ABARTHとFIATの違い③【パフォーマンス】

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一見似ているようで、それぞれの魅力が満載のABARTHとFIAT。その違いをご紹介する企画第3弾では「パフォーマンスの違い」を、チェックしていきたいと思います。カタログスペックだけではわからない、感じられないエンジン音。ハンドリングの感覚。そして総合的なドライブフィール。見かけはさほど変わらないFIATとABARTH。エンジンを掛けた瞬間に始まり、走り出したらもう~!たまらないっ!やっぱりクルマは乗らなきゃわからないということを実感していただけるハズです。是非アナタも、一度試乗するところから始めてみませんか?

ハンドリング:ベーシックゆえにナチュラルでわかりやすい

「ハンドル切っても曲がらないんだよ~」なんていう話を耳にすることありませんか?いえいえ、ハンドル切ったら曲がるに決まってるジャン!というのは、まぁ言ってみれば当たり前なんですが、実はハンドル切っても“思うように曲がらない”クルマは、たくさんあったりするのです!本当はあまりよくないことではあるのですが、これくらいハンドル切ったらこれぐらい曲がってくれるという、ドライバーが持っている感覚通りに曲がってくれないクルマって、意外なほどに多いんですよね。

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そもそも『FIAT 500(チンクエチェント)』はどうかと言いますと、思った通りに曲がってくれます。とはいえ、最新の電子制御バリバリのクルマのように、より積極的にグイグイ曲がるとか言うのではありませんし、ハンドル操作に敏感に反応しすぎて扱いにくいほどセンシティブな感じもありません。どちらかと言えば、おっとりした味付けの部類に入るのではないかと思われます。でもこれが、クルマの性格によくあっているんですよ。すごくナチュラルなんです。しかも神経質すぎないから、長距離乗っても疲れない。でも峠に持ち込んでも、思った分だけきちんと曲がってくれる。極端にアグレッシブじゃないからこその扱いやすさがあるんですよね。

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これは、『ABARTH』になっても基本同じです。あくまでも自然な手応え感なんです。だからこそドライバーが思う通りに操れるんですよね。これって個人的にはクルマにとっていちばん大切なことなんじゃないかと思うんですよ。極端な話パワーは排気量を大きくしたり、ブースト圧をガツン!と上げたりなどすることで得られますが、ハンドリングはそうじゃない。まずクルマのベースをしっかりとさせないと、足がきちんと動いてくれないんですよね。ボディがガッチリ、取り付け剛性が・・・等々のお話を聞くことがあるかと思いますが、ようは付け根がしっかりしてないと、その先は上手く動かないということ。そしてパワーステアリング。このフィーリングに凝った味付けをしすぎちゃっていたりすると、ナチュラルに爽快に走れないというワケなんです。そのあたり『ABARTH』はよくわかっていて、スポーツモデルだからって極端なことをしていないのがまたいいところなんですよね。

エンジン:やっぱりこの音でしょ!

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FIATとABARTHのいちばんの違いは、実はエンジンを掛けた時だと思うのは私だけでしょうか。ABARTHのエンジンに火が通った瞬間に「シュドーン!」と聞こえてくるあのサウンド。あれこそが、ABARTHの最大の魅力だと思うんですよね。サソリの一刺しはここにあったんです!

「レコードモンツァ」マフラーを装着していれば、その咆哮はもう酔いしれたくなるほど。「こんなに小さな身体の、どこにそんなパワーを秘めてるんだ!」というのは、いろんなところでよく聞くセリフだったりしますが、例えてみれば、小さい体で高くジャンプするフィギュアスケートの選手や、床運動で舞のごとき華麗な動きを見せる、可憐なアスリートのような感じでしょうか。

m※インパネ部分(左:ABARTH/右:FIAT)

そしてもうひとつ。FIATだってパワーは十二分なんですが、やはりトルクのあるクルマというのは走りやすいんですよね。ABARTHはスポーツスイッチを押しますと、最大トルクが206Nm(21.0kgm)/3000rpmにパワーアップしますよね。トルク数値が大きくなると同時に、最大トルクを発揮するエンジン回転数も低くなる。これはちょっと走りたい気分の時に、やっぱり最高のスイッチだと思うんです。日本の高速道路は出せる速度が決まっていますから、トルクで走らせてくれるクルマの方が扱いやすいし、スポーティに感じられるシーンも多いのではないかと思いますよ。

インプレッション

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シーン別に見ていきましょう。
まずは街中。FIATは全長3545×全幅1625×全高1515(mm)。ABARTHは全長3655×全幅1625×全高1515(mm)。まぁほぼ同じと言ってもいいサイズですが、とにかく街中で扱いやすいというのを数値からでもおわかりいただけるかと思います。小回り性はFIATが最小回転半径4.7m。ABARTHは・・・?と思ってスペックを探してみましたが、ホームページには発表されていないようですね。

でもフィーリング的には、FIATとほぼ同じ感覚。ライバルと比べて極端に小回りが利きます!と謳うほどではないけれど、かといって負けているわけでもない。ちゃんと小回りが利くコンパクトカーだよね!という印象の数値です。実際も街中での取り回しはUターンや車庫入れを含めてなんら困ることはなく、大きなクルマから乗り換えると毎日の生活行動がラクになること請け合いです。

続いて高速道路。ホイールベースが短いクルマは、どうしても乗り味&乗り心地ともに不利になりがちなシーンですよね。でも、そこはなんその。確かにメチャクチャイイとは言いませんが、かといって極端に不快というわけでもありませんでした。FIATと比べるとABARTHはカタイんじゃない?と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、いえいえ。高速道路のつなぎ目を乗り越した後も、サスペンションの収束性がいいから、不快感はないんですよね。加えてABARTHの直列4気筒1.4L(1368CC)ツインタークーラー付ターボエンジンはやはり余裕が違います。かっ飛ばすわけじゃないけれど、同じ速度で巡航するにしたって、ギリギリよりも余裕があった方が、やっぱりラクだし快適なんですよね。

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そしてワインディングロード。これはですね、前述したABARTHのトルクが効いてきます。コンパクトナボディにグイグイと引っ張るトルクフルなフィーリング、思った分だけ曲がってくれるドライバーと一体感のある走り。コーナーを抜けたら、思わずガッツポーズしたくなるような爽快感が待っているハズですよ。

総括

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3回に分けてお届けしてきましたFIATとABARTHの魅力いかがでしたでしょうか?どこまでもキュートなFIAT、そこにサソリのエッセンスを加えてピリリとスパイスが効いたABARTH。どちらも愉しいクルマに仕上がっているのは間違いありません。自分のライフスタイルもそうですが、基本的にボディサイズもほぼ同じですから駐車場問題なども関係ないですし、ここはひとつ自分の正直な気持ちで、好みに合わせてチョイスしてみるのをオススメします。えっ!?私ですか?う~ん、音も走りも爽快感が大切だと思っているので、やっぱりABARTHかな。

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INFORMATION

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★『ABARTH 695 Biposto』の詳細はこちらから
>> https://www.abarth.jp/695biposto/

嶋田智之さんによる『ABARTH 695 Biposto』レポートはこちらから
>> https://www.abarth.jp/scorpion/driving_fun_school/4862

★ <ABARTH SAFETY DRIVING CAMP>
ADAの要素を取り入れながら、英国発祥のミニ・ジムカーナ『オートテスト』の本格的な導入を目指して、新プログラムがスタート。
>> https://www.abarth.jp/safetydrivingcamp/

Text:竹岡圭
Photos:YosukeKAMIYAMA