革新的なドライビングシューズを生み出す『NEGRONI』 宮部修平氏に訊く、パフォーマンスとラグジュアリーを兼ね備えた、MADE IN JAPANのものづくり。

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「ファッションは足もとから」とはよく言ったものだが、モータースポーツカルチャーやカーライフにおいても靴は欠かせない要素。ドライブシーンを想定して作られた靴、それこそがドライビングシューズである。ドライビングシューズに求められるのは、なんといっても運転のしやすさ。しかしABARTHファンの皆さんはそれだけでは物足りないだろう。たとえば、洗練されたデザイン性や選び抜かれたマテリアル、そして、使ってみてはじめて分かる機能性。その全てを網羅したドライビングシューズブランドが『NEGRONI(ネグローニ)』である。

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『NEGRONI』の拠点は東京都荒川区。ブランド・アイデンティティに“パフォーマンス”と“ラグジュアリー”を掲げ、2000年のブランド設立以来、世界の名だたるプロ・ドライバーやジャーナリスト、著名な車両開発者をも唸らせる革新的なドライビングシューズを生み出してきた。車の操作性をより身体感覚に近づける緻密なメカニズムと、履いていることを忘れてしまうほど心地よい使用感、そして様々なモータースポーツ・シーンを想起させるエモーショナルなデザインは、数々のユーザーを魅了し続けている。

今回は『NEGRONI』ブランドディレクターである宮部修平氏にインタビュー。ABARTHのインプレッションにはじまり、『NEGRONI』のものづくりのスタンスまで語っていただいた。

――宮部さんはABARTHに対してどんなイメージを持っていますか?

イタリアの車といえばスーパーカーのイメージが強いですが、ABARTHは玄人受けがいいというか、手が届く価格にあってマニッシュ過ぎない車だと思いますね。ファッションとしての使い方ができるのも魅力の一つですね。車はある程度体を表すというか、一つのブランドの車を保有することがその人のステータスやセンスを象徴すると思うんです。

車種もカラーバリエーションもそれほど多くないけれども、唯我独尊で自分たちのカルチャー以外に迎合する気がないという、ブランド側の攻めのスタンスを感じます。先日、『ABARTH 695 EDIZIONE MASERATI(エディツィオーネ マセラティ)』のオーナーさんがドライビングシューズを購入してくださいましたね。

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――『NEGRONI』のプロダクトではABARTHと同じルーツのイタリア製レザーを使っていますが、唯我独尊なスタンスは素材からも感じるのでしょうか。

最近イタリアのレザーをよく使っていまして、トスカーナのレザータンナーからかなりの種類と色数を揃えられるようになったんです。すごいなと思うのは想像していた以上にブレがない。日本で作る数段上のクオリティですね。日本の“MADE IN JAPAN”の品質性の高さは揺るぎないものですが、やはり革にはイタリア製の凄みがあるんです。我々作り手の人間に対して、この革をどう使うんだという勝負を仕掛けてくるので、我々は感服しつつも、活かすためによりレザーのクオリティに負けない靴をつくらなければいけない。そんな切磋琢磨の気持ちに自然とさせられます。

――ドライビングシューズの現状について伺いたいのですが、どのような特徴があるか教えていただけますか?

ドライビングシューズの捉え方はレーシング寄り、ファッション寄りの二つのカテゴリーは元々あるんです。レーシーなものは野暮ったいというか日常に取り込みにくいもの、ファッションの方は正直なところ運転しにくい。『NEGRONI』はその真ん中というか、車を運転するための道具でもあり、タウンユースにも取り込めるドライビングシューズの製作を目指しています。

車を最も楽しくかつ快適に扱えるかどうかという点はデザインをしていて意識するところです。いろいろなデザインにトライして、それをドライブに適したシューズに作り込めるかどうかというところに念頭を置いていますね。ドライビングシューズを作るというよりは、この靴で運転したときに、どのようなドライビングプレジャーを獲得できるのか、というスタンスなんですよ。

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――そこに関連付けて言うと、『NEGRONI』さんのものづくりの大きな特徴として、素材にカーボンを活用しているますよね。

もともとはカーボン柄のフィルムをラミネートしたレザーを10年くらい使い続けてきましたが、昨年からリアルな素材としてドライカーボンをパーツに使い始めています。カーボンは日本の特産品というか、日本独自の技術力を持ったスペシャルな素材なので、見た目は近未来的だけれども、僕の中では日本の伝統工芸のような匠の美しさを感じます。今年イギリスの<グッドウッド>に出展させていただくのですが、着物の伝統柄の生地を使っているように、我々日本人だからこそ使っている素材という感覚を現地で伝えたいですね。

――なるほど。カーボンはイタリアのブランドよりも日本のブランドが率先的に使うべきだという考え方なんですね。

そうですね。もちろん高価な素材ですが、せっかくいいものが日本にあるのだから積極的に使っていこうと。

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――宮部さんが仰るようにABARTHは攻めのスタンスを感じられるブランドで、それはABARTHを選ぶユーザーにも言えることだと思います。それを踏まえた上でABARTHユーザーに向けに『NEGRONI』のプロダクトを紹介していただけますか?

去年のブランドリニューアルとしては、もっとお洒落をして車に乗ろうという想いがあるんです。ドライビングシューズとして成り立つの?と思われるかもしれませんが、FIORANOというダブルモンクのタイプがいいかもしれませんね。一番ドライブに不向きな見た目ですが、運転時にジュラルミンフックでホールド感を調整出来たりと、意外な部分に運転の快適性を演出しています。というのも、僕は機能をどこまでカモフラージュできるかという部分を楽しみながらデザインしていて。

ABARTH_150521_124FIORANOを実際に履いてABARTHを試乗。

意外性はABARTHにも通ずると思うんです。一見ダブルモンクは運転に不向きのように感じますが、『NEGRONI』の哲学を理解してもらうという意味でも、そのエントリーモデルとして最適ですね。

たしかに。ある意味、ABARTHという車もギャップがありますよね。可愛らしい車なのにサソリのエンブレムがあしらわれているように毒を孕んでいる。そういう点では、『NEGRONI』を選んでくださる車好きの方たちには、車だけでなくドライビングシューズを入り口に、もっとファッションも遊んでいただきたいですね。

そのメッセージに、ドライビングシューズという枠にとらわれず、レザーグッズラインの展開にも挑戦する『NEGRONI』のフレキシブルなものづくり精神を感じます。

これからドライビングシューズ以外のプロダクトもリリースしていきますが、すごく悩みましたね。靴の世界観を守りながら違うことをやらなければいけないので。靴は機能というものを守りながら作っていきますが、小物はいろいろな機能の方向性があって、それらに対してどのような答えを出していけばいいのか。そこで我々はただ小物を作るのではなく持つ人の行動を作ってあげることを念頭に置いています。

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インタビューにもあったとおり、『NEGRONI』はレザーグッズラインと、ロゴやパッケージを一新したインターナショナルレーベル、『NEGRONI GIAPPONE』を同時に発表したばかり。ラインナップは広がれども、掲げるフラッグシップは“THE DRIVING PHILOSOPHY”であることに変わりはない。

さらに6月下旬には、イギリスで開催される世界最大級のモータースポーツフェスティバル<GOOD WOOD FESTIVAL OF SPEED>(現地日程:2015年6月25日〜28日)への参加も決定。日本製の誇り高きプロダクトに目の肥えた海外のモータースポーツファンはどんなリアクションを示すのか。今後の『NEGRONI』の展開に注目である。

『NEGRONI』オフィシャルサイト
>> http://negroni.jp/

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Text:Shota Kato
Photos:Nozomu Toyoshima