20代で手にした“上がりのクルマ”。抹茶さんとほうじ茶さんと695 BIPOSTOフルスペック仕様

 

レース屋さんのようなクルマ作り

ドグミッションに、エアコンなしのクルマですが、どのような使い方を想定されていたのでしょうか。

ご主人
「所有しないと乗りたくても乗れないので、自分が一番好きなクルマを、いつでも好きなときに乗ったり、眺められたりできるように、と思い立って購入したのです。普段は他のクルマを使い、695 BIPOSTOは乗りたくなった時に乗る、という使い方を想定していました」

ご主人の抹茶さん。メカニックをされているため、機械に対する造詣は深い。

ドグミッションをいきなり扱うことはできたのでしょうか。

ご主人
「ドグミッションと一般的なマニュアルトランスミッションの違いは、シンクロナイザーがないことです。一般的なマニュアルトランスミッションにはシンクロナイザーという摩擦により回転差を吸収して同期させる機構が備わっています。ドグミッションはそれがない代わりにドッグリングという大きな犬の歯の様な機構に置き換わっていて、ダイレクトにギヤが噛み合い独特なガシャッと言う音をたてながらギヤを入れて締結する仕組みです。構造はわかっていて乗れるには乗れましたが、最初はシンクロ付きトランスミッションとの操作感の違いに戸惑ってギクシャクしてしまいました。しかし有名なレーシングドライバーに運転してもらい、直接指導を受けたことにより今ではかなり上達したと思います(笑)」

運転した感覚はどのような感じなのでしょうか。

ご主人
「ヒューンという音やダイレクトな感触がレーシングカーに乗っているようで楽しいです。非常にスパルタンなクルマですけど、ギヤチェンジがきれいに決まったときや、シフトダウンがスパンと上手くできたときはすごく気持ち良いです。ガシャという音が軽く、1つの音として聴こえると上手く入った証拠でニヤリとしますが、ギヤがうまく入らないと、ガガガという嫌な振動や音が出て非常に心臓に悪いです」

エンジンや足回りなど、トランスミッション以外のパーツについてはいかがですか?

ご主人
「足回りにはエクストリーム レーシング ショックス製の車高調整式サスペンションキットが入っていて、セッティングはとても硬いです。硬いんですけど、カルロ・アバルトさんの有名な台詞である“休日はサーキットへ、月曜日は会社へ”という言葉のとおり、街乗りもできるし、そのままサーキットに行けるようなセッティングです。ちょっとサーキット寄りかなと思いますけどね(笑)。そういうところも潔くていいなと思いますね。リアサスペンションには別体のリザーブタンク付きのショックアブソーバーが組み合わされているのですが、ストローク量も確保されていますし、変なハネ方をしないんですよ。いい足回りだと思いますね」

奥さまは隣に乗っていてどうですか。

奥さま
「前に乗っていた500 esseesseは、サーキットを走るようにカスタマイズで足を硬くしていたんですけれど、それよりも硬いと感じます。ただそれ以上に、しっかり足が動いてくれるので、乗り心地は思ったほど悪くなく、突き上げ感もガツンとくるのではなくて、トトンと落ちるような感覚なんです。良かったなと思いますね」

695 BIPOSTOに乗り、アバルトブランドに対する見方は変わりましたか。

ご主人
「変わりましたね、アバルトの良さをスポイルしないようにチューンされたクルマだと思います。アバルトってフィアットをベースに“足し算”のようなチューニングによって、昔のチビッコギャングのような乗り味を実現していると思うんです。ところが695 BIPOSTOに乗ると、足し算というよりはレース屋さんのクルマ作りを感じます。本気のスピリットが残っているブランドなんだなとつくづく感じますね」

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