ロマンと職人技が融合。アバルト×シチズンのコラボ腕時計、その真価とは。

 

なぜいま、機械式なのか

「Series 8 ABARTHコラボレーションモデル」についてお話をうかがったのは、シチズン時計株式会社・商品企画センター 商品企画部の山根康太さん、商品企画センター デザイン部の徳山義介さん。

シチズン時計さんのもの作りで大切にしていることを教えていただけますか。

山根さん 我々が物づくりにおいて大切にしているのは、“BETTER STARTS NOW”という信念、そしてそれに基づいて常に前進していこうという姿勢です。常に“いま”をスタート地点と捉えて行動することにより、商品をより良いものに仕上げられる。シチズン時計ではこうした信念のもと、モノづくりに励んでいます。我々が担当しているシリーズエイトも、絶え間ない挑戦から生み出された商品と言えます。


商品企画センター 商品企画部の山根康太さん。

ABARTHコラボレーションモデルのベースとなったシリーズエイトというのは、どのような時計か簡単に説明いただけますか。

徳山さん シリーズエイトは2008年に登場し、2014年にひとまず幕を閉じた同名の「シリーズエイト」の思想を引き継ぎ、2021年に再登場した機械式時計のブランドです。“8”にはいくつかの意味が込められており、ひとつには8を無限大を意味する「∞」になぞらえ、シチズンが追求するものづくりの無限の可能性を示すものとして命名されています。


商品企画センター デザイン部の徳山義介さん。

現代のシリーズエイトは機械式時計として新たな挑戦を続ける姿勢を体現したブランドで、ムーブメントを機械式に置き換えると同時に、ベゼルを2体の分割構造に分け、ヘアライン部とミラー部で仕上げを変えたり、部位ごとに色調に変化を与えるという具合に、各部品の仕上げとその組み付けにこだわることで精度感を演出する工夫が凝らされています。

ムーブメントが光発電から機械式に回帰したとのことですが、ここにはどのような想いが込められているのでしょうか?

山根さん シチズン時計には長年、光発電のエコ・ドライブに注力し発展してきたという歴史的背景がありますが、一方で機械式時計の開発にも積極的に取り組んできました。シリーズエイトで採用しているキャリバー0950という機械式自動巻きムーブメントは、機械式時計の開発に再び注力しようという流れのもとに生まれました。時計メーカーの本質である機械式時計の開発に再び注力しようという姿勢、そしてそれを現代に沿う形に常にアップデートし続けていく。ここにも“BETTER STARTS NOW”の信念が息づいています。

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