プロドライバー石川紗織選手が教えるドラテクのいの一番 <Scorpionna Drive番外編>

190823_Scorpionna_01

自信を持ってクルマを操るために

女性に限定したドライビングレッスン「Scorpionna Drive for Woman(スコーピオンナ・ドライブ・フォー・ウーマン)」。茨城県・筑波サーキットで実施されたその第1回目の模様は、前回のレポートでお伝えしたが、ここでは、インストラクターを務めた石川紗織選手が教えるドライビングの極意にフィーチャーし、お届けしたい。

_B8V8041
石川紗織選手。ドリフトのレディス・クラスのシリーズチャンピオン経験を持つプロドライバー。アバルト ドライビング アカデミーの講師も務める。

石川紗織選手は、ドリフト競技のチャンピオン経験を持ち、現在はドリフトスクールを主宰するプロドライバー。そんな頂点を極めた彼女から直接、運転の秘訣を習うことができるのが「Scorpionna Drive for Woman」。「いやいや、わたしはドリフトまでは……」と思うかもしれないが、Scorpionna Drive for Womanはドリフトを学ぶ教室というわけではなく、アバルト車の様々なポテンシャルを感じられるドライビング体験を通じて、普段のドライブでも役立つ運転のスキル向上を目指すもの。そのひとつの大きなポイントは「自信を持って、クルマを操れる感覚を養うこと」だと石川紗織選手は話す。

190823_Scorpionna_03
Scorpionna Drive for Womanでは、特設コースでクルマが曲がれる限界付近の挙動を経験し、運転スキルの向上を図る。参加者はドライビングを楽しみながら、技術習得に励んだ。

──今回のレッスンのポイントは?

「今回、皆さまに体験していただきたかったのは、タイヤの滑り出しを感じ取る感覚です。これはスポーツドライビングやドリフト競技にも通じる重要な要素なんですけど、普段の走行でもクルマの限界を超えた操作をしてしまうと、事故につながりますよね。クルマの限界、タイヤの限界、じぶんの限界をどれだけ把握できるか。客観視できるかというのは、ドライビングにおいて非常に重要なことだと思います」

190823_Scorpionna_04
安全な環境でタイヤの滑り出す感覚を経験し、自信を持って運転できるようになることを目指す。こうしたトレーニングはいざという時の危険回避の操作にも役立つという。

「ただ、スピードが出るコースでタイヤの限界を超える練習をするのはリスクが高いので、Scorpionna Drive for Womanでは安全な場所、低μ路(滑りやすい路面)でその経験をしていただきました。安全な場所で、限界を超えるか超えないかの経験を繰り返すことによって、タイヤの限界付近の感触を掴む感覚ができあがってきます。コースも、あえてタイヤが滑りやすいレイアウトにしました」

タイヤの感触を掴み取ろう

──タイヤの感触を感じ取れるようになると、どんなメリットがありますか?

「タイヤの限界付近の感触がつかめると、しっかりクルマを操れているという実感を持つことができます。思い通りに操れるようになると、なにより運転が楽しく感じられます。それだけでなく、安全にもつながります。クルマをしっかりコントロールできれば、心に余裕が生まれ、安心して走れるようになりますし、不測の事態が起こった場合でも対処できる自信や、リスク回避の確率が高まるはずです」

190823_Scorpionna_05
参加した参加者は、コース走行を繰り返すごとにタイムアップを果たした。どこまで攻められるかを身をもって経験し、一段上の領域で操作ができるようになった証だ。

──デモンストレーション走行でタイヤを自在に滑らせていましたが、あのように上手に操るポイントは何ですか?

「じつはタイヤをスライドさせて走るドリフト走行も、本質的なところは同じです。タイヤの状況を感じ取りながら、その時々の状況に合った操作を行う。この点はまったく一緒なんです。ドリフト競技ではタイヤが滑りだした時に、カウンターステアをあてます。そしてスライドを維持するために、アクセル操作でタイヤの滑り出しの量を調整するのです。このとき、アクセルを踏む量が多すぎるとスピンしてしまいますし、少ないとスライドが持続しません。タイヤの状況を感じ取りながら、的確な操作でバランスを取るという作業になります。なので、タイヤの限界付近の感覚を掴むという行為の延長線上にある運転技術といえると思います」

_B8V5683
石川紗織選手のデモンストレーション走行。タイヤを自在に滑られて走行したが、これもタイヤの状況を把握し、的確な操作を行うことで実現する。基本の積み重ねの延長線上にあるテクニックなのだ。

──思い通りに操るという点で、アバルトはどうですか?

「わたしが感じるアバルトの魅力は、クルマの状況をドライバーにしっかり伝えてくれるところです。これはまさに今日のレッスンで皆さまにお伝えしたかったことと関係しています。タイヤの状況や滑り出しを感じ取るということにおいて、アバルトはとてもやりやすいのです。ハンドルやシートを通じて、クルマの状況をしっかり伝えてくれるからです。ドライバーはその情報を感じ取って、的確な操作を行う。これこそがマシンをコントロールする楽しさの醍醐味だと思いますね」

190823_Scorpionna_07
写真のモデルはABARTH 124 spider

タイヤの状況を感じ取りながらクルマを操ること。石川紗織選手が教えるその運転の秘訣は、まさに彼女が活躍するドリフト競技の真髄にも関わるものだというわけだ。

さて、Scorpionna Drive for Womanは、第2弾が、9月21日(土)に名阪スポーツランド(奈良)で開催決定! 参加申込受付は9月1日までです。そして第3弾は福岡エリアにて開催予定。女性たちのサソリ使いへの挑戦をお待ちしています! 
詳細はオフィシャルHP内Scorpionna Drive for Womanページをチェック! 第1弾・筑波サーキットでの参加者の皆さんの刺激的なドライビング体験の模様や石川紗織選手によるドリフトデモンストレーション走行もご覧いただけます。

◾️Scorpionna Drive for Woman in 筑波 ドラテク編ムービー

<前編>第1回 Scorpionna Drive for Woman 情熱を秘めたサソリ使いの女性たちが筑波に集結
https://www.abarth.jp/scorpion/driving-academy/14721

写真 荒川正幸