPION MONTH 2015 限定
サソリを手にするための、特別なオファー。期間限定で購入サポート!11月23日(月)まで!
>> https://www.abarth.jp/offer/

★ABARTH SCORPION MONTH FAIR
蠍座の月ならではの新たな限定車登場!11月14日(土)、15日(日)のみの特別フェア開催!
>> https://www.abarth.jp/sm15/

★ADRENALINE RUSH OFFER vol.3
このチャンスが、欲望をかき立てる。対象は、ABARTH全モデル。
>> https://www.abarth.jp/offer/

★『ABARTH 695 BIPOSTO』の詳細はこちらから
>> https://www.abarth.jp/695biposto/

嶋田智之さんによる『ABARTH 695 BIPOSTO』レポートはこちらから
>> https://www.abarth.jp/scorpion/driving_fun_school/4862

★ <ABARTH SAFETY DRIVING CAMP>
ADAの要素を取り入れながら、英国発祥のミニ・ジムカーナ『オートテスト』の本格的な導入を目指して、新プログラムがスタート。
>> https://www.abarth.jp/safetydrivingcamp/

Text:嶋田智之