「想像していなかったところに連れて行ってくれる存在」 アバルトライフFile.36 金川さんと595

アバルトとの出会い

真っ赤なボディカラーは、595のスタンダードモデルのみ選ぶことのできる華やかな衣装。そしてMTの左ハンドル。アバルトカレンダー 2021の6月に登場していただいた金川美和子さんの、理想の仕様ともいうべき愛車です。

アバルトにガッチリと心を掴まれてる様子の金川さん。けれど以前はクルマが趣味だとは思ってもいなかったし、クルマの買い換えのタイミングが来るまでは、アバルトの存在をご存知なかったのだとか。

「前のクルマはスタイルがかわいくて、娘も気に入って一緒に選んだ軽自動車で、12年乗りました。さすがにもう買い換えのタイミングだろうと思って、次はどうしようと考えはじめたんですね。前のクルマも気に入ってはいたんですけど、オートマチックしか設定がなかったので、次はマニュアルに乗ろう、というのが最初にありました。私達の世代はマニュアルが主流で、私もその軽自動車の前まではずっとマニュアルのクルマに乗ってきたので、マニュアルの方がしっくり来るんですね。それでWEB予約でマニュアルのクルマの試乗をしようといろいろ調べていたら、たまたまアバルトが目に入ったんです。それまではどういうクルマかも知りませんでした(笑)」


マニュアル車を望んでアバルトに出会ったという595オーナーの金川美和子さん。

コンパクトカーにしようと思っていた金川さんがWEBで試乗を予約したのは、ラインナップにマニュアルの設定があった4車種。最初と次に訪ねたのは日本のメーカーのショールーム、3軒目がアバルトで、4軒目はフランスの自動車ブランドでした。

「日本の最新のクルマもよくできていていいなとは思ったんですけど、アバルトに試乗したらすっかり頭から消えちゃって(笑)。4軒目も予約しちゃったから行ったようなものでした。実はマニュアルの試乗車が用意されていたのは、アバルトだけだったんです。それに最初はかわいいクルマだなって思ったくらいだったんですけど、乗ってみたらそれどころじゃありませんでした。それまで自分が体験したことのないようなエンジンの音とか、打てば響くような加速感とか。そういうのが何だか自分に合ってるように思えて、これが欲しいって瞬間的に感じちゃったんです。ちょっと衝撃的でした」


赤いクルマに憧れを持っていたという金川さん。「595」は赤、そしてマニュアルと金川さんの求める条件を完全に満たしていたようです。

「せっかくなら…」と左ハンドルを選択

試乗したのは595のマニュアルと、595 Competizioneの2ペダル。金川さんに今の仕様に決めた理由を訊ねてみました。

「595 Competizioneの方が速そうだし迫力もあったけど、私にはスタンダードでも十分に速いし、自分に合ってるって感じたんですね。それに赤いクルマがいいなって思ってたんです。子どもの頃の国語の教科書の中にあった“赤いスポーツカー”というのが気持ちの中のどこかにあって、だけどそれまでのクルマはなぜか別の色ばかりで、漠然と赤いクルマに憧れてたんでしょうね。アバルトには赤がとても似合うとも思ったんです。でも、赤はスタンダードにしかなかったのでちょうどよかった(笑)。左ハンドルにしたのは、輸入車に乗るのが初めてだったので、せっかくならという気持ちで選びました。左ハンドルのマニュアルに乗ってる人なんてなかなかいないですしね。人が選ばない方をつい選んでしまうようなところがあって、ちょっとひねくれているのかな(笑)」


輸入車を選んだという気持ちもあり、あえて左ハンドルを選択された金川さん。そのちょっとした冒険も、満足感の向上につながっているご様子。

12年間乗り続けたオートマチックの軽自動車から、左ハンドル+マニュアルのアバルトへ。一般的に考えたらわりと思いっ切りなジャンプです。そこにためらう気持ちはなかったんでしょうか?

「それが……なかったんです(笑)。私は普通の勤め人だから(笑)、冷静に考えて軽自動車とかにしておけばはるかに楽なのに。でも、どうしても欲しくなっちゃったんですよね。私はずっと現金でしかクルマを買ったことがなくて、今回はローンを組む必要があったからそこに少しだけ迷いましたけど、試乗してから1週間もたたないうちに買おうと決めていました。それぐらい衝撃的な出会いでした」

そしてオーダーしてからおよそ3ヶ月後の2019年の3月、艶やかな赤が美しい595が納車となりました。最初にご自身のアバルトを走らせたとき、どんなふうに感じたのでしょう?

「ショールームで納車をしてもらって、乗って帰るときには緊張の方が勝ってましたね。大変なものを買ってしまった、と(笑)。左ハンドルに慣れてなかったから、最初はどこを走ったらいいのかわからなかった。片側2車線の広い道だったんですけど、横に乗ってた娘に“ママ、センターラインの上を走ってるよ”って指摘されたりして(笑)。でも少しずつ慣れてきたら、エンジンの音は気持ちいいし加速は凄いしで、素晴らしいものを買ったんだっていう実感が湧くようになってきました。あれから2年以上経ちましたけど、その実感は薄れるどころかジワジワ強くなる一方ですね」


595に乗るようになって2年以上が経過。しかしアバルトに乗って感じる気持ちの高ぶりは今も続いているそう。

長距離ドライブで実感する愛車の真価

普段はどんなふうにアバルトに乗っていらっしゃるのでしょう?

「通勤にも使っています。片道2kmほどですけど(笑)。通勤に使うには贅沢すぎるかなとも思ったんですけど、でもエンジンの音を聞くと、仕事できついことがあっても吹っ飛んじゃう。意味もなく窓を開けて音を聴いてみたりもしますね。短い距離の間にすっかり気分転換ができちゃいます」

たった2kmで気分転換ができるなら、むしろ贅沢どころかお買い得でしょう。

「そうですね。普段はチョイ乗りですけど、いざ出掛けるとなれば200kmでも300kmでも走りますよ。このクルマは長距離がとっても楽なんです。乗り心地がいいし、シートも疲れない。エンジンに力があるしブレーキもよく効くから、ストレスもないですよね。そういえば最初のうちは、ずっとノーマルモードで走ってたんですよ。高速道路を100km/hで走っているときにスポーツモードに入れてみたら、アクセルを踏み込んだわけでもないのにグッと加速してビックリして。私にはやんちゃ過ぎるって感じちゃったんですね。今は普段はノーマルモード、ちょっと走りを楽しみたいときにはスポーツモードって使い分けてますけど、そういうことができるのもとても楽しいですね。ただ、アクセル全開なんてとても恐くて、一度もしたことないですけど(笑)。


購入後しばらくはノーマルモードばかりで走行していたのが、最近ではSPORTモードも使い分けて違いを楽しまれているそう。

お住まいの近くには気持ちのいいワインディングロードがたくさんありますけど、そういうところに走りに行ったりとかは……?

「わざわざ走りに行くようなことは今のところはしてないですけど、峠道も好きですよ。テクニックがないから攻めたりはしません。でも家から2時間ぐらい走ると海沿いのワインディングロードがあって、そこを走るのが好きです。しっかりと踏ん張ってくれて、よく曲がってくれる。楽しいですよね。いつどんなところを走っても楽しいし、気持ちいいクルマだと思います」


高速道路での快適さとシートのクッションの良さは、金川さんが購入後に実感した595の魅力。長距離移動も快適で300km以上のロングドライブをすることもあるそう。

お酒を飲まなくなった

アバルトが手元に来てから2年少々。毎日かなり楽しんでおられるようにお見受けします。以前と、何か変わったことはありましたか?

「いろいろと変わったような気がしますね。毎日の生活の中で、クルマが占める割合が大きくなりました。例えば、アバルトに乗るまではクルマつながりで友達や知り合いができたことは一度もなかったんです。自分の周りにはアバルト乗りがいなかったので、Twitterでいろいろ調べてみたら、たくさんいた。私と同じ赤いアバルトは実際には見たことなかったのに、Twitterの中にはいて、赤いクルマつながりでお話しさせていただいたり。そうやってSNSで知り合った人達からいろいろなことを教えてもらい、クルマ関係の用事で出掛けることなんてまったくなかったのにアバルトのイベントにも参加するようになりました。SNSでつながったアバルト乗りとイベントで初めて会って、お菓子を交換したりとか(笑)。雑誌やWEBやSNSを見ていると、アバルトつながりで友達ができたとか書かれてるけど、本当なんだって思いましたね。イベントでお店を覗いてアバルトのマークが入っているものが売っていると、つい欲しくなっちゃったりもするし。それにクルマの性能は私には十分過ぎるからノーマルのままなんですけど、ホイールに自分でリムテープを貼ってみて、“おお、かっこいい”なんて喜んだり。そういうのは何から何まで初めて。未知の世界だったんです。世界が大きく広がりました。以前は、クルマはほぼ生活の道具みたいなものだったんですけど、今ではクルマに乗る目的はアバルトに乗ることそのものっていえるほど(笑)。」


アバルトに乗るようになって、同じクルマに乗る仲間とSNSでつながり、コミュニケーションを楽しむようになったという金川さん。ライフスタイルは大きく変わったようです。

なるほど。もはや完全に“新しい趣味”ですね。すごい激変っぷりです。

「それに、自分自身もちょっと変わりました。きっかけは現実的なところでローンを組んだことによる家計の見直しだったんですけど、無駄な出費を抑えるためにお酒をやめてみたらそこから自然と生活習慣まで変わりはじめて、身体も気持ちもずいぶん健康的になりました。例えば前は夜型だったんですけど、お酒を飲まなくなったことで自然に早寝早起きするようになって、翌日の体調がいいから1日がんばれるんです。自分がいい方向に向かっていると言う実感がありますね。アバルトが来てから、少しずつではあるんですけれど、年単位で考えたらものすごく変わってますね、いろんなことが」


ホイールのリムに赤いテープを自分で貼り、少し違った雰囲気にカスタマイズされた金川さんの595。

芯を持ちつつフレキシブルでいたい

アバルトはカンフル剤だとはよくいわれますけど、健康増進剤でもあったのですね。

「そうかもしれません(笑)。それに、もしかしたら年齢的なものも時代的なものもあるのかもしれませんけど、自分の考えだけに固執しないで、物事を柔軟に考えようという気持ちも生まれてきました。世の中っていろいろ変わっていくものだから、柔軟にいろいろ受け入れるのも大切なんだろうなぁと思うようになりました。これはSNSで世代の違う若い人と話していろいろ教えてもらったりとか、そういうことからいい影響をいただいているのかもしれませんね。ポリシーを持つのも大切だと思うし、芯はしっかり保っていたいけど、フレキシブルさも身につけておきたい。そういうふうに生きていけたらいいなと思うようになりました」


物事を柔軟に捉えるように努めているという金川さん。左ハンドルのアバルトを選ぶといった、そうした遊び心が生活を豊かにしている。そんな印象も受けました。

何だかアバルトというクルマにリンクしてるようにも思えてきますね。ちゃんとした自らの哲学に沿って作られていて、性能はきっちりと高いのに、意外やフレキシブルだったりしますから。

「いわれてみれば、そういう方向を目指しているようなところはあるかもしれませんね。やっぱり無意識に何か影響を受けてるんでしょうか? アバルトを買ったときには本当に自分の感覚的なところで選んだだけなんですけど、本当に不思議ですね」

最後にお決まりの質問なのですが、金川さんにとってアバルトはどんな存在ですか?

「想像していなかったところに連れて行ってくれる存在、ですね。毎日一緒にいるのに少しも飽きなくて、このままいったら10年ぐらいは軽く乗って行けそうな気がしています。女優の伊藤かずえさんが愛車に乗って30年経過したっていうニュースがありましたけど、私もそうしたいって思えるくらい(笑)」

赤い595はこれからも金川さんをいろいろなところに連れて行ってくれそうですね。愛車のアバルトと素敵な思い出をたくさん作ってください!

文 嶋田智之

アバルト 595の詳細はコチラ