「“すごいモノ”に乗っている感じがいい」 アバルトライフFile.33 出井さんと595 Competizione Performance Package 3

仮免許のうちにマイカーを購入

レコードモンツァのサウンドとともに待ち合わせ場所に現れたマットグレーのアバルト。2019年に160台限定で販売された、「595 Competizione Performance Package 3(コンペティツィオーネ パフォーマンスパッケージ3)」です。ベースとなったのは595 Competizioneで、特別色のボディカラーのほか機械式LSDが組み込まれているのが特徴です。

そんな595シリーズの中でもハードコアなモデルから、こんなふうにふんわりしっとりした若い女性がニコニコしながら降りてきたら、そのギャップにちょっとビックリしちゃいますね。


595 Competizione Performance Package 3を所有されている出井久瑠海さん。

出井久瑠海(いでい くるみ)さん。現在23歳の看護師さんです。アバルトは久瑠海さんにとって3台目の愛車。しかも乗ってきたクルマはすべてイタリア車!

「父も母もクルマが好きで、特に父は趣味でクルマもバイクも自分でいじる人なんです。そういう姿を見ながら育ったから、知らない間に私もクルマが好きになったんでしょうね。高校3年生になって“そろそろ免許をとる頃かな”と思ったあたりから、クルマのことをかなり意識するようになっていました」


クルマ好きのご両親の元に育ち、気づいたら自分もクルマ好きになっていたと話す出井さん。

優しいトーンでゆっくりと話してくださる久瑠海さん。けれど、クルマの購入に関してはスピーディだったようです。

「高校3年生の12月に免許をとったんですけど、実は仮免許をとった頃には、もうクルマを買って家に置いてあったんです。父と一緒にドライブしているときに、ああ、かわいいクルマがあるなと思って、聞いたら“フィアット 500だよ”って父が教えてくれて。他にもかわいいと感じていたクルマはいくつかあったんですけど、フィアットなら乗っている人が少なくて周りとかぶらないって気づいたときから、フィアットしかない、と。そうしたらちょうど近くのクルマ屋さんに売りに出てたんですよ。父は最初は気乗りしてなかったみたいでしたけど、自分も好きなバイクに乗ってたりすることもあって何も言えず(笑)、とりあえず買ってみようかということになりまして。だから“仮免許練習中”のプレートをつけて、父に隣に乗ってもらってフィアットで練習したりしました」


1台目の愛車はデザインが気に入って選んだフィアット500。そこから出井さんの今に至るイタリア車ライフが始まりました。

ところがほどなくして、久瑠海さんはクルマを買い換えることになりました。それもフィアット 500からフィアット 500へ。19歳のときのことでした。

「実はあんまり状態がいいクルマじゃなかったみたいで、トラブルが出ちゃったんです。それで修理代がたくさんかかるくらいなら新しいクルマを買う方がいいだろうということになったんですけど、でも私はフィアット 500が気に入ってたから……。そんなときに整備でお世話になっていたショールームの方から、イタリアブルーのフィアット 500S限定車が売りに出ることを教えていただいたんです。ブルーは好きな色だったし、他の人とあんまりかぶらないですしね。エンジンにも結構チカラがあって、とっても楽しいクルマで、かなり気に入ってました。22歳になる直前まで乗ってましたね」


2台目の愛車フィアット 500Sからマニュアル車に乗るようになった出井さん。免許もマニュアルで取ったそうです。

そして2019年の初夏、社会に出ていた久瑠海さんは、アバルトの購入を決意します。500Sもお気に入りだったはずなのに。

「実は500Sも、まだ家にあるんです(笑)。父が“家に置いておけばいいじゃん”って言ってくれたので。父もマニュアルのクルマが好きでときどき500Sにも乗っていたから、“遊べるクルマができた”って喜んでましたね。アバルトが欲しくなったのは、もっとパワーが欲しいという気持ちが強くなってきたからです。595ならかわいいスタイルはそのままだし。イベントに遊びにいったときにレコードモンツァの音を聞いて、いいなと思ったのも大きな理由でしたね」

「真冬でも窓を少し開けて走ります」

595シリーズの中から選んだのは595 Competizione Performance Package 3。アバルトの中でもとびきり走りを意識したモデルです。

「やっぱりマニュアルじゃないと……って思っていたので、どうせなら一番パワーがある595 Competizioneかな、と思ったんです。レコードモンツァも標準装備だし。そうしたらタイミングよく、このボディカラーのモデルが発売になったんですよ。ボディカラーは大きな決め手になりましたね。白いストライプや白いミラーとの組み合わせもいいなと思った。これなら他の人とはまずかぶることないだろうな、って。私、人とかぶらないクルマが好きみたいなんです(笑)。これまでで一番大きな買い物をするのだし、好きで買うクルマなので、ずっと長く付き合いたいって考えたんです」


出井さんが選んだ595 Competizione Performance Package 3は、限定車専用のマットグレー「Grigio Opaco」を採用。各部にホワイトのアクセントカラーが用いられ、ホイールもブラック仕上げとなるなど外装がスポーティに演出されています。ベース車同様、高性能スポーツエキゾーストシステム「レコードモンツァ」も搭載。

ショールームで見て一発で気に入ったというマットグレーの595 Competizione Performance Package 3は、オーダーしてから1ヶ月ほどで久瑠海さんのところにやってきたそうです。

「試乗したことはありましたけど、納車されて感じたのは、やっぱり楽しいなっていうことでした。それにパワーがあって速いなって。父からスピードを出し過ぎたらダメだぞって、納車後すぐに言われたぐらい。私そんなに飛ばしませんから(笑)。乗るのはほとんど通勤がメインで、あとは休日のテーマパーク巡りかな。時々長距離も走ります。レコードモンツァの音を毎日聞けるのはとても嬉しくて、真冬でもちょっと窓を開けて走ることが多いですね。 トンネルの中に入るときには、やっぱりギアを1つ落とします(笑)。これより楽しいクルマも、もしかしたらあるのかもしれないけど、私にとってはアバルトが最高で、どこもかしこも気に入ってます。乗り心地が硬いでしょって言われることもあるんですけど、ちっとも気にならないし、むしろすごいモノに乗っている感じがあって、私はとても好きです」


硬めの乗り心地も“すごいモノに乗っている感じ”がして、とても気に入っていると話す出井さん。そういうポジティブなところも含めてアバルトがとてもお似合いです。

アバルトと一緒に暮らすようになって数ヶ月で、世界は大変な時代にはいっちゃいました。医療関係者の皆さんは、毎日とても厳しい環境の中で仕事をなさっていると思います。

「楽な仕事っていうのはないと思うけど、大変といえば確かにそうですね。でもアバルトの存在が支えになってくれているところはあるかもしれません。休みの日にふらっと走るだけで、すごくいい気分転換になりますから。通勤の往復の時間も楽しいから、仕事に行くのも嫌になりません(笑)。私にとっては大きな買い物でしたけど、それだけのことはありましたね。本当に大好きなので、このままの状態でずっと乗り続けていきたいと思ってます」


出井さんにとって、仕事帰りにアバルトに乗ることは気分転換になっているとのこと。バケットシートに包まれ、レコードモンツァの排気音を聞く。そんな日常の中に組み込まれた“遊び”を日々楽しまれているようです。

フィアット 500を2台乗り継ぎ、その次にアバルトのマニュアルモデルと、まだ若いのにある意味ではものすごくまっすぐに正常進化してきた(?)久瑠海さん。ですが、久瑠海さんのそのクルマ遍歴が、ご家族にも大きな影響を及ぼしたのだとか。

「実は最初の頃に“イタリア車はなぁ……”なんていってた父は、今では自分のクルマとして500Xに乗ってます。それに母はパンダに乗ってます。妹もいるんですけどまだ免許をとれる年齢じゃないから、運転する人は3人なのに、イタリア車が4台(笑)。皆、はまっちゃったみたいです。父も時々アバルトに乗って嬉しそうにしています。私も好きなときに気分で乗り換えられるから楽しくていいんですけど……」

うーむ、それは仕方ないでしょう。イタリア車ってそういう不思議な吸引力、ありますからね。ご両親に理解があるのか久瑠海さんに理解があるのか、おそらく両方なのでしょうけど、家族全員が同じところにはまっていられるのはとっても幸せなこと。そこから抜け出そうなんてことはゆめゆめ考えないようにしてくださいね。

文 嶋田智之

595 Competizioneの詳細はコチラ