ご主人と奥さまそれぞれがMyアバルトを満喫 アバルトライフFile.38 濱岡さんファミリーと595 Scorpioneoro & 595 Monster Energy Yamaha

奥さまのお気に入りアバルトをご主人が横取り!?

今回の取材のきっかけは、神奈川県・大磯で行われたAbarth Days 2020。限定車の595 Competizione Stile(コンペティツィオーネ スティーレ)を走らせ、大阪方面からお嬢さんとふたりで日帰り参加されていた濱岡瑠美さんと出逢ったことでした。その日その場で国内初お披露目された595 Scorpioneoro(スコルピオーネオーロ)がかなりお気に召したらしく、その場で“予約します!”と宣言されていたのです。その後しばらくしてから連絡してみると、どうやら国内販売台数200台のうちの1台を射止めることに成功したご様子。その後、アバルトとの生活をどう楽しまれているのかうかがいに、ご家族で休日を楽しまれているところにお邪魔させてもらいました。

待ち合わせ場所のBBQ場で、瑠美さんとご主人の康夫さん、お嬢さんの玲那ちゃん、美聡ちゃんと合流すると、そこには595 スコルピオーネオーロの横に595 Monster Energy Yamaha(モンスターエナジー ヤマハ)が並んでいたのでした。こちらは2月に予約開始された、限定60台という貴重なモデル。これはいったいどういうこと?


濱岡さんご夫妻とお嬢さんの玲那ちゃん(左)、美聡ちゃん(右)。

瑠美さん「私のクルマとして595 スコルピオーネオーロを買ったはずなのに、納車されたら主人に奪われちゃったんです(笑)」

康夫さん「だってブラックにゴールドといったら、JPSカラーのF1マシンをリアルタイムで見て育った僕の世代のクルマ、でしょ(笑)」

瑠美さん「私はMoto GPも大好きなので、595 モンスターエナジー ヤマハが私のところに来ることになって、結果的にはよかったといえばよかったんですけど(笑)」


2020年11月に発表された595 スコルピオーネオーロ。“金色のサソリ” を意味するこの限定車は、通常は設定のないブラックのボディカラーにゴールドのアクセントカラーがあしらわれるのが特徴。ご主人はこのクルマが、かつて憧れたジョン プレイヤー スペシャル(JPS)カラーのF1マシンのイメージと重なり、深く気に入ったようです。

どうやらご夫婦揃ってかなりのクルマ好きであるようです。出逢いもクルマが縁。2歳の頃にはチョロQを握っていたという瑠美さんが大学時代にアルバイトをしていたレースショップに、お客さんとして通っていたのが康夫さん。当時、かなり本気でサーキットを走っておられ、レースにも参戦していらっしゃいました。そしてクルマ好きのカップルはクルマ好きの夫婦となり現在に至る、という流れです。おもしろいのはご主人が“質素に暮らしてるんですけど、クルマだけはどうにも……”とおっしゃるように、同じブランドのクルマをお互いに所有していること。アバルトに関しては康夫さんが瑠美さんに引っ張られるかたちでハマってしまったようです。


お出かけの時は奥さまの助手席に美聡ちゃん、旦那さまの隣に玲那ちゃんという具合に、だいたい定位置が決まっているそうです。

嫌なところがひとつもない

瑠美さん「でも、主人は今でこそアバルトに熱中してますけど、最初はひどかったんですよ。アバルトを見に行きいきたいから一緒に行ってと頼んでも“行かない”って。無理矢理引っ張ってショールームまで行っても、興味がなかったからクルマから降りようともしなかったんです(笑)。応対してくださった方が本当にいい人だったから、この人から買うんだったらお好きにどうぞ、という感じで」

そうして瑠美さんのところに来たアバルトは、マニュアルトランスミッションの595スタンダードモデル。しかし瑠美さんは、その後もアバルトの世界に引き込まれていったのでした。

瑠美さん「それまでは大きなSUVに乗ってたんですけど、時代とクルマが合わないな、って感じてたんです。それで毎日乗る小さいクルマを探していたら、クルマ好きの友達から“アバルトって知ってる? 絶対に好きだと思うよ”って教わったんです。それまではアバルトをまったく知らなかったんですけど乗ってみたら友達の言うとおりで、小さいのに速いし、とにかく運転するのが楽しい。スタイリングもかわいくて、嫌なところがひとつもない。このスタイル、この造形美は永遠ですよね。本当に好きなタイプのクルマでした(笑)」

ところがある日、点検のためにショールームに行ったところ、新たな出逢いに心を奪われてしまったようです。


それぞれMyアバルトを所有し、「お互いの領域に侵入しないようにしている」と話す濱岡さんご夫妻。

瑠美さん「ショールームに595 Competizione Stileがあって、そのときには私は知識がなかったから全然知らなかったんですけど、 “かなり違うんですよ”って教えていただいて、エンジンをかけてもらったら、その音にしびれちゃった(笑)。 主人も同じだったみたいで、その場で“これに買い換えよう”って(笑)。そのクルマでAbarth Daysに参加したんです。595 Turismoと同じシートで快適だったから、長距離も苦じゃありませんでした。でも、Abarth Daysで発表された595 スコルピオーネオーロを見て“かっこいいな”って一目惚れしてしまい、当選してからも悩みに悩んだんですけど、結局買い換えることにしたんです。そしたら主人が現車を見て“これは僕のだと思う”って取られちゃったんです(笑)。私のアバルトがないじゃない! となって。ちょうどMake Your Scorpionでショールームにビコローレの595 Competizioneがあり、それを買って“もう私は一生これでいこう”って思ったのに、695 Anno del Toro(アンノデルトーロ)が発表され、595 モンスターエナジー ヤマハも発表され……。人気で当選できないと思って応募してみたら、何と595 モンスターエナジー ヤマハが当選したんです」


595 モンスターエナジー ヤマハは、アバルトとモンスターエナジーならびにヤマハファクトリーレーシングとのコラボレーションにより実現した60台の限定車。瑠美さんはMoto GP好きなこともあって応募したところ、当選してそれが愛車に。「ずっと大切に乗っていくつもりです」と話してくれました。

何と目まぐるしいアバルト遍歴! しかも最初のスタンダードを除けば、いずれも限定車や特別な595ばかりです。

瑠美さん「アバルトって、走れば楽しいし実用性もあるし、愛されキャラですよね。街中でクルマ好きの方に声をかけられたり、他の女性から“これ、なんていうクルマですか?”って聞かれたり。だけど、そんなに他の人と被ることがないクルマじゃないですか。でもAbarth Daysのようなイベントで他のたくさんのアバルトを見せてもらいモデルごとに違いがあるのを知ってしまうと、ひと味違うモデルが欲しくなっちゃう気持ちも芽生えてきて(笑)。だけど今の595 モンスターエナジー ヤマハにはすごく満足していて、ずっと大切に乗っていこうと思っています。あと身近なお友達ともアバルトの楽しさを分かち合えたらいいなと思っていて、仲良しのお友達にアバルトの良さを伝えたりもしています(笑)。どんどんアバルトの輪が広がっていき、お友達同士で “ここが違うね”とか“このデカールがかっこいいね”とか、そんなふうに一緒に楽しめたらいいなと夢見てるんです」


それぞれ限定車を象徴するボンネットステッカーや専用ボディカラーにより個性が高められた595 モンスターエナジー ヤマハ(左)と595 スコルピオーネオーロ(右)。

どのクルマとも違う。もうすべてがおもしろい

一方の康夫さんはどうだったのでしょう? 最初はまったく興味がなかったのに、なぜ595 スコルピオーネオーロを“これは僕のもの”と感じたのか……?

康夫さん「もしかしたら楽しいのかな? って思ったんです(笑)。それまでイタリア車は壊れそうというイメージがずっとあって、目をつぶっていたところがあったんですけど、壊れないじゃないか、と。それで乗るようになったら、ホイールベースが短いしサスペンションも独特だし、クルマの動き方が他にはない感じじゃないですか。かわいいなかに過激なところもあって、かなりヤンチャなクルマですよね。それを御(ぎょ)しながら走っていくのが、楽しいんですよね。世間一般に言ういいクルマとか便利なクルマとか、そういうのじゃなくて、とにかく楽しいクルマっていう言葉がふさわしいと思うんです。クルマと楽しさの質というか目指してるところというか、それが他のどのクルマとも違うと思うんです。もう、すべてがおもしろい(笑)。それにコンパクトなクルマは、僕にとってはこれが初めてなんです。今はクルマ全体がどんどん大きくなってるじゃないですか。それについて思うところもあったので。ちょうどはまった感じですね(笑)」


デザインだけでなく、クルマの動きや運転感覚までひっくるめてすべてが楽しいと話すご主人。すでにかなりのサソリの毒が回っているようです。

瑠美さん「主人もアバルトを好きになってくれたんだな、という喜びはありました。わかってもらえて嬉しいな、って。でも、それがまさか乗っ取りにつながるとまでは思ってませんでした(笑)。今ではもう私よりもエスカレートしていて、他のクルマ友達からサーキットに誘われても“このクルマはファッションだから”って頑なに行かないんですけど、そのわりには足回りのセッティングがどうとかこだわって、言っていることとやってることが全然違うでしょ、って」

康夫さん「このクルマは街乗り用のベストを目指してるんですよ。サーキットを本格的に走るためにはもっと足回りを固めたりいろいろやらないとダメだけど、そうすると街中で楽しくなくなっちゃうのがわかってますからね。それでサーキットへの誘いはずっと断っていたんですけど、そしたらつい最近、中古の695 Biposto(ビポスト)のちょうどいいのを見つけたんです。それをサーキット専用に仕上げていこうかなと色々想像しているところです。エアコンもないですからね(笑)」


かくしてご主人の愛車となった595 スコルピオーネオーロ。街乗り用のベストなクルマを目指して、色々画策されている模様。

ご主人は、595 スコルピオーネオーロをサーキット用のクルマとは分けて、大切に乗っていきたいようです。ところで肝心な、なぜ夫婦共用じゃなくて1台ずつなのかを聞いたところ、おふたりが口を揃えて話してくれました。

「1台だとモメるので(笑)」

奥さまに引っ張られるように、どんどんアバルトの世界に引き込まれていった旦那さま。しかし、クルマ好き同士気持ちがわかるだけに、お互い制止するようなことはないようです。そんなお父さんとお母さんをどう感じているのか、お嬢さん達に聞いてみました。

美聡ちゃん「楽しそうでいいと思います」
玲那ちゃん「幸せそうだからいいと思います」


玲那ちゃんと美聡ちゃんもアバルト大好きなご両親を温かく見守っている様子。

どうやらお嬢さん達の方が大人なのかもしれません(笑)。濱岡ご夫妻とアバルトの関係は、どこまでエスカレートしていくのかこれからも楽しみ。また大きな変化があったらお話をうかがいにお邪魔したいと思います。

文 嶋田智之

アバルト公式WEBサイト