【FCAジャパン新春記者会見】コロナ禍のなかアバルトが販売好調 限定車「695 Anno del Toro」の発表も

2021年1月14日、FCAジャパンは新春記者会見を実施し、ポンタス・ヘグストロム社長が2020年の販売実績や2021年の計画などについて発表した。なお、会見は緊急事態宣言の発出を受け、オンライン形式に切り替えて実施された。そこで明らかにされたアバルトの販売状況や、同日アンベールされた限定車「695 Anno Del Toro(アンノ デル トーロ)」についてご報告しよう。


FCAジャパンの2020年販売実績を発表したポンタス・ヘグストロム社長(左)。同日発表された限定車「アバルト 695アンノ デル トーロ」(右)。

コロナ禍によりリーマンショック後の2009年をも下回る水準となった2020年の新車販売。特に輸入車は工場の生産休止や輸送停滞の影響を受け、供給が大幅に減少。5月には前年比47%減まで減少する事態となった。FCAジャパンもこうした影響を受けたが、ヘグストロム社長の発表によると減少がピークを迎える前に販売が好調で、その後も順調にV字回復したため、8月以外は輸入車全体に比べ、落ち込み幅は小さかったとのこと。その結果、第4四半期には同時期としては過去最高の販売台数を更新したほか、通年の販売実績も前年比98%と前の年とほぼ同等の台数を積み上げた。


2007年にブランドが復活し、2009年に日本に上陸したアバルトは、以降、着実に販売台数を増やし、2020年も前年実績を上回った。

アバルトの販売もきわめて好調だったようだ。アバルトについてはコロナ禍で販売店から客足が遠のくこともなく、年間販売台数は前年実績を上回り、史上2番目に多い3,032台を達成。124 spiderは残念ながら2020年に生産を終了したが、最終年に前年比41%増を達成する好調ぶりで、アバルトブランドの販売増加を支えた。

なお記者発表では、アバルトの人気ぶりを示す一例として、コロナ感染拡大防止の一環として200台限定で行われることとなったABARTH DAYS 2020の応募者数が、募集人数を大幅に上回る1,319名に上ったことが明らかにされた。またABARTH DAYS 2020と同日に初披露された595 Scorpioneoro(スコルピオーネオーロ)についても、200台の限定販売台数のうちwebで設けられた50台のプリオーダーへの申し込み数が、2週間の受付期間中に549件に上ったことなどが明らかにされた。アバルトの限定車やイベントは応募数が募集枠を上回ることが多いことで知られるが、改めてその人気ぶりが示されたかたちだ。


(左)ABARTH DAYS 2020の開催日の11月7日に初披露された595 スコルピオーネオーロ。
(右)124 spiderの販売終了に向け、最後の1台のために行われたチャリティオークションでは、トリノでワンオフ製作された特製バッジ装着の124 spiderの落札金額が550万円に達したという。収益金は全額、アバルトが長年支援している長期闘病児童を支援するNPOシャイン・オン!キッズへの寄付に充てられた。

なお、2021年の展開としては、オンラインイベントを継続開催していくことや、リアルイベントについても全国で4回程度開催する計画が明らかにされた。コロナ感染者数が減少し、イベントが平常に開催されるようになることを期待したいところだ。

なお、FCAジャパン マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセは、アバルトファンに向けて、次のようなメッセージを発信した。
「私たちの想いは、お客さんと一緒にブランドを築いていくことです。それぞれのお客さまに向け、興味や関心に合ったコミュニケーションを図っていきたいと思っています。例えば女性のお客さまに向け、Scorpionnaのコミュニティを強化し、日本の文化やクルマへの情熱にあった活動を展開していきたいと思っています。ABARTH DAYSのようなイベントも実施しつつ、日々お客さまとの交流を図っていきたいと思っていますので、楽しみにしていてください!」


アバルトオーナーに向けメッセージを発したFCAジャパン マーケティング本部長のティツィアナ・アランプレセ。

記者会見では、新たな限定車「695 Anno Del Toro(アンノ デル トーロ)」が披露された。595 Competizione(コンペティツィオーネ)をベースに20台限定で販売されるこの限定車は、2019年に登場した「695 70°Anniversario(セッタンタ アニヴェルサーリオ)」同様、走行中に車体を安定させる大型リアルーフスポイラーを備えることが大きな特徴。このほか走りに関わる機能系部品では、コーナー立ち上がり時のトラクションを高めるメカニカルLSDが搭載されるのがベース車と異なるところ。なお車名のアンノ デル トーロとはイタリア語で「丑の年」を表している。


695 アンノ デル トーロ。最大60度まで角度調整が可能な大型ルーフエンドスポイラーを備える。

ボディカラーは、限定車専用のBlu Podio(ブルー)を採用。ルーフにはチェッカードパターンがあしらわれるほか、オーバーフェンダーやサイドシルはグレーとし、スポーティな雰囲気が高められている。またアルミホイールも595 コンペティツィオーネが10スポークを履くのに対し、限定車は12スポークデザインを採用するなど、足回りにも特徴が与えられている。さらにディテールに目を向けると、前後エンブレムやホイールセンターキャップ、ステアリングホイールにビンテージタイプのサソリロゴが採用されているのがポイントだ。

なお695 アンノ デル トーロは、特設サイトを通じて申込み受付が行われ、応募多数の場合は抽選が行われるとのこと。


ブルーを基調にボディ下部はシルバーに仕上げられている(左)。インテリアは専用のレザー/アルカンターラシートを採用。フロアマットも専用デザインとなる。設定は左ハンドル/5MTのみ(右)。

コロナ禍でなにかと我慢を強いられる状況が続くなか、記者会見ではアバルトファンにとってポジティブな話題を聞くことができたのが収穫だった。今年もスコーピオンナ ドライブやアバルト ドライビング アカデミー、ABARTH DAYSなどのイベントと合わせ、アバルトコミュニティがさらに充実し、盛り上がっていくことに期待だ。


写真:荒川正幸

695 アンノ デル トーロの詳細はコチラ
アバルト公式WEBサイト