<2015年スーパー耐久シリーズ>開幕戦@栃木県ツインリンクもてぎ、参戦レポート。

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3月28日(土)、29日(日)、<2015年スーパー耐久シリーズ>の開幕戦が栃木県ツインリンクもてぎで行われました。

ムゼオ チンクエチェント レーシングチームにとって参戦3年目となる今年は、更に良い結果を求めてのシーズンになります。使用するマシンは昨年までと同じく、『ABARTH 500 ASETTO CORSE(アバルト 695 アセットコルセ)』。

22015シーズンがスタート!カラーリングも一新。

しかし昨年までの経験から順位アップを狙うべく、マシンの大幅アップデートを実施することとなり、戦闘力アップを狙う事になりました。主な変更点は、タイヤサイズの変更とサスペンションの変更。見た目にはワイドボディ化されてカラーリングも一新し、少し凛々しい見た目になりました。

3ワイドボディ化でブリスターフェンダーをつけていますが、実は往年のアバルトの名車、FIAT ABARTH 695 エッセエッセ アセットコルサをイメージしています。

チーム体制も一新し、Aドライバーにベテランで経験豊富な井尻選手が加入し、Bドライバーには私、Cドライバーには昨年も共に戦った蘇武選手というドライバーラインナップとなりました。大幅なアップデートに時間を要したため、開幕1週間前にシェイクダウンを行い、テスト不足ではあるものの手ごたえを感じてこのレースに挑むことになりました。今年もこのレポート読んでいただいた皆様にサーキットに応援に来ていただけるよう、レース内容からサーキットの楽しさ、アバルトの素晴らしさをお伝えしていきます。

木曜日、金曜日に行われた事前テスト走行では井尻選手を中心に、まだ出来上がったばかりのマシンをセッティングしていく作業を行いました。レーシングカーは様々な状況に応じて細かなセッティングを進めなければ速く走れません。大改造をしたからすぐに速くなるというものではないのです。

4いざ5時間の長丁場、スタートへ!

また今回のレースは5時間の長丁場ということもあり“乗りやすさ”も必要になります。1周が速いだけでなく、5時間の間ずっと良いタイムで走れるトータルバランスが求められます。アバルトは市販車からしっかりしたボディーが使われていることで、セッティング変更もほぼ狙った通りに進んでいきますが、まだまだ上位タイムには届きません。しかし、昨年のタイムからは2秒近くタイムアップしており、手ごたえも感じられました。井尻選手のセッティング能力の高さにも助けられ、マシンのバランスはどんどん向上していきました。

迎えた土曜日の予選。前日問題があったエンジンをメカニックさんが夜遅くまでかかって交換してくださり、ドライバーも士気が高まります。

5メカニックは夜遅くまでマシンの調整をしてくれ、ドライバーも気合いが入ります!

予選タイムは決勝のスタート順位に関わる大事なもので、しっかり集中して挑みました。
Aドライバー予選が開始、まだ新品タイヤでの走行時間も少ないために、セッティングが合っているのかが心配されましたが、順調に走行を重ねていきます。

無線からの井尻選手のコメント「良い感じ!」とのこと。
タイムは2分12秒78。
昨年から2秒以上のタイムアップをすることができました。

続くBドライバー予選は私の出番。
井尻選手からのコメントを頭に入れてイメージしながらコースイン。

6ピット作業ではトラブルもありましたが、なんとかコースへ送り出してもらいました。

1周目に気負いすぎてコースオフしてしまう場面もありましたが、2周目にはしっかりと1周をまとめる事ができ、2分12秒82というタイムを出すことができました。A、Bドライバーの合算タイムで決定される予選順位は15位(19台中)と大きく順位アップはなりませんでしたが、決勝に向けては更に手ごたえを感じることが出来ました。

Cドライバーの蘇武選手も2分12秒95と良いタイムをマークし、3人のドライバーが同じレベルで走れたことも私たちの強みとなりました。

決勝日も天気は晴れ。決勝前に行われたピットウォークにもたくさんのお客さんが来て下さいました。
小さなお子様にはお菓子のプレゼントも。また、レースクイーンの人気投票なども行われ、例年以上に華やかさも増していたように感じました。毎レース前にこの人気投票が行われますので、私たちチームのレースクイーンさんも是非応援してください。

7ピットウォークは今年も大盛況。小さなお子様と記念撮影

パドックではアバルトグッズのプレゼントや車の展示などを行い、こちらもたくさんのお客様に興味を持っていただけたようです。レースの合間にもこのような様々なイベ ントが行われており、いろんな楽しみ方をしていただけます。私たちドライバーもピットにいることが多いので、是非お声かけいただけると嬉しいです。

いよいよ決勝スタートの時間が迫り、チーム全員でスタートドライバーの井尻選手を見送ります。井尻選手から私、そして蘇武選手と交代し、最後にまた井尻選手が走る作戦です。しっかり完走、そして10位までに与えられるシリーズポイントを獲得すべく5時間先のゴールを目指します。

スタート直後の混乱をベテランの井尻選手は冷静にポジションアップ。
タイヤがどれくらいの時間もつのか?燃費は?、、、様々なデータがテスト不足で無い中、無線でマシンの状況が報告されてくる内容を元に次の作戦を練ります。ドライバーとエンジニアが一体となってレースを進めます。

1時間半のロングスティントを終え、暫定11位で最初のピットストップを迎えました。順調にピット作業が進み、ドライバーチェンジも終わろうとした頃、なんとトラブルからフロントタイヤが装着できない…。早く付いてくれと願い、なんとか装着できましたが大きくタイムロス。

それでも完走に向けてはまだまだ長い道のり、気持ちを切り替えて自分の走りで挽回することに努めます。ハイペースで走りたいのですが、スーパー耐久には様々なクラス分けをされたマシンが45台も同時にレースをしている為、クリアに走れる周は全くありません。

8ドライバーとエンジニアが情報を共有し、更にクルマのセットアップを進めます。

速い車、遅い車の間をうまく走ってペースコントロールすることが重要となるのです。その点がまだまだ未熟な私はペースコントロールに苦しみ、更には前車を抜く際に落ちていた部品を踏んでしまい、タイヤに振動が発生…。

それでもペースを下げるわけにはいかず、反対側のタイヤを多めに使うように走りを切り替えました。反省の多い自分の担当スティントになってしまいましたが、自分の予定時間までしっかりマシンを走らせることが出来、2度目のピットイン。蘇武選手へ交代します。

蘇武選手は昨年からタイヤに優しい走りと、安定した走りを両立させる頼れる相棒。今回も少ないテスト時間の経験でしっかりと走ってくれました。順位も11位をキープし、リアタイヤを無交換で最後まで走りきるためにペースコントロール。

そしていよいよ最後のピットイン。
井尻選手に交代し、フィニッシュを目指します。そして残り時間も10分に迫った頃10位のマシンと急接近!無線で追いついていることを報告し、ピットで見守るチーム全員がポイント獲得への期待で盛り上がります。

「なんとか抜いてくれ…。」
そして残り数分、井尻選手は見事に前車をオーバーテイク!!10位をキープしたままゴールのチェッカーフラッグを受けることが出来ました。

9ゴール直後の井尻選手。残りわずかで10位に順位アップしてくれました!!

昨年は1度も獲得できなかったシリーズポイントを獲得でき、皆が喜びの握手で健闘を称えあいました。
マシンの大改造、エンジン交換とセッティングの調整とハードワークに徹してくれたメカニック、作戦をしっかり立ててくれたエンジニア、スタッフ全員に感謝の気持ちでいっぱいでした。そして、頼れる井尻選手、蘇武選手とのチームワークも最高だと自負しています。まだまだ上を目指す私たちですが、シーズンの良いスタートを切ることができました。

10次戦も更に上を目指して戦います!応援よろしくお願い致します。

次戦スーパー耐久は5月23日(土)、24日(日)に宮城県スポーツランドSUGOで行われます。
アバルトで戦う私たちと一緒に是非サーキットでレースを楽しんでください。今年もムゼオ チンクエチェント レーシングチームの応援をよろしくお願い致します。

text by大賀 裕介