「同じ道のりを走るのでも、他のクルマとは気分が違うんです」 アバルトライフFile.17 寺井さんと595Cツーリズモ

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つまらないことがひとつもない

クルマというのは不思議なもので、人の趣味嗜好を、ちょっとばかり大袈裟にいうなら人生さえも、すんなりと変えてしまうようなところがあったりします。ここにご登場いただいている寺井規智さんも、サソリにチクリと刺されて気持ちよくスイッチしてしまった人のひとり、といえるかもしれません。

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595Cツーリズモオーナーの寺井さん。

現在は「595Cツーリズモ」が大のお気に入りという寺井さんにこれまでの車歴をうかがうと、日本車も輸入車も、いわゆる“高級車”と呼ばれるカテゴリーのクルマばかり。それもご自身の貴金属を扱う仕事に大切な信頼感を重んじてこられたのか、有名ブランドの車体の大きなセダン、近年はSUVという流れで、その多くはパフォーマンスの高いグレードを選択されてきたようです。コンパクトなスポーツモデルは1台もありませんでした。

──アバルトを購入された経緯を教えてください

「最初は奥さん用にクルマを買う、という大前提があったんです。で、ディーラーに連れていって、ボディも小さいし、このカラーリングだったらお洒落だし、これでいいだろ? と(笑)。試乗したのは同じツーリズモだったけど、マフラーは標準で音も静かだったんです。でも、オーダーしたのはレコードモンツァ付きだったから、納車されたら威勢のいい音をたてるわけじゃないですか。それで“私にはこれは乗れないわ”ということになって、それじゃもう1台の方をもっと小さいヤツに買い換えて、そっちに乗りなよ、と(笑)」

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寺井さんの595Cツーリズモ。もともとは奥さま用に購入したものの、結局のところ自分専用になったのだとか。

そして、普段使いしていたSUVを、同じブランドのひとつ車体の小さなモデルに買い換えて、奥さん用としたのだとか。その口ぶりだと、どうやらその流れは計算づく? ともあれ、寺井さんは晴れて「595Cツーリズモ」のオーナーになったわけです。

──それにしてもなぜ、アバルトが候補に挙がったんですか?

「アバルトは仲間達の影響もあって、ずっと前から知ってたんですよ。モータースポーツは以前から好きだったし、仲間の中にプロのレーシングドライバーもいればヒストリックカーに詳しい人もいたので。で、そろそろ趣味性の高いクルマが欲しいなと思って、新しいアバルトを買うことにしました。周りにトリブート・フェラーリがあったりビポストがあったりと色々なアバルトを見せてもらってきたし、同級生もアバルトに乗っていて、乗らせてもらったことがあったんです。そのときのインパクトが凄かった。だから買うならアバルトだな、と考えたんです」

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かねてからアバルトが気になっていたという寺井さん。実際に購入してからは、さらに愛着が増したようです。

──そのインパクトとはどんな感じでした?

「サウンドも加速もコーナリングも、すべてがダイレクト。それと、独特の操縦感覚。高級車だと道が荒れているところでもシューッと何事もなく走れちゃうじゃないですか。でもアバルトだと“戦い”みたいな感覚で(笑)。そっちの方が断然楽しいんですよ。それまで乗ってきたクルマとは全然違っていて、ものすごく刺激的だったんです」

──寺井さんのアバルトはオープントップの“C”ですが、それは狙い撃ちでしたか?

「屋根開きで、白と黒のビコローレ、というのは事前に決めていました。今年の3月にちょうど欲しい仕様があったので、すぐに押さえてもらいました」

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ビコローレのカラーリングもお気に入り。「買うならこの色」と決めていたそうです。

──クルマを複数所有しているアバルトのオーナーさんの多くは、アバルトが手元に来てからはアバルトばかり乗るとおっしゃます。寺井さんはいかがですか?

「そうですね。8割がアバルトかな。残りの2割は、アバルトでは行きづらいお客さんのところを訪ねる時と、あとは2人以上でゴルフに行くときですね。大概のお客さんのところへはアバルトで行っちゃいますし、ゴルフもひとりなら道具も積めるからアバルトで行きますね。仕事も遊びも、ほとんどアバルト。やっぱり楽しいですから。買って1週間目ぐらいで、もう次もアバルトを買うって決めたぐらい(笑)。」

──次もアバルト、ですか?

「そうなんです。今のクルマがいつまで乗れるかはわからないけど、次に自分用にクルマを買い換えることがあるなら、絶対にアバルトだな、って決めました。そのときにアバルトがどういうクルマを作っているかはわからないけど、もう一生アバルトに乗りますよ」

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──いったいアバルトのどこにそれほどの魅力を感じちゃったんでしょう?

「どこでしょうねぇ? うーん……全部?(笑)。いや、本当に全部なんですよ。クルマに乗り込んでエンジンをかけた瞬間から、帰ってきて駐車場に入れてドアをロックするまで、つまらないことがひとつもないんです。ロックして歩き出してから、クルマを振り返って眺めちゃったりもするぐらい。すべてが楽しいです。だから同じ道のりを走るのでも、他のクルマとは気分が違う。毎日だって乗りたい。朝にちょっと早く起きてフラッと走りに行くこともあるし。そういうのは今までしたことないですからね。こんなクルマ、初めてですよ」

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毎日でも走らせたいと思うほど、お気に入りのようです。

──アバルトに乗るようになってから、クルマがより楽しくなったっていう感じでしょうか?

「ちょっと人生が変わった、っていう感じですね。例えば、工業製品としての完成度とか満足感では、もしかしたらこれまで乗ってきたクルマの方がいいかもしれないし、何でも機械がやってくれるそういうクルマと比べたら不便なところはいっぱいあるけど、“自分が走らせるクルマ”としての満足感は、アバルトが比較にならないぐらい高いです。だから不便なところも楽しめちゃうというか、そういうところも可愛く思えちゃう。しっかり運転してこそ実力を発揮してくれるクルマだけど、だからこそ運転するのが楽しいと思える。そういうところは今までの僕ならちょっと考えられなかったかもしれません。僕は宝飾品を扱うという仕事柄か、細かいところにも目がいっちゃうというか、気がついちゃうところがあるんです。でも今は、もちろん仕事は頭が痛くなるぐらい几帳面にやるけど、一個人としては細かいことを気にしなくなりました。大らかな自分になれた気がします。性格まで少し変わっちゃったかもしれません(笑)。クルマは道具だっていわれるし、実際にそういう側面はあるけど、アバルトは心の中ではちっとも“道具”なんかじゃないんです。すごいクルマですよね」

実は寺井さん、趣味の世界でもすごいこだわりをお持ちなのです。その興味深いお話は、近日また改めてご紹介したいと思います。

文 嶋田智之

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