第2回SCORPIONNAオンライントークショー「Scorpionnaに贈るドライビングテクニック」編が開催!

アバルトLOVEな女性たちを対象に2019年にスタートしたドライビングレッスンScorpionna Driveが、さらにパワーアップ。女性向けのドライビングイベントという枠を超え、アバルト好きが集い、楽しめるコミュニティへと裾野を拡大中。その一環として、オンライントークショーが展開。6月に封切りした第1回目に続き、2020年8月30日(日)、第2回目となるScorpionnaオンライントークショー「Scorpionnaに贈るドライビングテクニック」編が開催された。

クルマを愛する3人が本音を赤裸々に告白

今回はゲストとして、Scorpionna DriveやAbarth Driving Academyの講師としてお馴染みのプロ・ドリフトドライバー、りんごちゃんこと石川紗織さん、レーシングドライバーの山野哲也選手をお招きし、カーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子さんの司会により行われた。


司会はカーライフ・ジャーナリストのまるも亜希子さん。

まずは、Scorpionnaオンライントークショー初登場となる山野哲也選手が目下の挑戦について話してくれた。山野選手は2017年より124 spiderで全日本ジムカーナ選手権に参戦しており、その挑戦は今年で4年目。2020シーズンはあいにく新型コロナウイルスの影響で前半の4戦が取りやめとなる異例の事態となったが、開幕戦となる第5戦が、8月21-23日に北海道のオートスポーツランドスナガワ ジムカーナコースで開催された。その開幕戦の模様を山野選手が振り返る。

山野哲也選手の新たな挑戦始まる

「開幕戦は大変なレースでしたね。新たなシーズンの始まりとなりますが、毎年続々とライバルが現れますので、我々も色々な対策を盛り込んで挑むことになります。たとえばクルマのセッティングですね。セッティングというのは自分の好みもありますが、それは最後の塩胡椒の味付けみたいなもので、それ以上に重要なのはクルマがもっとも性能を発揮しやすい状態に持っていくことです。未知の領域に対して、こうしたらどうなるかと色々なセッティングを試していくなかで、速くなることもあれば、遅くなってしまうこともあります。そこを全体的に平均化しながらレベルを上げていき、様々な条件下で速く走れるように整えていく。金曜日と土曜日の走行をもとに、決勝の日曜日に合わせ込んでいくという作業を毎回やっています」と山野選手。


SUPER GTで3年連続チャンピオン、全日本ジムカーナ選手権で通算19回チャンピオンなど、数々の日本記録を保持しているレーシングドライバーの山野哲也選手。その全日本ジムカーナでは124 spiderで3年連続チャンピオンを獲得している。

チャンピオンゆえ常に追われる立場にあり、プレッシャーとも戦っている山野選手。名ドライバーとはいえ油断はまったくなく、一戦一戦を集中して戦っているようだ。トークショーでは、大きな金字塔となった100勝目を成し遂げた時の映像が流れた。

<映像 山野選手通算100勝目達成の瞬間>

2018年5月にエビスサーキットで前人未到の全日本ジムカーナ通算100勝目をあげた山野選手。勝率は50%以上。「ヒート1では負けていて(2位)、ヒート2で逆転優勝できた。きついプレッシャーはあった」と振り返る。通算100勝を達成したことで、2018年度JAF特別賞。茨城県特別功労賞を受賞した。なお2020年8月末時点で、優勝回数は114勝と記録を更新中。

山野選手とりんごさん、124 spiderと595シリーズを語る

124 spiderで数多くの勝利を掴んでいる山野選手。とくに124 spiderオーナーにとっては、クルマのどういった点が競技で強みとなっているのか気になるところだろう。オーナーを代弁してまるもさんが124 spiderの優れた性能について山野選手に質問した。

「124 spiderの強みは、ひとことでいうと自由自在なところですね。自分の曲がりたいところで曲がれる、止まりたいところで止まれる。立ち上がりたいところで立ち上がることができる。そのうえで幅があるんですよ。グリップが高いのにコントロールがしやすい。特にジムカーナって難しいレイアウトが多い。えっ、ここで曲げるの?というようなコーナーがあるんです。そういう難しいところでも吸い付いてスーッと曲がっていってくれるんですよね」と、124 spiderのフットワークの良さを話してくれた。


124 spiderのジムカーナ競技における強みについて話す山野選手。コントロール性の高さが光っているとのこと。

次は「595」について。コメントを求められたりんごさんがそのキャラクターについてコメントしてくれた。
「595は、ドライバーに挑戦してくるような、ちょっと暴れん坊な一面があるんですよね。最初はかわいいってスタイリングから入る人が多いと思うんですけど、乗ってみると攻撃的なフィーリングを味わわせてくれ、普段、交差点を曲がるだけでもスポーツドライビングをしている気分にさせてくれるクルマ。わたしの中では、124 spiderはスポーティなフォルムで、中身は優しい男子という感じ。対する595は、ボーイッシュで勝気な女の子って感じですね」と印象を述べた。


595は、見た目のかわいさに対して、中身はヤンチャと話すりんごさん。そのギャップに魅力を感じている方も多いのでは?

アバルトの性能を生かすために普段からできる練習法

続いて、話題はドライビングへ。Scorpionna Driveの講師を務めるりんごさんが、参加者から寄せられることが多い質問を加味し、普段からできる練習法についてアドバイスしてくれた。

「運転が上手くなりたいみなさんにぜひ意識してやっていただきたいのは、街乗りの運転でハンドルを切ったり戻したりするとき。そのときの一連の動作を、クルマからの反応を感じ取るをことを意識しながら、ゆっくりやってみてほしいんです。たとえば、交差点を曲がるときも、サッと切ってサッーと戻すだけだとクルマやタイヤの状態を感じ取る感覚は磨かれません。カーブに入るとき、最初の切りはじめのところからやさしく操作してあげて、カーブの出口が見えたら、じわじわと戻す。手のひらでタイヤを押していくような感じですね。そうすると、クルマがスーッとなめらかにまっすぐ戻るんですよ。ポヨっとならずにね。そういう風に繊細な操作を繰り返すことによって、クルマとの一体感が格段に上がっていくと思います。これをいきなりサーキットでやろうと思っても速すぎてできないと思います。街乗りのスピードであれば余裕があると思うので、ゆっくりでいいのでクルマの反応を感じ取ってみてください。そうやってベーシックな運転技術を磨いていくのは大切ですね」


「クルマの反応を感じ取りながら、ゆっくり繊細に操作する。そうするとクルマからの訴えを感じることができる」とりんごさん。

山野選手 「リンゴちゃん。今いいこと言いましたね。“ポヨっ”ていうのが大事って。この“ポヨっ”ていうのが何かというと、クルマからドライバーに何かを訴えているメッセージなんですね。クルマというのはドライバーが操作して初めて動くものですが、動き始めたあとは、クルマが訴えていることに聞き耳を立てたほうがいいんです。その時のクルマの反応が「ポヨっ」なんですね。クルマが訴えかけていることを聞くことによって、クルマにやさしい運転ができる。街中の運転はそこがすごく大事です」

なお、現在りんごさんのオンラインドライビング・レッスンの動画が公開中。第5弾まで公開されているので興味のある方はぜひチェックを。
ブレーキ編1
ブレーキ編2
エンジン編
ドライビングポジション編
シフトチェンジ編1

視聴者からの質問に答えるQ&Aコーナー

続いては、視聴者のみなさんから寄せられた質問にゲストが答えるコーナー。まずは最初の質問はコチラ

Q. FF車で、ちょっとスピードが乗ったところからヘアピンコーナーに入るところで、どうしても駆動輪が空転してしまって、うまくパフォーマンスを発揮させることができません。どうすればいいですか?

山野選手 「コーナーに入る時、ブレーキをかけて、ステアリングを切り、アクセルを踏んだ時にフロントのイン側のタイヤが空転してしまう。だとすると、これを防ぐには、横Gを減らすのがいいですね。強い横Gをかけると車体が傾いてしまい、イン側のタイヤの接地性が弱まってしまいます。そこで横Gを弱めてあげると、フロントの両輪が接地するようになります。空転してしまうのはがんばりすぎだと思いますので、ロール角を減らして横Gを減らす。もしくは速度を減らしてあげる。クルマの持っているパフォーマンスを最大に引き出すには、4つのタイヤを使って走ってあげることが重要なのでそこを意識してみてください」


タイヤの空転は強い横Gを受けて、ロールが大きくなった時に発生すると分析する山野選手。「これを防ぐには横Gを防ぐドライビングを心がけるといい」とアドバイス。

続いての質問はコチラ

Q. 勝負メシを教えてください

りんごさん 「私あります。勝負メシと勝負香水があります。香水は競技の時は必ずこの香水つけるというのがあります。ただ、その香水をラリーの時につけていったら、助手席のコドライバーがクルマ酔いしてしまって……。私にとってはテンションが上がるのに、コドライバーは気持ち悪くなってしまったんです(笑)。勝負メシは、プッチンプリンですね」

山野選手 「勝負香水ではないんですけど、毎日違う香水をつけるのが好きですね。違う匂いを嗅ぐことによって毎日が変わることを期待してしまうんです。勝負メシについては、シンプルものが好きなので、レース時の昼食は丼モノ一点とか。幕ノ内とかだと口に運ぶものを選ばないといけない。そういうところに神経を使わずに、レースに集中したいんです。丼モノなら見ないでも食べられる。あとは生クリームですね。決勝の前日の晩には、生クリームがたっぷり入ったものを食べるのが好きですね」


勝負メシの話では、おふたりから意外な回答が飛び出した。

Q. ドライビングシューズとレーシングシューズはどのようなものを使っていますか?

山野選手 「ドライビングシューズとレーシングシューズは分けています。レーシングシューズはスパルコのものを使っていますね。ドライビングシューズはネグローニを使っています。ちなみにグローブもスパルコです」

りんごさん 「私はアルパインスターズをずっと使っています。グローブもシューズも。なかなか自分のサイズがなく、本国に取り寄せになってしまうのですが」

Q. クルマに乗っていて、楽しい瞬間はどんな時ですか?

山野選手 「一番楽しい瞬間は、運転しているクルマで、もっと遠くに行きたいって思ったとき。いいクルマ乗って、このクルマ好き!って思った時は、カーステレオもいらないですね。そのクルマから伝わってくる鼓動があるんです。その鼓動が気持ちよくて仕方ないんです」

まるもさん 「山野さんも変態ですね。最初からわかってましたけど(笑)」

りんごさん 「わたしは、競技車両に乗っている時もカートに乗っている時も楽しいですし、自分のドライビングレッスンで散水車に乗って散水をすることもあるんですけど、散水車に乗っている時も楽しいです。理由は自分でわかってるんです。散水車って、タンク内の水量によってロールの仕方が変わるんです。水量が減ってくるとポヨポヨしないんです。そのポヨポヨしない重量になってきたのに、ハンドルの舵角が切れてなかったりすると、あぁ、もっといけたのにって思う。クルマからの訴えかけがくる。それを感じながら、もう少しこうしたいナと考える。そのクルマとのコミュニケーションが好きなんです。普段の街乗りの運転もそうですし、いつでもクルマとキャッチボールして、自分に挑戦していくのが好きですね」

山野選手 「りんごちゃんもかなり変態だと思います。散水車の話が聞いていておかしくて……(笑)」


「散水車の運転が楽しい」とマニアックな本音を吐露したりんごさん。

まるもさん 「どんなクルマでも対話が大切ということですね(笑)」

山野選手 「クルマ好きの人って、自分より大きなものを自分の思ったように操りたいという願望があるのだと思うんです。それを叶えてくれるのがクルマなんですね。思い通りに操るには操作するだけではダメで、クルマからのフィードバックを感じ取らないといけない。そのフィードバックを感じることができると、運転がもっと面白くなるんですよね」

Q. カートをやっているんですけど、クルマでももっと速くなりたいんです。どうすればいいですか?

山野選手 「カートをやっていて、四輪でももっと上手くなりたいっていう質問ですけど、このコツはただひとつです。重量差ですね。カートは軽いのでより人間の体重に近く、ある意味自由自在に操れるんですね。曲がれないって思った時に、パッとアクセルを抜くとか、ブレーキを踏めばすぐ止まるっていうのがありますけど、四輪車の場合はカートよりも断然重量が重いんですよね。すると一度タイヤが滑り始めると、グリップが回復するまでに時間がかかります。時間がかかるということはそれだけ距離が必要になるということで、それを見越すのには経験が必要です。その読みができるようになると、上手く走れると思います」

Q. サーキットでブレーキを踏む量を細かく調整できるように訓練する方法ってありますか?

りんごさん 「ABSが効くほど強く踏めるコースを走れるとしたら、ブレーキをやさしく調整しつつ、最短距離で止まれるように心がける。練習する場所があるならぜひ試してみて欲しいですね。街乗りのドライビングでもできることは、信号が赤で止まるとき、踏み始めからやさしく踏んで、できるだけブレーキを一定で同じ踏力のまま停止線のところでピタッと止まるように目指す。でも大概は調整しないといけなくなると思うので、その時の調整をクルマの動きがヒョコヒョコ起き上がったり沈み込んだりしないように、なめらかに調整するように心掛けると繊細にブレーキが踏めるようになるかなと思います」


ブレーキの踏力コントロールについて解説する山野選手。

山野選手 「ちょっとペンを使って説明したいと思います。微調整って結構難しいんですね。ブレーキの踏力コントロールで僕が体験的に一番いいと思っているのは、始めに強く踏んで、そこから弱めていく方法です。この図で100はブレーキが最大の力を発揮する場所。ここではABSが介入します。イメージとしてはターンと一度、ABSが効くところまで踏み、そこから抜く時に調整していくんです。レーシングカーを運転する時も、最初の一発目のブレーキは踏力が強く、そこから力を抜きながらコーナーに向けて調整していくんです。後から追いかけブレーキをすると大概は止まれないことが多い。踏み込んでブレーキ調整するよりは、抜く方のブレーキ調整の方がしやすいと思います」

まるもさん 「もう話が盛り上がっちゃって、止まる気配がないですね(笑)。

最後は恒例の視聴者プレゼント!

視聴者の皆さんからもたくさんの質問や書き込みをいただき盛り上がるなか、惜しまれながらも閉会の時間に。最後にアンケートにお答えいただいた方に抽選で素敵なギフトが当たるプレゼントコーナーが実施された。今回は、アバルトのオリジナルスマートフォンホルダーやScorpionna Driveの特製トートバックをプレゼント。さらに山野選手から100度目の優勝の際に記念に製作した「100 win Tシャツ」をご用意いただいた。


アバルトのオリジナルスマートフォンホルダーやScorpionna Drive特製トートバックのほか、山野選手からもスペシャルプレゼントが。

なお、時世を鑑みてSCORPIONNA DRIVEのリアルイベントの開催は現在未定ながら、2020年11月23日(月祭)に富士スピードウェイでアバルトドライビングアカデミーの開催が決定! 現在参加者を募集中なので、運転スキルを磨きたい、アバルト仲間を増やしたいという人はぜひご応募を。また、冒頭で紹介したように、今後もScorpionna Driveではさまざまな企画やイベントを展開していく予定なので、引き続きご注目を!

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