愛車のアバルトを長く乗るために。メンテナンスのコツをプロに聞いてみた。
長持ちさせるには事後メンテより定期点検
アバルトでは2021年7月31日までの期間、「リフレッシュキャンペーン」を実施中。これは初度登録から一定期間が経過した車両を対象に、エンジンやサスペンション、足回りの消耗部品の交換をパッケージ化したメンテナンスプログラムで、通常よりもリーズナブルに実施できるというもの。走らせるのが楽しく、大切に長く乗りたいと考える人も多いアバルト。同キャンペーンの実施を機に、愛車を長く乗るためのコツを、アバルト正規販売店のサービスマンとメカニックに聞きに行きました。訪れたのは、アバルト横浜町田店。
まずはアバルトのメンテナンスにあたり、大まかな傾向を聞いてみました。ご対応いただいたのは、アフターセールスマネージャーの齋藤 猛さんと、サービステクニシャンの山田幸央さん。アバルト横浜町田店は長い歴史に裏打ちされた豊富なバックグラウンドとカバーエリアの広さから、メンテナンス入庫台数も多く、訪れた日も複数のアバルトがファクトリーで整備を受けていました。
「私たちのショールームでは、メンテナンスキャンペーンをベースにお客さまにサービスをご案内していくというよりは、基本的にはお客さまごとの車両の状態に合わせてメンテナンスのご提案をさせていただいています。またお客さまもご自身のクルマを大切にされていてメンテナンスに関しても前向きな方が多いので、パーツの耐用年数からくるトラブルというのはほとんど見られないですね」と齋藤さん。
なるほど。愛車と長くつきあっていくためには、問題が起こる前に手を入れてトラブルの芽を摘んでいくことが最善の策。その点を理解されているユーザーは、特に目立った症状がなくても定期的なチェックやメンテナンスを実行しています。今回のキャンペーンも、きっと多くの人に愛車のメンテナンスに目を向けてもらおう、ということなのでしょう。
「走行距離が増えていけば消耗部品の交換時期は訪れますし、部品の劣化に気づかないこともあると思います。6ヶ月点検や12ヶ月点検といった定期点検は、不都合が起きそうな箇所を発見するためにあります。例えばベルトの劣化などは乗っているだけでは気づかないものですけど、メカニックが診れば細かな破損やヒビ割れなども一発で発見できますし、ブレーキパッドの摩耗の具合も目視でわかります。ショックアブソーバーのへたり具合も、走らせれば判断できます」
6ヶ月点検というとお手頃なメンテナンスというイメージがありますが、異常箇所の発見にも役立つものなのでしょうか?
「6ヶ月点検は5,000円のご負担でお受けできますが、ボンネットを開けるだけでなく、クルマをリフトアップして下側からもチェックさせていただき、診断機にもかけます。また、メンテナンス履歴も拝見します。メカニックは日々アバルトに触れていて経験値がありますので、目視点検でもおかしなところがあればすぐに気づきます。診断機のデータや履歴から判断したり予想できたりすることもありますので、6ヶ月点検に含まれない項目でも交換推奨時期が来ているものがあれば、お客様にご提案して相談しながらその先のメンテナンスを進めていくことができます」
クルマを長持ちさせるのは、6ヶ月点検や12ヶ月点検、24ヶ月点検(車検)をベースにメンテナンスを行っていくのが得策ということですね?
「そうですね。定期的なメンテナンスはやはり重要です。リーズナブルにという点では、1年目と2年目の法定点検を含むイージーケアや、新車登録から4年目の法定点検を含むイージーケアプラス、72ヶ月の法定点検を含むイージーケアセブンいったサービスプログラムをお申し込みいただくのが結果的にご負担を少なくできると思います。これらは正規の点検整備よりもお得になっていますし、定期的に点検を行っている車両とそうでないクルマを比べると、時間が経過した時のコンディションやトラブルの有無にも差が出てくる傾向があります。また下取り価格にもプラスに働く傾向があります」
プロに教わる走行距離を重ねたクルマの注意するポイント
次にサービステクニシャン(メカニック)の山田幸央さんに、アバルト595 / 500の消耗部品の交換目安や、走行距離が増えた車両のメンテナンスのポイントについてうかがってみました。
アバルトのエンジンで、ココを気をつけてチェックした方がいいというポイントはありますか?
「アバルトは基本的にエンジン本体は丈夫ですね。古くなってきた車両の場合、一般的に注意すべきポイントとしてはタイミングベルトが挙げられると思いますが、それもアバルトでは消耗が早いという傾向は見られません。595シリーズでは、メーカー推奨交換サイクルは5年5万kmだったと思いますが、これまでの経験から申し上げるなら実際はそれ以上長持ちし、7年6万kmくらいでヒビが入り始めるかなという感じです。もちろん安全マージンをとって早めに変える方もいますし、ここまでは大丈夫とはっきり言えるものではありませんが、傾向として割と長持ちする方なので、3回目の車検で交換をオススメするケースが多いですね」
足回りはいかがでしょうか?
「サスペンション周りも特に目立ったトラブルはありません。足回りの消耗を気にされる方は、シャキッとした乗り味を保ちたいという方だと思いますので、そういう観点で言いますと、代表的な消耗部品はやはりダンパーでしょうか。ある程度距離を乗ったクルマだと、ショックアブソーバーのオイルのにじみがひとつのチェックポイントになると思います。走らせ方も影響しますが、アバルトの場合、フロントよりもリア側が先にオイルの滲みが出てくる傾向があるように感じます。これは6ヶ月点検で見つけられます。一方、ブッシュ系ではリア側よりフロント側のアッパーマウントが先に消耗する傾向だと思います。消耗により走行不能になるものではありませんが、ハンドルを切った時の反応に変化が見られるようになったらメカニックに相談してみるのがいいかもしれません」
ブレーキの消耗についてはいかがでしょうか?
「ブレーキは、フロントがブレンボのタイプだと元の厚みが10mmぐらい、標準型で12mmぐらいあって、4〜5万kmで交換というところでしょうか。ただ、リア側の方が先に減りやすい傾向があり、1回目のパッド交換はほとんどがリアです。ヨーロッパ車らしくローターとパッドの両方で制動力を出している感じがあり、そのぶんブレーキローターは定期的な点検や交換が必要といえますね。1回目の車検のときには表面研磨でもいけますが、2回目の車検では交換、ということが多いですね。ブレーキホースからのオイル漏れも特にその傾向はなく、基本的には消耗品の交換サイクルを守っていけば問題ないと思います。アバルトは全体に故障しやすい箇所も多くないですし、基本的には丈夫にできているクルマです」
アバルトは全体的に丈夫なクルマと話してくれた山田さん。高性能化されたモデルということで耐久性は大丈夫かなと心配した人もいるかもしれませんが、普段アバルトの整備を手掛けているメカニックの方から壊れづらいとお聞きでき、安心した方も多いのではないでしょうか。
もちろん、ベストコンディションを保つには、定期的なメンテナンスは必須。消耗品をはじめとした部品の劣化は一気に来るものではなくジワジワと進んでいくものなので、察知することが難しいことも。そういう観点からも定期的にプロフェッショナルの目でチェックしてもらうことをオススメします。
お知らせ
アバルト正規ディーラーでは2021年7月31日までの期間限定で「リフレッシュキャンペーン」を実施中。今回の対象モデルは2013年から2015年の間に発売された595 / 500のベースモデルとTurismo。ベースモデルについてはタイミングベルトとブレーキ、Turismoについてはサスペンションとブレーキのリフレッシュキットが通常よりもリーズナブルに提供されています。
■アバルト595 / 500 ベースモデル(2013〜2015年販売車両)
タイミングベルト リフレッシュキット
交換/調整部品:タイミングベルト、ベルトテンショナー、ウォーターポンプ
交換により得られる効果:消耗に起因するベルト切れによるエンジン破損の防止
キャンペーン価格:2万7940円+工賃(通常価格3万1130円+工賃)
ブレーキリフレッシュキット
交換/調整部品:パッド、ローター
交換により得られる効果:制動力を保持することによる安全性の確保
キャンペーン価格:10万430円+工賃(通常価格11万1650円+工賃)
■アバルト595 / 500 ツーリズモ(2013〜2015年販売車両)
サスペンションリフレッシュキット
交換/調整部品:ショックアブソーバー
交換により得られる効果:消耗による乗り味低下からの回復と安全性確保
価格:15万2020円+工賃(通常価格16万8960円+工賃)
ブレーキリフレッシュキット
交換/調整部品:パッド、ローター
交換により得られる効果:制動力を保持することによる安全性の確保
キャンペーン価格:11万5500円+工賃(通常価格12万8700円+工賃)
アバルトのアフターサービス プログラム https://www.abarth.jp/maestroservice/
文 嶋田智之/編集部