ヘアメイクアップ界の第一線で活躍中、稲垣亮弐さんのアバルトライフとは?

180629_Abarth_Inagaki_01

ヘアメイクアップアーティストとして確かな技術とクリエイティビィを発揮し、著名人からも絶大な信頼を寄せられている稲垣亮弐さん。「The Scorpion Spirit Vol.1 FASHION」に登場いただいたファッションモデル松島花さんのヘアメイクを手がけたのも稲垣さんだ。じつはサソリ歴も長いという稲垣さんに、アバルトの魅力についてうかがった。

まずアバルトとの出会いについて教えてください

90年代でした。がんばってフェラーリの355を購入し、面白いと思って乗っていたんですけど、その頃知り合いがアバルトのレコードモンツァに乗っていたんです。それで乗せてもらったら、豆粒みたいに小さいのに、とにかく速い。それでレコードモンツァについて調べてみたら、レースの背景があるクルマだと知り、たまらなく欲しくなってしまい。それでたまたま出物を見つけたので、355は売ってレコードモンツァ850というモデルを購入したんです。それが最初のアバルトでした。それで次はレコードモンツァ1000のビアルベーロ(ツインカムエンジン)に乗り換えて……と、どんどんそっち方向に進んでいくことになるのですが(笑)。

180629_Abarth_Inagaki_02
ヘアメイクアップアーティスト稲垣亮弐氏。英国の教育機関でスタイリストの技術を学んだのちに、ヘアメイクアーティストとして内外で活躍。広告をはじめ、さまざまなメディア、映画、舞台など第一線で活躍中。クルマの知識や経験も豊富。

昔のアバルト695もお持ちなんですよね

695を手にしたのは2年ほど前。お世話になっているクルマ屋さんに“コレクターの人がぜんぜん乗らないで保有していた出物があるけど、見てみない?”って言われて。アバルトのファクトリーから出たままの状態だということで見に行きました。その当時のアバルトってパーツのひとつひとつに刻印が入っていたんです。それが全部残っていたんですね。これはいいなと思って購入したんです。

180629_Abarth_Inagaki_03
稲垣さんが所有されているアバルト695。

乗った感じはいかがでしたか?

激しかったですね(笑)。当時のアバルトって高速道路ではひとつの車線上にジッとしていないぐらいの勢いがあって。走るととてもスリリングでした。ツインカムのエンジンって高回転側のカムに切り変わったときに加速の勢いが増す感覚を“カムに乗る”なんて言いますけど、アバルトのエンジンはそのカムに乗った瞬間がすごくて。7000rpmから8000rpmあたりまで一気に吹け上がるんです。峠に行けば平気でお尻振りながら走って行くような感覚で。当時はよくこんなにすごいクルマを運転していたなと思いますね。

180629_Abarth_Inagaki_04

現代のアバルト595コンペティツィオーネはどのように使われていますか?

595コンペティツィオーネは普段のアシとして使っています。仕事に行く道中の運転も楽しくなるようなところが好きですね。遠方のロケにもだいたいコレで行っています。595コンペティツィオーネの前にも500Cに乗っていたんですけど、あっという間に8万キロぐらい乗りまして。そして595コンペティツィオーネに乗り換えました。左ハンドルのマニュアル、いいですよ。

595コンペティツィオーネの気に入っているところを教えてください

街でも乗りやすいし、いつも軽快だし、駐車場はどこでも停められるし。レコードモンツァのエキゾースト音もすごくいい。乗っていて本当に楽しいです。飽きないというか、これ1台で全部楽しめしまうところが気に入っています。

180629_Abarth_Inagaki_05
普段の仕事の移動にも595コンペティツィオーネを使用されているという稲垣さん。運転をより楽しめるようにマニュアル仕様をチョイスしたという。

美を追求するクリエイティブなお仕事をされていますが、世の中の流行を敏感にキャッチしようと努力されているのですか?

そうですね。雑誌やインターネットとかよくチェックしていますね。若い子はどんな化粧品やファッションを好むのか、どんなモノが好きなんだろうかと日々研究しています。

ファッション的な視点で見るとアバルトはいかがですか?

がんばっているけどかわいさが残っているとか、どこか滑稽というか。そのバランス感覚が絶妙だと思いますね。これってイタリアならではじゃないですかね。かっこいいのか滑稽なんだか。どこか遊びを感じますよね。サイズ感もいいと思います。これでサイズが大きかったら、また印象も変わってくると思うんです。

180629_Abarth_Inagaki_07

周りからの見られ方という点ではいかがですか?

どう見られるかは重要ですよね。見栄えはおしゃれにしておかないと。もうオジサンなので(笑)。人って初対面のとき、まず表面から入るじゃないですか? そういう意味でも、このクルマなら仕事でも安心かなと思います。オシャレっぽく見えて、行き過ぎていない。ちょうどいいと思いますね。

180629_Abarth_Inagaki_06

走りもさることながら、アバルトの見た感じや世界観もお気に入りのようですね?

695もそうですが、家に置いてあるだけでかっこいい。それだけでコーヒー3杯くらい飲めますよ(笑)。小さなボディにイタリア人のオトナがすし詰めで4人ぐらい乗っていても、なんかサマになって見える。イタリアっていいナと思いますね。どうせ歳をとるなら、イタリアのオジサンみたいにカッコよくキメたいじゃないですか(笑)。

クルマ以外ではどのような趣味をお持ちですか?

絵画も好きですよ。タマラ・ド・レンピッカって知っていますか? アール・デコの画家なんですけど、80年代にクリスチャン・ディオールのアートディレクターやっていた人から“僕の手本はタマラ・ド・レンピッカだ”と聞いて。それから僕も本を集めて。そういうアートの本などもたくさん持っています。

180629_Abarth_Inagaki_08

お仕事では直接仕事に関係する以外のものから刺激を受けたり、取り入れたりすることもありますか?

どの分野でも一緒だと思いますが、バランス感覚を磨くって大事ですよね。ヘアメイクなら唇とアイシャドウとか、ヘアースタイルのバランスとか。クルマや飛行機も電車も、かっこいいものは作り手が吟味してデザインを作り上げているのだと思います。ヨーロッパの電車などを見ると、車体に鮮やかな色を使っていたりしますよね。アバルトにも真っ黄色のボディカラーがある。そういうのを見ると面白いことするなと目にとまりますね。デザイナーがチャレンジしたんだろうなとか想像しながら、そういうものを眺めるは大好きですね。

180629_Abarth_Inagaki_09m

最後に、稲垣さんご自身の今後のチャレンジについて教えてください

ミッレ ミリアに出てみたいですね。いまの時代、どんどん変わっていくし、僕らはクルマを存分に楽しめているけど、これからの世代はそうでないかもしれない。そう考えると、今のうちにたっぷり楽しんでおかないと、と思います。

初期のアバルト・レコードモンツァに惹かれたのをきかっけに、各時代のモデルに触れてこられた稲垣さん。そうしたエンスージャストな一面を持ちながら、クルマ以外にもさまざまな工業製品や絵画から刺激を受け、ヘアメイクの世界では第一線で活躍中。常に時代を読む感覚を研ぎ澄ませながら、自らを高め楽しまれているその姿が、とても輝いて見えた。

写真:小林俊樹
アバルト595コンペティツィオーネ製品ページ